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ボルボXC60ウルトラB5 AWD(4WD/8AT)

ライバルとは全然違う 2025.06.25 試乗記 生方 聡 デビューから間もなく丸8年。2度目のマイナーチェンジが行われた「ボルボXC60」のマイルドハイブリッド車に試乗した。アップデートされた内外装や使いやすさにこだわったインフォテインメントシステム、高効率を目指した改良型パワーユニットの仕上がりやいかに。
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ボルボのベストセラーが2度目のアップデート

2024年、世界中で販売されたボルボ車のなかで最も販売台数が多かったモデルは、ミッドサイズSUVのXC60だそうだ。日本ではコンパクトSUVの「XC40」がトップで、これに次ぐ2位がXC60である。

現在のXC60は2代目にあたり、日本に上陸したその年に日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのがつい最近のように思える。あれは2017年のことだからもう7年以上も前の話。その後、毎年のように改良の手が加えられ、2022年モデルでは内外装をリニューアルする大幅なアップデートが行われている。そして2025年6月に発売された2026年モデルでは2度目の大きな仕様変更が実施され、最新のデザインとテクノロジーを手に入れることになった。

エクステリアデザインに関しては、今回の変更は実にわかりやすい。新旧を見分ける一番のポイントはフロントグリルで、これまではグリル内に縦のバーが並んでいたのに対し、最新版では異なる2つの斜線が組み合わされるようになった。これは、ひとあし先にフェイスリフトを実施したフラッグシップSUVの「XC90」と共通で、最新のボルボデザインをまとうXC60は、モデルサイクルの長さを感じさせないほど新鮮な印象である。

しかもそのフロントグリルには、クロームメッキとブラックの2パターンが用意され、ガソリンエンジンを搭載する「B5」はクローム、プラグインハイブリッド車の「T6」はブラック仕上げとなる。さらにバンパーのデザインを変えることで、微妙に異なる個性を両モデルに与えているのも心憎い。

2025年6月に発売された「ボルボXC60」のマイナーチェンジモデル。「次世代ユーザーエクスペリエンスの採用」「内外装のデザインのリフレッシュ」「快適性の向上と環境負荷の低減」などがうたわれている。
2025年6月に発売された「ボルボXC60」のマイナーチェンジモデル。「次世代ユーザーエクスペリエンスの採用」「内外装のデザインのリフレッシュ」「快適性の向上と環境負荷の低減」などがうたわれている。拡大
2代目にあたる現行型「ボルボXC60」は、2017年10月に日本でも販売が開始された。XC60は2024年に販売されたボルボ車のなかで、最も販売台数が多かったグローバルモデルと紹介されている。
2代目にあたる現行型「ボルボXC60」は、2017年10月に日本でも販売が開始された。XC60は2024年に販売されたボルボ車のなかで、最も販売台数が多かったグローバルモデルと紹介されている。拡大
最新のBEV「EX90」やSUV「XC90」に共通するデザインテイストでリニューアルされたフロントグリル。ボルボの「アイアンマーク」にシンクロした斜線を重ね合わせた意匠で、モダンと洗練を表現したという。
最新のBEV「EX90」やSUV「XC90」に共通するデザインテイストでリニューアルされたフロントグリル。ボルボの「アイアンマーク」にシンクロした斜線を重ね合わせた意匠で、モダンと洗練を表現したという。拡大
新デザインのホイールや、ダークカラーのフルLEDテールランプで力強さが演出された最新の「XC60」。ボディーカラーは、新色の「フォレストレイク」(写真)や「オーロラシルバー」「マルベリーレッド」を含む全6色から選択できる。
新デザインのホイールや、ダークカラーのフルLEDテールランプで力強さが演出された最新の「XC60」。ボディーカラーは、新色の「フォレストレイク」(写真)や「オーロラシルバー」「マルベリーレッド」を含む全6色から選択できる。拡大
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進化したインフォテインメントシステム

クロームメッキが施されるフロントグリルからもわかるとおり、今回試乗したのはガソリンエンジンを搭載するB5の4WD仕様「XC60ウルトラB5 AWD」だ。

試乗した車両のインテリアは、ファインナッパレザーシートや白いウッドパネルなど、ボルボらしい落ち着きのある上質な雰囲気が魅力である。ちなみに、ウルトラグレードではファインナッパレザーが標準装着される一方、オプションでリサイクルポリエステルを使ったファブリックが無償で選べる。“レザーフリー”を好む人にとっては、こういった選択肢が用意されるのは見逃せないだろう。

センターディスプレイのデザインが一新されたのも、最新型XC60の見どころのひとつ。ダッシュボードから浮き上がるタブレット状のディスプレイは、従来の9インチから11.2インチにサイズが拡大されたことに加えて、必要な機能にダイレクトにアクセスできる画面構成により操作性が向上。

そのうえ、これまでに比べて処理速度が2倍、グラフィックの生成速度が10倍に向上したというQualcomm Technologies社のSnapdragon Cockpit Platformを搭載することで、操作に対してサクサク動くのが実に気持ちがいい。1回目の大幅刷新で投入されたGoogleインフォテインメントシステムも、スマートフォン同様、直感的に操作できるのがうれしい。

マイナーチェンジした「XC60」のコックピット。9インチから11.2インチに大型化され、従来モデル比で解像度が21%向上したタッチ式センターディスプレイをダッシュボードの中央に配置している。
マイナーチェンジした「XC60」のコックピット。9インチから11.2インチに大型化され、従来モデル比で解像度が21%向上したタッチ式センターディスプレイをダッシュボードの中央に配置している。拡大
今回試乗した「XC60ウルトラB5 AWD」のインテリアは、「ブロンド」と呼ばれるカラーのファインナッパレザーシートや白いウッドパネルなどでコーディネートされていた。北欧ブランドらしい落ち着きのある上質な雰囲気を感じることができた。
今回試乗した「XC60ウルトラB5 AWD」のインテリアは、「ブロンド」と呼ばれるカラーのファインナッパレザーシートや白いウッドパネルなどでコーディネートされていた。北欧ブランドらしい落ち着きのある上質な雰囲気を感じることができた。拡大
フロントと同じくリアシートも「ブロンド」のファインナッパレザーで仕立てられている。「ウルトラ」グレードではリサイクルポリエステルを使った“レザーフリー”の表皮も無償オプションで選択が可能だ。
フロントと同じくリアシートも「ブロンド」のファインナッパレザーで仕立てられている。「ウルトラ」グレードではリサイクルポリエステルを使った“レザーフリー”の表皮も無償オプションで選択が可能だ。拡大
11.2インチにサイズが拡大され、操作性が向上したセンターディスプレイ。処理速度が2倍、グラフィックの生成速度が10倍に向上したというQualcomm Technologies社のSnapdragon Cockpit Platformを搭載している。
11.2インチにサイズが拡大され、操作性が向上したセンターディスプレイ。処理速度が2倍、グラフィックの生成速度が10倍に向上したというQualcomm Technologies社のSnapdragon Cockpit Platformを搭載している。拡大

力強い加速をもたらす新B5パワートレイン

搭載されるガソリンエンジンはB5という名称こそ変わらないものの、シリンダーブロック以外はほぼ一新されたという変貌ぶりだ。2021年モデルで導入されたB5は、2リッター直4直噴ガソリンターボにマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたものだが、2026年モデルでは、さらなる高効率化を狙い、吸気の際にインテークバルブを早閉じすることで圧縮比を膨張比よりも低めにする「ミラーサイクル」が採用されている。

こちらも、ひとあし先にXC90に搭載され、250PSの最高出力と360N・mの最大トルクもXC90と同じ。XC90でも不満のない加速をみせたB5だけに、XC90よりも200kg軽いXC60では動き出しから力強く、1500rpmの低い回転域でもアクセル操作に対する反応は素早い。これには48Vマイルドハイブリッドシステムも大いに貢献しているはずで、スタータージェネレーターと呼ばれる電気モーターが加速時にエンジンをアシストするのが、運転のしやすさにつながっている。

さらにアクセルペダルを深く踏んで加速する場面では、2500rpmを超えたあたりから力強さを増し、その勢いが6000rpm超えまで続くのが頼もしい。ガソリンエンジンではあるものの、太いトルクが低回転から楽しめるのはディーゼルターボのようだ。

今回の試乗では燃費が確認できるほど十分な距離を走ることはできなかったが、ミラーサイクルを採用したことから、とくに高速燃費の向上が期待できる。

今回試乗した「ボルボXC60ウルトラB5 AWD」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4710×1900×1660mmで、ホイールベースは2865mm。上級グレードのPHEVよりも15mm全幅が狭い設定だ。
今回試乗した「ボルボXC60ウルトラB5 AWD」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4710×1900×1660mmで、ホイールベースは2865mm。上級グレードのPHEVよりも15mm全幅が狭い設定だ。拡大
最高出力250PSの2リッター直4直噴ガソリンターボエンジンと48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされる「B5」のパワーユニット。トランスミッションは8段ATのみの設定となる。
最高出力250PSの2リッター直4直噴ガソリンターボエンジンと48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされる「B5」のパワーユニット。トランスミッションは8段ATのみの設定となる。拡大
スウェーデン王室御用達として知られるオレフォス社製の「クリスタルシフトノブ」は、「XC60」の全車に標準装備とされる。
スウェーデン王室御用達として知られるオレフォス社製の「クリスタルシフトノブ」は、「XC60」の全車に標準装備とされる。拡大
15スピーカーで構成される総出力1410Wの「Bowers & Wilkinsハイフィデリティオーディオシステム」は、39万円の有償オプション。
15スピーカーで構成される総出力1410Wの「Bowers & Wilkinsハイフィデリティオーディオシステム」は、39万円の有償オプション。拡大

快適さもワンランク上に

走りだしてすぐに気づくのは、XC60の高い静粛性。エンジンが遠く離れた場所にあるように感じられるほどだ。実は今回のアップデートでは、ピラーやエンジンルームなどに遮音材を追加したといい、さらに試乗車にオプションで装着されていた「ラミネーテッドサイドウィンドウ」も、静粛性向上に貢献しているのだろう。

XC60のサスペンション形式はフロント:ダブルウイッシュボーン、リア:マルチリンクで、今回試乗したXC60ウルトラB5 AWDにはオプションの「電子制御4輪エアサスペンション+ドライビングモード選択式FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシー」が装着されていた。一般道を比較的低速で走る場面では軽いピッチングがみられるものの、速度が上がるにつれて落ち着きを増し、穏やかな乗り心地とあいまって、快適なドライブが楽しめる。

試乗時にはワインディングロードを走る機会もあったが、コーナーでのロールはうまく抑え込まれていて接地感も高い。予想していた以上に走りが楽しいのも、このクルマの印象をよくしている。

4710mmと余裕ある全長のおかげで、室内には十分なスペースが確保されている。後席では楽に足が組めるし、ラゲッジスペースもボディーサイズ相応に広い。

洗練されたデザインと走りにさらに磨きがかかったXC60。日本やドイツのライバルとは明らかに異なるキャラクターとあいまって、これからもまだまだ人気モデルであり続けそうだ。

(文=生方 聡/写真=佐藤靖彦/編集=櫻井健一)

今回のアップデートでは、ピラーやエンジンルームなどに遮音材を追加。2枚のガラスの間にプラスチックフィルムを挟み込んだ「ラミネーテッドサイドウィンドウ」もオプションアイテムとして用意する。静粛性の向上も、最新型のセリングポイントである。
今回のアップデートでは、ピラーやエンジンルームなどに遮音材を追加。2枚のガラスの間にプラスチックフィルムを挟み込んだ「ラミネーテッドサイドウィンドウ」もオプションアイテムとして用意する。静粛性の向上も、最新型のセリングポイントである。拡大
今回の試乗車は、新デザインの「5ダブルスポーク ダイヤモンドカット/グロッシーブラック」の19インチホイールに、前後とも235/55R19サイズの「ピレリPゼロ」タイヤを組み合わせていた。
今回の試乗車は、新デザインの「5ダブルスポーク ダイヤモンドカット/グロッシーブラック」の19インチホイールに、前後とも235/55R19サイズの「ピレリPゼロ」タイヤを組み合わせていた。拡大
後席を使用した際の荷室容量は483リッター。2列目シートをすべて格納すると、容量を1543リッターに拡大できる。リアのホイールアーチ内側の形状が工夫されており、リアシートを倒しても荷室の床面は広くフラットなままに保たれる。
後席を使用した際の荷室容量は483リッター。2列目シートをすべて格納すると、容量を1543リッターに拡大できる。リアのホイールアーチ内側の形状が工夫されており、リアシートを倒しても荷室の床面は広くフラットなままに保たれる。拡大
「XC60」のサスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアがマルチリンクとなる。今回試乗した4WDのマイルドハイブリッド車では、コーナーでのロールがうまく抑え込まれ、接地感の高いスポーティーな走りが味わえた。
「XC60」のサスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアがマルチリンクとなる。今回試乗した4WDのマイルドハイブリッド車では、コーナーでのロールがうまく抑え込まれ、接地感の高いスポーティーな走りが味わえた。拡大

テスト車のデータ

ボルボXC60ウルトラB5 AWD

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4710×1900×1660mm
ホイールベース:2865mm
車重:1930kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:250PS(184kW)/5400-5700rpm
エンジン最大トルク:360N・m(36.7kgf・m)/2000-4500rpm
モーター最高出力:13.6PS(10kW)/3300rpm
モーター最大トルク:40N・m(4.1kgf・m)/2250rpm
タイヤ:(前)235/55R19 105V XL/(後)235/55R19 105V XL(ピレリPゼロ)
燃費:12.1km/リッター(WLTCモード)
価格:879万円/テスト車=983万6350円
オプション装備:電子制御4輪エアサスペンション+ドライビングモード選択式FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシー(33万円)/ラミネーテッドサイドウィンドウ(13万円)/Bowers & Wilkinsハイフィデリティオーディオシステム<1410W、15スピーカー、サブウーハー付き>(39万円) ※以下、販売店オプション ボルボ・ドライブレコーダーアドバンス<ブラケット付き/工賃含む>(19万6350円)

テスト車の年式:2025年型
テスト開始時の走行距離:1345km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

ボルボXC60ウルトラB5 AWD
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生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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