トヨタRAV4 Z(4WD/CVT)/RAV4アドベンチャー(4WD/CVT)
変わらないのはサイズだけ 2026.03.17 試乗記 「トヨタRAV4」が6代目へと進化。パワートレインやシャシーの進化を図ったほか、新たな開発環境を採用してクルマづくりのあり方から変えようとした意欲作である。ハイブリッドの「Z」と「アドベンチャー」を試す。年間100万台以上も売れている
この新型が世界初披露された2025年5月の時点で、1994年の初代からの累計販売台数が1500万台と発表されていたRAV4。それ自体もすごいが、実は先代(5代目)が国内導入された2018年はそれが800万台とされていた。もともとクロスオーバーSUVの草分けとして底堅い人気を集めていたが、7年で700万台を積み上げたという事実には驚くしかない。世界約180もの国と地域で販売されるトヨタ車はRAV4だけだという。
スーパースターは皆の期待に応えねばならない。RAV4も100万台ずつ売れた先代モデルの路線を踏襲し、どこへでも行けそう、何にでも使えそう、であることを強化している。ボディーやホイールベースの寸法を変えなかったのも700万台もの支持を集めたサイズだから……が理由である。前後オーバーハングや前席の着座位置、前後席間の距離といった数値まで律義に守っている。
パワートレインはハイブリッドとプラグインハイブリッドのいずれも4WDのみに集約された。中国や新興国向けには2リッターの純ガソリンエンジンモデルも残っているとのことだが、主要市場では高価格帯のみに絞り込んだところにトヨタの強気がみてとれる。技術的な注目度が高いのはトヨタの第6世代システムを搭載したプラグインハイブリッドモデルだが、今回乗れたのは第5世代のハイブリッドモデルのみ。ただし、そのまま積み替えているのではなく、パワーコントロールユニットやトランスアクスルなどを改良し、電池はバイポーラ型に変更。システム最高出力は222PSから240PSにアップしている。世代がそのままなのにWLTCモードの燃費をさらりと10%も改善しているのはさすがトヨタといえるだろう。具体的には「Z」グレードで22.5km/リッター、「アドベンチャー」グレードで22.9km/リッターを実現している。
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装備の配置にみるトヨタの良心
エクステリアデザインは分かりやすくカッコよくなった。フロントマスクはトヨタ得意のハンマーヘッドタイプに変わり、バンパーと一体成型のグリルと合わせて全体にシャープなイメージになった。フェンダーの張り出しを強調するボディー側面の抑揚もいい感じだ。この「コア」と呼ばれる基本デザインはZグレードが採用している。ワイドトレッド化してホイールアーチモールや大型グリルを加えたアドベンチャーグレードはタフさを強めながら泥臭さを抑えているのが好ましい。
インストゥルメントパネルの高さを40mmも下げたということで、運転席からの見晴らしはとてもよい。ダッシュボードやドアパネルにはソフトパッドが広く使われており、質感もなかなか良好である。装備の配置も分かりやすい。例えばシフトセレクターとパーキングブレーキスイッチ、ブレーキホールドスイッチの3つはセンターアームレストのすぐ前にまとめて設置されている。ドライブモードとハイブリッド/EVモードのスイッチはドライバーの近くに、めったに使わない「トレイル」「スノー」は遠くにというところにも配慮がみてとれる。12.9インチタッチスクリーンの画面下部にはシートヒーターやエアコンのモード切り替えなどのアイコンが並んでいるが、よく見ると温度調整とデフロスター&デフォッガーのスイッチは額縁の外に物理ボタンで残されている。このあたりは社内でも議論があったとのことだが、トヨタは(ここでは)コストよりも単機能ボタンによる分かりやすさを優先している。
新型RAV4のソフトウエアは新しい開発環境の「Arene(アリーン)」をベースとしている。これまでの自動車開発では各機能ごとにソフトウエアを個別に用意する必要があったが、アリーンを使うと「先進運転支援」「コックピット」「ボディー」「パワートレイン」のドメインごとに開発を統合できるのがメリットだという。ただしRAV4はアリーン採用の第1号機のため、ボディーとパワートレインでは旧来の開発環境を使っている。
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アリーンはどこにある?
室内ではインフォテインメントシステムにアリーンが使われているが、あくまで開発環境のため、ユーザーが「おっ、アリーンだ」などと感じることはない。センターディスプレイは表示のコントラストがくっきりと強くなって分かりやすくなったほか、ショートカットの配置などのカスタマイズが事細かにできるようになった。操作感としてはスマートフォンに近くなった印象だ。さらに音声認識の応答速度が大幅に向上し、認識結果表示までの時間が3.6秒から1.0秒に短縮したという。これまでのトヨタの対話型音声コマンドはちょっとほほ笑ましい認識と行動をすることが多かったが、ナビゲーションやエアコンの操作などはおおむねオーダーどおりにやってくれるようになった。
先進運転支援の面では、これまでパーキングサポートブレーキやパノラミックビューなどの機能ごとにあったECUをアリーン対応の1つのみに統合。カメラをはじめとした各種センサーのプラグ&プレイに対応しているのが特徴で、センサーのレベルによってどんな性能のどんな機能が使えるかを容易に設定できるのがメリットだという。ソフトウエアが統合されているため、技術開発が進んだ際にはこれまでよりも大規模なアップデートができるらしい。これはインフォテインメントシステムも同様だという。
シャシーは従来型と同じGA-Kプラットフォームの大幅改良型を使う。テールゲート開口部の手当てによってねじり剛性を9.7%高めたほか、サスペンション取り付け部の剛性をフロントで31%、リアで27%も強化。フロアには高剛性&高減衰接着剤を採用している。先代モデルも乗り心地の悪いクルマではなかったが、新型は確かにフラット感が増した印象だ。トヨタらしい乾いたダンピングながら、すっきりとした乗り味に仕上がっている。先代モデルのオーナーであれば大きめの段差を乗り越えた際に進化を感じることだろう。フロント:ストラット、リア:マルチリンクの足まわりには新しい摺動構造のダンパーを使っている。
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匠のペダルコントロールをADASに
スピード管理のしやすさも特筆すべきところだ。オルガン式に変わったアクセルペダルをジワリと踏めばジワリと加速し、スーッと緩めればスーッと減速。自分の意思どおりに1km/h、2km/hと自在に足し引きできる操作性に従来型からの確かな進化がみてとれる。深く踏み込んだ際の加速力も十分だ(ビイーンという音の高まりはある)。歩くような速度域から高速域まで、自在にコントロールできるのが新型ならではのポイントだ。ブレーキのタッチもいい。減速の立ち上がりが自然なら、踏み増していった際の制動力の強まり方もごく自然。こちらは新しい電子制御式のブレーキシステムを搭載しており、4つのブレーキの制動力を個別かつより細かくコントロールできるようになっているという。強くブレーキを踏んでもノーズダイブが起きづらいのはそのためだ。オフロードで浮いた片輪を制動して駆動力を確保するようなシーンでも大いに役立つという。
予防安全装備は大幅に強化されているが、日常使用でありがたいのは「プロアクティブドライビングアシスト(PDA)」だろう。前走車や前方のカーブなどに合わせてブレーキやステアリングをそれとなく調整してくれるという重要な機能であり、2021年の現行型「レクサスNX」を初出にさまざまなモデルに採用されてきたが、新型RAV4に搭載されるにあたって初めて制御がアップデートされている。その内容は「減速制御がより自然に」とのことである。といっても、既存のシステム搭載車でもその振る舞いはごく自然であり、減速がドライバーによるものかシステムによるものかはほとんど分からないレベルだった。新型RAV4ではトヨタの匠(たくみ)ドライバーのペダル操作を数値化し、それを制御に落とし込んでいるという。この日は都内での短時間の試乗だったため、PDAの進化のレベル(普通に使えました)や実燃費(メーター表示は17km/リッターくらいだった)などは測りかねたというのが正直なところである。ハンドリング性能もきちんと試せなかったのが残念だ。
先に書いたとおり新しいRAV4はサイズこそ変わっていないが、逆に変わっていないのはサイズだけといえるほどの大きな進化を遂げている。さすがトヨタの世界戦略車であり、短時間のドライブでは弱点らしい弱点はまるで見いだせなかった。どこへでも行けそう、何にでも使えそうな道具感を保ったまま、ドライバビリティーまで含めた全体の質感をきっちりと底上げしているのがさすがだ。100万台の次はどれくらいの水準を見据えているのだろうか。もはやサイズが近いだけの車種がライバルを名乗るのは難しくなっている。
(文=藤沢 勝/写真=郡大二郎/編集=藤沢 勝)
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テスト車のデータ
トヨタRAV4 Z
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4600×1855×1680mm
ホイールベース:2690mm
車重:1720kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:186PS(137kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:221N・m(22.5kgf・m)/3600-5200rpm
フロントモーター最高出力:136PS(100kW)
フロントモーター最大トルク:208N・m(21.2kgf・m)
リアモーター最高出力:54PS(40kW)
リアモーター最大トルク:121N・m(12.3kgf・m)
システム最高出力:240PS(177kW)
タイヤ:(前)235/50R20 104V XL/(後)235/50R20 104V XL(トーヨー・プロクセススポーツ)
燃費:22.5km/リッター(WLTCモード)
価格:490万円/テスト車=514万3100円
オプション装備:235/50R20タイヤ×7 1/2Jアルミホイール<切削光輝+ブラック塗装>+センターオーナメント+ホイールナット(11万円)/ITSコネクト(2万7500円)/緊急時操舵支援<アクティブ操舵機能付き>+フロントクロストラフィックアラート<FCTA>+レーンチェンジアシスト<LCA>(7万8100円) ※以下、販売店オプション フロアマット<デラックスタイプ>(2万7500円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:723km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4)/高速道路(6)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
トヨタRAV4アドベンチャー
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4620×1880×1680mm
ホイールベース:2690mm
車重:1710kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:186PS(137kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:221N・m(22.5kgf・m)/3600-5200rpm
フロントモーター最高出力:136PS(100kW)
フロントモーター最大トルク:208N・m(21.2kgf・m)
リアモーター最高出力:54PS(40kW)
リアモーター最大トルク:121N・m(12.3kgf・m)
システム最高出力:240PS(177kW)
タイヤ:(前)235/60R18 103H XL/(後)235/60R18 103H XL(ダンロップeスポーツマックス)
燃費:22.9km/リッター(WLTCモード)
価格:450万円/テスト車=455万5000円
オプション装備:ITSコネクト(2万7500円) ※以下、販売店オプション フロアマット<デラックスタイプ>(2万7500円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:526km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4)/高速道路(6)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

藤沢 勝
webCG編集部。会社員人生の振り出しはタバコの煙が立ち込める競馬専門紙の編集部。30代半ばにwebCG編集部へ。思い出の競走馬は2000年の皐月賞4着だったジョウテンブレーヴと、2011年、2012年と読売マイラーズカップを連覇したシルポート。
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