ボルボXC60 T5 SE(FF/6AT)【ブリーフテスト】
ボルボXC60 T5 SE(FF/6AT) 2010.09.13 試乗記 ……586.0万円総合評価……★★★★★
いまやボルボの看板車種となったクロスオーバーモデル「XC60」。2009年8月の国内デビューから1年後に追加された「T5 SE」をテストした。
4WDが不要なら
中型クラスのSUVを求めるにあたり、たとえ緊急時であれ4WDを必要とする環境ならば、やはり4WD車を買うべきだと思う。ただし、ちょっとした平地の降雪程度ならばFFで十分許容するし、単にSUV的なスタイリングや視界のいい高めの運転席が欲しいだけならば、「XC60 T5 SE」はオススメできる。
外観は4WD車と同じ。駆動系のほか、エンジンや装備にも違いはあるが、上級モデルとの価格差は100万円以上と大きい。ボルボといえば高価格なイメージもあるが、これはお買い得なボルボといえよう。
今回テストした、都心部、高速道路、山間部を適当にとりまぜたいつものステージ268.2kmの平均燃費は7.1km/リッターであったが、別の機会に3日で約3000kmを走破した際には、ドライブコンピューター上の総平均で10.5km/リッターと2けたを記録した。車重が軽いことも、好燃費につながっている。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2002年に登場したボルボ初の本格SUV「XC90」からその雰囲気を受け継ぎ、一回り小さなボディサイズで2009年8月に登場した「XC60」。ライバルとして名が挙がるのは「アウディQ5」や「BMW X3」「メルセデスGLKクラス」など。リーマンショック以後、大型SUVの人気にかげりが見え始めてから、がぜん注目を集めるようになった、ミドルサイズのグローバルSUVである。
(グレード概要)
グレードは3タイプ。3リッター直6ターボ搭載の「T6 SE AWD」と、そのスポーティ版「T6 R-DESIGN」、そして2010年8月に追加された、2リッター直4ターボ搭載の「T5 SE」だ。このうち前2モデルは4WDで、「T5 SE」のみFFとなる。
価格差が100万円以上になる「T6 SE AWD」と「T5 SE」は、駆動方式のほかに、エンジン、装備内容が異なる。主な装備の違いは、「T6 SE AWD」ではレザーとなる内装が「T5 SE」ではテキスタイルとなることや、シートヒーターが省かれることなど。一方、HDDナビゲーション、18インチアルミホイール、デュアルキセノンヘッドライト、自動ブレーキをかける先進の安全装備「シティセーフティ」は、全車に標準で備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
インストゥルメントパネルも装備も、4WD車とまったく同じ。明るい内装は凝った造りでありながら、スウェーデンデザイン特有のスッキリした趣味の良さもうかがわせる。しっかりした造りの堅さは耐久性はもちろん長期間の付き合いにも耐え、飽きさせないし高級感も併せ持つ。ボルボの優れている点は、(北欧では冬季は手袋着用も常識なことから)スイッチやダイヤル部の操作力や操作量、周囲との間隔などが手袋をしたままでも操作しやすい設定となっている点。間隔が空いているから素手でも操作しやすい。
(前席)……★★★★★
表皮が革のシートは滑りやすいものが多いが、これはカッチリと硬い造りでありながら、形状が腰全体の要所を分散しつつ巧みに包みこんでくれる。だからズレにくい。クッションそのものも硬めで、長時間座っているとお尻は痛くなるが、体そのものは疲れないという不思議なシート。高めに座って周囲の眺めも良く、体がしっかり位置決めされるため運転していて安心感がある。
(後席)……★★★★★
こちらも全体に硬めでフンワリとはしていない。けれども運転手が乱暴に振り回しても妙に安心して乗っていられる。居住空間としては広く開放的で明るい。薄暗い大型セダンの後席におしこめられているより快適と思えるのは、ガッシリしたボディ骨格に守られていると実感するのはもとより、無用に身体が揺さぶられないからだろうか。見た目は座面が高く感じるが乗降性も悪くはない。
(荷室)……★★★★
バックドアは開閉共に電動油圧式でワンタッチ。こうしたところに高級感を漂わせつつ、実用性も高い。もし普通に手動だったら、上がったゲートに届きにくいし力も要るだろう。小さな荷物の積載で荷室スペースが広すぎる場合には、半分のスペースに区切れるついたてが出るのも便利。床下にはスペアタイヤはなくパンク修理剤が入っている。内装のトリムもきっちり仕上げてあり、高級ステーションワゴン造りにおける歴史の長さを感じさせる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
2リッターの排気量に6段ツインクラッチ式のATを組み合わせ、緩急自在の動力性能と経済性を併せ持つ。トルコンATに比べ、ずるずる滑るルーズな感覚なしにすっきり加速し、エンジンブレーキも信頼できて挙動はソリッド。手動シフトで低回転を保ってもトルクはあるし、もちろん高回転まできれいに回るし、不当にやかましくはならない。むやみに多段化したものと違い、ボルボのそれはギア比の幅を広げつつ有効にパワーを使い切れる感じがいい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
数字上の外寸はかなり大きなクルマではあるが、サイズを感じさせない取りまわしの良さがある。バックビューモニターはもとより有効、ソナーも備わるが基本的な部分で見切りの良さやミラー類の適切な配置がある。カッシリした手応えの操舵(そうだ)感も上々。いたずらにギア比を詰めない自然な回頭感覚もいい。乗り心地はフラットで重厚。ただしロードノイズはやや大きめだ。
(写真=本池邦雄)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2010年8月19日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2010年型
テスト車の走行距離:2561km
オプション装備:セーフティ・パッケージ=20.0万円/レザー・パッケージ=25.0万円/エクステリア・スタイリング・パッケージ=15.0万円/チルトアップ機構付き電動パノラマ・ガラスサンルーフ=20.0万円/パワーテールゲート=7.0万円
タイヤ:(前)235/60R18(後)同じ(いずれも、ピレリP ZERO ROSSO)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:268.2km
使用燃料:37.67リッター
参考燃費:7.1km/リッター

笹目 二朗
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。






























