マツダとスピングルが「ロードスター」をモチーフにしたコラボスニーカー「SP-MX5」を発表
2025.05.24 自動車ニュース![]() |
マツダと日本のスニーカーメーカーであるスピングルカンパニー(以下、スピングル)は2025年5月23日、東京・青山の「MAZDA TRANS AOYAMA」で、コラボレーションスニーカー「SP-MX5」を発表した。
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広島発の2つのものづくり企業がコラボ
マツダでは2024年秋に、「ロードスター」の誕生35周年に合わせてオフィシャルグッズ「MAZDA ROADSTER COLLECTION」の展開を開始。これまでに、クロスボディーバッグやジャケットを発売してきた。SP-MX5はその第3弾の商品にあたり、マツダと同じく広島に拠点を構えるスピングルとの共創によって実現したという。
スピングルは、1933年創業のゴム会社を母体とする、広島県府中市のシューズメーカーだ。2002年に、加硫したゴム底と靴本体を接着し、加熱・加圧して完成させるバルカナイズ製法にこだわったレザースニーカーを発表。今日でも、裁断・縫製・接着のすべてを職人の手作業で行う、ハンドメイドのスニーカーをつくり続けている。
今回発表されたSP-MX5については、マツダとスピングルがともに広島発の企業であること、独自のものづくりを追求していることなどの共通点に加え、スピングルのシューズが運転に適しているとして、ロードスターオーナーの間で支持されていたことからプロジェクトがスタート。マツダ側からの発案により約2年の歳月を経て、コラボスニーカーが完成した。
デザインも履き心地も、運転のしやすさも妥協なし
「いつもの道を特別に」というコンセプトのもとに開発されたSP-MX5の特徴は、ロードスターのもつイメージや価値観を投影したデザインと、スピングルのシューズならではの柔らかで軽快な履き心地、優れた耐久性、そして運転に適した設計にあるという。
意匠はマツダのデザインチームの手になるもので、ロードスターのフォルムを反映しつつ、足の曲線に沿って柔らかくアーチを描くデザインを採用。マツダがクルマづくりで培った精緻さと、職人の手が生み出すハンドメイドの温かみが融合した、独自のスタイルを実現している。また、アクセルとブレーキの踏みかえをスムーズにするため、ソールのかかと部分を高く巻き上げている点は、他のスピングルのシューズとは異なる特徴となっている。
各部の素材もこだわっており、アッパーには主として軽量・柔軟で耐久性にも優れるカンガルーの革を使用。いっぽう、ペダル操作時の足先の保護や、足へのフィット感などを重視して、つま先やタン(ベロ)には、剛性の高い牛革を用いている。さらにアッパーの下部には、ソールとの結合補強のためにスエード素材を採用。ドライビングシューズに求められる高い屈曲性や底の薄さ、外甲側の強化を実現している。
カラーは、歴代ロードスターの車体色などをモチーフにしたという「レッド/ホワイト」「ネイビー/ブルー」「ホワイト/ブラック」「ブラック/オレンジ」の4種類で、同じ色でも明度・彩度の異なるものを重ねることで、深みや立体感を表現する、「トーン・オン・トーン」という技法を採用。鮮やかでありながら、上質で大人にも似合うコーディネーションを追求したとしている。加えてソールの裏側には、ロードスターの海外名にあやかった「5」の文字を型抜きで加工。普段は見えない場所にもこだわりを取り入れた、遊び心もみられる製品となっている。
このように、スピングルのシューズのなかでも特別な商品となるSP-MX5だが、すり減ったソールのリペア等については他の製品と同様に対応するとしており、安心して末永く履くことができる。
サイズは、他のスピングルのシューズと同じくユニセックス展開となっていて、22.5cm(XS)、23.5cm(SS)、24.5cm(S)、25.5cm(M)、26.5cm(L)、27.5cm(LL)、28.5cm(XL)の7種類が用意される。
販売は、まずは2025年5月25日の午前10時よりマツダコレクションオンラインショップにてスタート。翌5月26日からは、スピングルの直営店である「SPINGLE銀座」「SPINGLE広島」および広島・福山の「SPINGLE VINGO GATE」、加えてスピングルの公式ストアでも取り扱いが開始される。
価格は全色・全サイズ共通で、2万6500円だ。
反響によってはさらなる展開も
MAZDA TRANS AOYAMAで行われた発表会には、SP-MX5の開発メンバーとして、スピングルカンパニーより商品企画の小畑 健氏が、マツダよりデザイナーの寺島佑紀氏と菊地有美子氏が参加。プロジェクトの開始に先立ち、双方の工場や企業博物館を見学して理解を深めたこと、開発中には菊地氏がミリ単位の修正を依頼し、ハンドメイドでシューズをつくるスピングルを困らせたことなど、さまざまなエピソードが語られた。
特に後者については、手づくりの現場ではどうしても誤差が出てしまうことから、開発の段階から製造スタッフも交えての検討を実施。スピングルとしても新しい試みとなったという。加えて小畑氏は、マツダが求めた高いデザインの精度に加え、細かな色の再現にも苦労した様子。革の種類で変わる発色の調整に加え、バルカナイズ製法による加熱時のタグの縮み、色なじみなども計算し、寺島氏・菊地氏によるデザインを製品に再現したとのことだった。
いっぽうの菊地氏は、スケッチを立体に落とし込むセンスやラインの再現性の高さなど、スピングルの技術力の高さについて言及。さらに「(自動車の)エクステリアデザイン出身の自分は、スケッチで硬い線を引きがちだったが、そこにハンドメイドならではの温かみが加わることで、このシューズが持つ足なじみのよさや柔らかい履き心地が、ちょうどよくデザインにも表現された」と語り、製品の仕上がりに笑顔を見せた。
また、プロジェクトの発起人で、開発ではカラー・マテリアルを担当した寺島氏は、有志のファンイベント「ロードスター軽井沢ミーティング」に集う色とりどりのロードスターを思い、4種類のカラーを考案したと説明。豊富なサイズバリエーションにも触れながら、「ロードスターにはご夫婦で乗られるオーナーも多いので、ぜひシューズをペアルックにしてほしい」と語った。さらに、「現状は国内販売のみだが、可能であれば海外にも広げていきたい」「今回の製品は数量限定ではない。可能であれば、スピングルとのコラボレーションを長く続けていきたい」とも述べ、今後の展開に期待を寄せた。
なお、MAZDA TRANS AOYAMAでは今回のSP-MX5の発売に合わせ、「SPINGLE展 -CRAFTSMANSHIP FROM HIROSHIMA -」を開催している。パネル写真や素材、工具等の展示を通して、スピングルの手になるハンドメイドのスニーカーの世界を理解できるほか、期間中はスニーカーの試着も可能となっている。開催期間は2025年6月22日までだ。
(webCG)