BMW R12 G/S(6MT)
アスファルトでも冒険したい 2026.06.10 JAIA輸入二輪車試乗会2026 BMWモトラッドが擁する人気のクラシックアドベンチャー「R12 G/S」。往年の「R80GS」を思わせるレトロな意匠と、圧巻のオフロード性能を併せ持つ多芸な一台だが、実はオンロードでも輝くバイクに仕上がっていた。魅惑のデュアルパーパスマシンの走りを報告する。やっぱりいいバイクだなぁ
BMW R12 G/Sをオフロードコースで走らせたときは、ビッグオフローダーにあるまじき軽快さに驚かされた(参照)。滑りやすい路面でも臆することなく踏み込んでいけるし、ジャンプだって思い切り飛べる。「なんかすげえバイクだなぁ」と感心したものである。
ところが、今回の試乗はオンロードのみ。しかもパイロンで仕切られたコース内での走行だったけれど、やっぱり印象は変わらなかった。バイクにまたがって、引き起こした瞬間に「軽い」と感じる。1200cc(厳密には1169cc)もの排気量があるバイクとは思えない。この軽さは、各コンポーネントのなかでも最も重いエンジンが、車体中央付近に収まっているためだろう。
この軽さ、実は車体だけではない。BMWはフラットツインでも、R12シリーズに積まれる“1200”と、R1300シリーズに積まれる“1300”の2種類をラインナップしている。排気量が少し違うだけで、大した差はないのではないかと思ってしまうのだが、乗り比べてみるとエンジンの回り方が対照的。全域で太いトルクを発生してバイクを押し出す1300に対して、1200は軽くシャープに吹け上がる。絶対的な加速力では1300に分があるのだけれど、回して走る楽しさは1200のほうが上だ。
本格的なオフロード走行を考慮して前後サスペンションのストロークは長く、車高もそれなりに高いから、オンロードは苦手そうな印象を持つ人もいるかもしれない。しかし、低速域ではオフロードバイク特有の自由自在感がある。加えて縦置きのエンジンは、クランクの回転によって発生するジャイロ効果がハンドリングに影響しないから、実用域での操舵が非常に軽快。ジムカーナのような今回の試乗コースであれば、水を得た魚のごとくスイスイと気持ちよく走れる。
ただし、調子に乗って深くバンクさようとすると、あるところからバイクが勝手に倒れ込もうとする感覚がある。これはたぶん、オフロードでの走行性能を意識したタイヤの性格だろう。バンクしていってタイヤがブロックの角で接地するようになるところで、ハンドリングが変わってしまうのである。
少しオンロードを走ればなじんできて気にならなくなるのだろうが、もしこのバイクでオンロードをメインに走るのであれば(たぶん大多数のライダーはそういう使い方をするはず)、アドベンチャー用のタイヤにしても、もう少しオンロード寄りのものを履いたほうが楽しめるのではないか。ただ、R12 G/Sのスタイルにはオフロード寄りのタイヤが実によくマッチしているから、悩ましいところではある。
今回は、メーカーの狙った使い方とはまったく違うステージでR12 G/Sに試乗したわけだけれど、それでもこのバイクは魅力的だと思う。レトロなスタイルとカラーリングには、ゴトーの周囲のライダーたちもみんなメロメロ。本格的なオフローダーだけれど、オンロードでもツアラーやネイキッドとは違った俊敏さがある。実はライターのゴトーは、R12 G/Sに乗るたびに「いいバイクだなぁ」と思って、ちょっと欲しくなってしまうのである。
(文=後藤 武/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2285×900×1240mm
ホイールベース:1585mm
シート高:860mm
重量:234kg
エンジン:1169cc 空油冷4ストローク水平対向2気筒DOHC 4バルブ(1気筒あたり)
最高出力:109PS(80kW)/7000rpm
最大トルク:115N・m(11.7kgf・m)/6500rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:19.6km/リッター(WMTCモード)
価格:245万4000円~
◇◆JAIA輸入二輪車試乗会2026◆◇

後藤 武
ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。
-
MVアグスタ・ドラッグスターRR SCS(6MT) 2026.7.15 宝石とも形容される伊MVアグスタのバイクのなかでも、アグレッシブなデザインと前のめりな走りで異彩を放つ「ドラッグスター」。自動クラッチシステム「SCS」が搭載されたモデルに試乗し、刺激的でありながら懐の深さも合わせ持つ走りに触れた。
-
ベンダ・ナポレオンボブ250(6MT) 2026.7.10 個性的なバイクがそろうJAIA輸入二輪車試乗会の会場でも、ひときわ強烈な存在感を放っていた「ベンダ・ナポレオンボブ250」。中国からやってきた250ccクラスのクルーザーには、他のこのセグメントのバイクにはない“こだわり”が存分に注ぎ込まれていた。
-
トライアンフ・タイガースポーツ660(6MT) 2026.7.8 英国の老舗、トライアンフが擁するスポーツツアラー「タイガースポーツ660」が2026年モデルに進化! 最高出力を95PSまで高めた最新バージョンは、いかなる走りを身に付けているのか? スポーツネイキッドに比肩するその実力に触れた。
-
ハーレーダビッドソン・ナイトスター(6MT) 2026.7.3 ハーレーダビッドソンの水冷Vツインモデル「ナイトスター」に試乗。「X」シリーズのディスコンに空冷「スポーツスター」の復活と、さまざまな情報が飛び交っているハーレーの入門モデル群だが、ナイトスターの未来やいかに? 走りながら考えた。
-
BMW R1300RS(6AT) 2026.7.1 BMWが擁するフラットツインの大型スポーツツアラー「R1300RS」に試乗。巨大なボクサーエンジンと安定志向の足まわりの調律は、大人のライダーが週末を楽しむためのバイクとして、完璧な仕上がりをみせていた。
-
NEW
ホンダ・シビックe:HEV RS(FF)【試乗記】
2026.7.25試乗記高速道路から山道へとステージを変えながら、「シビック」の追加モデル「e:HEV RS」に試乗。そのキーテクノロジーは、疑似有段ギア制御システム「ホンダS+シフト」だ。ベースとなったハイブリッド車や、同じS+シフトを搭載する「プレリュード」との違いを確かめた。 -
NEW
写真で解説する「シトロエンC3エアクロス ハイブリッド」
2026.7.24画像・写真シトロエンの「C3エアクロス ハイブリッド」は、2019年に国内で発売された「C3エアクロスSUV」の後継となるモデル。3列7人乗りのシートレイアウトやマイルドハイブリッドのパワートレインを特徴とするBセグメントSUVの姿を、写真で詳しく紹介する。 -
カワサキ Z900RSブラックボールエディション(6MT)/Z900RS SE(6MT)【レビュー】
2026.7.24試乗記カワサキが誇る人気のレトロスポーツ「Z900RS」が大幅に進化。このマシンならではの“凄(すご)み”はそのままに、エンジンの改良と高度な電子制御の採用により、スポーツバイクとしての魅力にいっそう磨きをかけてきた。卓越したその走りを報告しよう。 -
久々の“攻め”の一台! 新型「日産キックス」に宿る起死回生の使命とつくり手の意気込み
2026.7.24デイリーコラム日産が満を持して日本に導入したコンパクトSUVの新型「キックス」。この国の最量販セグメントに投入される、絶対に失敗が許されない一台だ。このクルマに見る日産の意気込みと、ただ「売れればいい」というだけではない使命を、取材の現場からリポートする。 -
ランボルギーニ・ウルスSEペルフォルマンテ(4WD/8AT)【海外試乗記】
2026.7.23試乗記2017年のデビュー以来、超ド級の走行性能を持つ“スーパーSUV”として、SUVブームの中を駆け抜けてきた「ランボルギーニ・ウルス」。その進化型である「ウルスSEペルフォルマンテ」の仕上がりを、イタリア南部のテストコースからリポートする。 -
新型「BMW iX3」
2026.7.23画像・写真いよいよ日本でも販売が開始された、新型「BMW iX3」。BMWの新時代を告げる「ノイエクラッセ」シリーズの第1弾は、どのような姿をしているのか。航続距離906km(WLTCモード)という性能を誇る、最新鋭の電気自動車を写真で紹介する。








































