みんなで乗れるアメリカンSUBARU 3列シートSUV「アセント」はどれだけ大きいのか?
2026.07.13 デイリーコラム今までなかった貴重なスバル
トヨタは「タンドラ」に「ハイランダー」、ホンダは「インテグラ」に「パスポート」、そして日産は「ムラーノ」。こうして並べたモデルにどういうつながりがあるかは、クルマ好きの読者諸兄ならすぐにお気づきだろう。そう、例の“トランプ特例制度”を活用してアメリカから“正規輸入”されるアメリカ産の日本車だ。
ところで、なかにはこう思う人もいるに違いない。
「スバルは? われらがスバルはどうした!?」
特に、熱狂的なスバルファンはそうやきもきしていたに違いないが、スバルもそんなスバリストの気持ちを汲んだのだろう。2026年6月6日に公式プレスリリースで以下の声明を出した。
「米国で生産している3列SUV(北米:アセント、その他市場:エヴォルティス)について、2026年後半を目途に日本市場への導入を検討しています」
やったぜ! というわけで「アセントってどんなクルマ?」というのが今回のコラムのテーマ。日本ではほぼ知られていないスバル車だけに、初めて名前を聞いたという人も多いかもしれない。
アセント、それはひとことで言えば「いま市販されているなかでは、スバルで最も大きなモデル」だ。本来なら「スバル史上、最大のモデル」と言いたいところだけど、なんとも歯切れが悪いのは、2026年春にワールドプレミアされ、同年の後半以降に発売となるトヨタと共同開発のEV「ゲッタウェイ」が「スバルで最も大きなモデル」となることが確定しているから。惜しい!
欲しい人にはたまらない
とはいえ、全長4998mmと5mに迫るアセントのボディーは、1.9mを超える全幅も手伝って「ランクル“300”」並みのサイズ感がある(ちなみにゲッタウェイの全長は5050mm)。日本で売っているスバル車にはない迫力が魅力といっていいのではないだろうか。
パッケージングのうえでは3列シートのSUVで、雰囲気としては「ふた回り大きくした先代『フォレスター』」といったところだ。
エンジンは2.4リッターターボで、もちろん水平対向。つまり「WRX」や「レヴォーグ」の高性能モデルに積まれるエンジンと同じだ。駆動系は、こちらももちろんシンメトリカルAWDである。
プラットフォームはSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)なので、言い方を変えれば「『インプレッサ』も含めた日本で売っているスバル車と同じ」。本題からは外れるが、SGPはかなり幅広い車体に活用できる設計となっていることが理解できる。
そんなアセントがアメリカで発売されたのは2018年6月。もう8年も販売が続く息の長い車種だ。当初は先々代フォレスターっぽい雰囲気の顔つきだったが2022年にマイナーチェンジを受けて先代フォレスターのような“段付き”のヘッドライト形状にフェイスリフトされている。もちろん日本へ入ってくるのもこのタイプだろう。
そんなアセントは日本においてどんな人に向けた商品なのか。それは明確に答えることができる。「3列シートを必要とする熱狂的なスバルファン」と「大きな車体に引かれるスバル好き」だ。
「トラヴィック」や「エクシーガ」なき今、日本で正規販売しているスバル車に3列シートのモデルはない。しかし実際には家族構成などから3列車を必要とするスバルリストもいることだろう。アセントはそんな人にちょうどいいのである。
決して安くはないけれど……
シートアレンジは2タイプあり、異なるのは2列目。セパレートシート(左右独立シート)の7人乗りと、ベンチシートの8人乗りを選ぶことができる。好みや必要性に合わせて選べばいいが「8人乗れる必要はない」とか「車中泊したい」という理由がなければ、開放感にすぐれ3列目へのアクセスも容易な7人乗りが筆者のおすすめだ。
気になる価格は、北米での販売価格が4万0795ドルから5万1995ドルほどで日本円に換算してだいたい660万から850万円といったところ。日本には上級グレードを持ってくることになるのではなかろうか。
トヨタ・タンドラであれば、北米で6万4380ドル(約1045万円)のグレード「1794エディション」が日本では1200万円で販売される。ざっと北米販売価格+150万円といったところだ。そう考えるとアセントの日本販売価格は1000万円がひとつの基準となるのではないだろうか。もし上級グレードを導入しつつ1000万円を割り込むようであれば「がんばった値づけ」といえるだろう。
このレベルになると筆者も含めて「さすがに高くて手が出ない」という人も少なくはないと思うけれど、選択肢が増えることは消費者にとってはうれしいことだし、「将来、値段が下がった中古なら買いたい」という人もいるだろう。
ちなみに、6月のスバルのプレスリリースによるとこのプランは「日本市場への導入に向け、引き続き検討を進めていきます」とあり、決定ではない。もう引き返さないと信じたいが……。アセントは何を隠そう、「トライベッカ」の後継車だ。トライベッカといえば非公式ながら日本導入が検討されつつも結局導入されなかった過去がある。歴史は繰り返さない………よね?
(文=工藤貴宏/写真=スバル/編集=関 顕也)

工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。
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