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リアスライドドアを採用し2025年6月に登場 新型「ダイハツ・ムーヴ」の特徴を分析する

2025.06.03 デイリーコラム 玉川 ニコ
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歴代「ムーヴ」初のリアスライドドア搭載車

2025年5月12日、ダイハツ工業は新型「ムーヴ」に関する情報の一部をオフィシャルサイトで先行公開した。7代目ムーヴは初めてリアスライドドアを採用し、軽自動車界に居並ぶ強力なライバルに立ち向かう。新型ムーヴは「2025年6月発売予定」とのことなので明日にも正式発表が行われる可能性はあるが、これまでに公開された情報をベースに、新型ダイハツ・ムーヴの特徴を予想したい。

まずはボディーサイズ。5月12日に先行公開された情報のなかに寸法のことは記載されていないが、真横から見た車体画像と「リアスライドドアである」という事実から推測する限り、おそらく全高は「ムーヴ キャンバス」と同じ1655mmになるだろう。つまり従来型ムーヴより25mm高く、競合である「スズキ・ワゴンR」より5mmだけ高いという高さ感だ。そして新型の全長と全幅は、従来型ムーヴとまったく同じになるだろう。

お次はデザイン。公式の先行情報によれば「ムーヴならではの動く姿が美しいスタイリッシュなデザイン」とのことだが、確かに公式画像を見る限り、全体のボクシーな造形に傾斜がきつめなAピラーおよびフロントウィンドウを組み合わせたシルエットは、なかなかスタイリッシュ。ティザー画像ではハッキリは見えないフロントマスクは、従来型のイメージを踏襲しつつ、なんとなくメルセデスの「EQ」シリーズを思わせる造形になったと感じるが、ここも、ダイハツがうたうとおりの「スタイリッシュなデザイン」になると判断していいはずだ。

ダイハツ工業は2025年5月12日、同年6月に発売を予定している新型「ムーヴ」の情報を、オフィシャルサイト上で先行発表した。ヘッドランプを点灯させたフロントマスクの画像1点(写真)と、車両のサイドビューの画像2点が公開されている。
ダイハツ工業は2025年5月12日、同年6月に発売を予定している新型「ムーヴ」の情報を、オフィシャルサイト上で先行発表した。ヘッドランプを点灯させたフロントマスクの画像1点(写真)と、車両のサイドビューの画像2点が公開されている。拡大
新型「ムーヴ」のサイドビュー。軽ハイトワゴン界のお約束であったヒンジ式のリアドアを廃し、電動スライドドアが採用された。
新型「ムーヴ」のサイドビュー。軽ハイトワゴン界のお約束であったヒンジ式のリアドアを廃し、電動スライドドアが採用された。拡大
ボクシーな造形に傾斜がきつめなAピラーおよびフロントウィンドウを組み合わせたシルエットは、なかなかスタイリッシュ。従来型のイメージもしっかり引き継がれている。
ボクシーな造形に傾斜がきつめなAピラーおよびフロントウィンドウを組み合わせたシルエットは、なかなかスタイリッシュ。従来型のイメージもしっかり引き継がれている。拡大
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車両の価格は20万円程度上昇する?

バリエーションはノンターボがエントリーグレードの「L」と中間グレードの「X」、そして上級グレードの「G」という3種類で、ターボ付きは「RS」というグレード名の1種類。それぞれに2WD車と4WD車があり、価格帯は2WDが130万円ちょいから190万円弱、4WDは150万円弱から約200万円と、ざっくりとしたチャートによって発表された。

2WD車の場合、売れ筋となる中間グレードのXがおそらく149万円前後で、スポーティーなRSは189万円前後になるだろう。

従来型ムーヴで「スマートアシストIII」付きの中間グレードである「X“SA III”」は車両本体価格が129万8000円。新型のXが(おそらく)149万円前後になるということは、車両の価格が単純計算で約20万円上昇するということになる。しかしリアスライドドアの採用や、原材料費高騰などの諸事情から考えると「まぁ妥当でしょう」という印象になる価格設定だ。

運転支援システムについての公式情報は現時点では発表されていないが、おそらくは現行型ムーヴ キャンバスと同等、つまりスマートアシストの基本的な機能は全車標準で、アダプティブクルーズコントロールはターボ車であるRSにのみ標準装備。中間グレードのXではメーカーオプションという扱いになると予想される。

2014年12月に発表された6代目「ダイハツ・ムーヴ」。初代モデルは1995年に登場し、これまでに340万台以上を販売したという。
2014年12月に発表された6代目「ダイハツ・ムーヴ」。初代モデルは1995年に登場し、これまでに340万台以上を販売したという。拡大
スポーティーなエクステリアデザインがセリングポイントとされた6代目「ムーヴ カスタム」。2021年9月1日に一部改良を実施し、特別仕様車「カスタムX“VS SA III”」を設定した。
スポーティーなエクステリアデザインがセリングポイントとされた6代目「ムーヴ カスタム」。2021年9月1日に一部改良を実施し、特別仕様車「カスタムX“VS SA III”」を設定した。拡大
「ムーヴ カスタムX“VS SA III”」は、「カスタムX“リミテッドSA III”」をベースに、パノラマモニター対応カメラを装備した特別仕様車。リーズナブルな価格設定もセリングポイントとされた。
「ムーヴ カスタムX“VS SA III”」は、「カスタムX“リミテッドSA III”」をベースに、パノラマモニター対応カメラを装備した特別仕様車。リーズナブルな価格設定もセリングポイントとされた。拡大
「ムーヴ カスタム」の特別仕様車「X“VS SA III”」のインストゥルメントパネル。ブラックを基調としたシックな仕上げが目を引く。
「ムーヴ カスタム」の特別仕様車「X“VS SA III”」のインストゥルメントパネル。ブラックを基調としたシックな仕上げが目を引く。拡大

軽ハイトワゴンの復権なるか

先行公開された情報からわかることおよび推測できることはおおむね以上で、このほかでは「カラーバリエーションは全13色。そのうちツートンは3種類」ということぐらいだが、根本的に考えたいのは「新型ダイハツ・ムーヴとはそもそも“何”なのか?」ということだ。

従来型ムーヴはいわゆる軽ハイトワゴンの王道であり、同カテゴリーであるスズキ・ワゴンRや「日産デイズ」と、言い方は悪いかもしれないが「似たようなつくりのクルマ」として戦いながら、軽ハイトワゴンを求めるユーザーに購入されることを目的としていた。

しかし新型ムーヴは、軽ハイトワゴン界のお約束であったヒンジ式のリアドアを廃し、電動スライドドアを採用した。それに伴って車両価格が1割以上高額になったことで、従来型のユーザーおよび潜在ユーザーからは「スライドドアなんてクルマが重くなって高額になるだけだから、必要なかった。今回のモデルチェンジは改悪だ」とする声も上がっているようだ。

そういった声には「確かに」とうなずける部分もあるが、より冷静に考えてみるのであれば、ダイハツは従来型軽ハイトワゴンという市場に見切りをつけた――ということなのだろう。もう少し穏当な言い方に変えるのであれば、「これまでとは違う軽ハイトワゴン像を目指した」ということだ。

ファミリーユースを主目的とするユーザーは「せっかくだから」ということで、背が高くて便利なスライドドア付きの軽スーパーハイトワゴンを、多少割高であっても選択する。そしてビジネスユースを主目的するユーザーは、あくまでも割り切って「ミラ イース」や「アルト」などを選ぶ。そういった世相のなかで、軽スーパーハイトワゴンの台頭によって図らずも中途半端なポジションにスライドしていた軽ハイトワゴンというカテゴリーは、商品力と競争力を失っていた。

しかしそれでも世の中には「背が高すぎる軽スーパーハイトワゴンはいらない」と考えるユーザーは一定数以上いる。そういった層に向けた新商品のひとつがダイハツ・ムーヴ キャンバスだったわけだが、ムーヴ キャンバスには「カワイイ」という、美点と背中合わせの欠点(例えば筆者のような中高年のおっさんには似合いづらい)がある。

しかし性別不問的なムーヴ キャンバス=新型ムーヴであれば、衰退した軽ハイトワゴンというマーケットを再興できるはず──と考えたのが、今回の新型ダイハツ・ムーヴなのだろう。

もしも新型ムーヴの販売台数が、先行する軽スーパーハイトワゴンに肉薄するような事態が起きたならば、今後は「スライドドア付きの、スーパーではない軽ハイトワゴン」がマーケットの準主役になっていく可能性はある。

(文=玉川ニコ/写真=ダイハツ工業、スズキ/編集=櫻井健一)

2021年9月10日に発売された「スズキ・ワゴンRスマイル」。スライドドアを備えた新型車で、軽ハイトワゴンの「ワゴンR」と軽スーパーハイトワゴン「スペーシア」の間に位置する車高が特徴だ。
2021年9月10日に発売された「スズキ・ワゴンRスマイル」。スライドドアを備えた新型車で、軽ハイトワゴンの「ワゴンR」と軽スーパーハイトワゴン「スペーシア」の間に位置する車高が特徴だ。拡大
「スズキ・ワゴンRスマイル」のリアビュー。同車の登場直後となった2021年10月の販売台数は、「ワゴンR」シリーズ全体で8808台となり、これは登録車を含めたランキングでも2位に食い込むものである。前年比では+79.7%という大幅な伸びをみせている。
「スズキ・ワゴンRスマイル」のリアビュー。同車の登場直後となった2021年10月の販売台数は、「ワゴンR」シリーズ全体で8808台となり、これは登録車を含めたランキングでも2位に食い込むものである。前年比では+79.7%という大幅な伸びをみせている。拡大
オーソドックスなヒンジ式のリアドアを採用する現行型「ダイハツ・ムーヴ」。7代目でスライドドアを採用した理由のひとつに、ライバル車である「ワゴンRスマイル」の存在が大きく影響していることは間違いないだろう。
オーソドックスなヒンジ式のリアドアを採用する現行型「ダイハツ・ムーヴ」。7代目でスライドドアを採用した理由のひとつに、ライバル車である「ワゴンRスマイル」の存在が大きく影響していることは間違いないだろう。拡大
現行型「ダイハツ・ムーヴ カスタム」。軽量・高剛性をうたう新ボディー骨格「D monocoque(Dモノコック)」を新たに採用し、走行性能の大幅向上を図った。
現行型「ダイハツ・ムーヴ カスタム」。軽量・高剛性をうたう新ボディー骨格「D monocoque(Dモノコック)」を新たに採用し、走行性能の大幅向上を図った。拡大
現行型「ダイハツ・ムーヴ カスタム」のインテリア。リアスライドドアの採用によって、7代目ムーヴのインテリアがどのように進化するのか注目される。
現行型「ダイハツ・ムーヴ カスタム」のインテリア。リアスライドドアの採用によって、7代目ムーヴのインテリアがどのように進化するのか注目される。拡大
玉川 ニコ

玉川 ニコ

自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。

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