第2回:四国遍路ってなんだ?(その2)〜四国を循環する巡礼の道
2010.07.19 ニッポン自動車生態系第2回:四国遍路ってなんだ?(その2)〜四国を循環する巡礼の道
四国遍路とは、四国八十八カ所の寺院を巡る1200kmほどの旅。近年はブームになって、年間50万人が訪れるというが、基本はとても自由。バスなどの交通機関を使ってもいいし、途中から始めて、途中で止めてもいい。でも大川悠は、あえて全行程を一気に歩き通すという、一番高い壁に挑んだ。
(前回はこちら)
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さまざまな人が、世界中からやってくる
管直人さんが新首相になって、最近四国遍路が頻繁にメディアに取り上げられているから、詳しい説明は要るまい。
徳島県、鳴門市近くの霊山寺を一番札所(ふだしょ)として、ここから徳島、高知、愛媛、香川と時計回りに移動しながら、最後に香川県の大窪寺で完結する、循環式の巡礼およびその道が四国遍路である。
四国八十八カ所巡礼と言われているように、この間に88の寺を参拝し、まっとうに行っても、全行程は概略1200km少々になる。
歴史的には約1200年前、弘法大師こと空海が修行のために歩いたといわれる伝説の地を結ぶ道であり、後にこれが信仰の場となり、江戸時代に今の基本行程が確立された。
それは信仰や祈願の道であるとともに、求道や修行の場、場合によっては社会から追われた人の逃げ場でもあった。またお伊勢参りのように、庶民にとっては娯楽旅行のための目的地にもなっていた。
そして今は、年齢や性別関係なく、宗教や民族、職業もさまざまな人々に開かれている。普通の社会人から、退職者や、若い学生、一人歩きの女性、あるいは外国人まで、本当にさまざまな人が、それぞれの目的と理由を持ってこの地を訪れている。
メッカ、エルサレム、スペインのサンチアゴ・デ・コンポステーラなどの聖地に向かう巡礼道は世界にもいくつかあるが、多分この四国八十八カ所遍路というのは、世界でももっとも広い間口を持ち、もっともバラエティに富んだ巡礼の道といえるだろう。
自由だけれど、完歩の壁は高い
現在、遍路として四国に訪れる人は、年間50万人に上るという。四国遍路というのは、その精神において限りなく自由だから、どんなやり方をしてもいい。
菅首相は途中何度か中断しながら、今のところ松山を過ぎた53番まで歩き通していると新聞で伝えられているが、このように自分の都合に合わせて、どこから始めてもいいし、どこで中断してもいい。
何を交通手段にしてもいい。
50万人の大半がバスツアーやタクシー、自分で運転するなどの自動車遍路、あるいはバスや地方の鉄道を利用した移動方式を選んでいる。さらにはバイクや自転車で回る若者も多い。
ということは、昔ながらの歩き遍路、つまり基本的には交通機関を一切使わず、自分の足だけで移動することを選ぶ人間は少ない。統計によればここ10年ぐらい、総遍路数は変わっても、大体いつもその1%程度だけが歩きを選ぶというから、今では年間5000人前後だろう。
この5000人の中で、全行程を一度で一気に回るといういわゆる「通し遍路」がまたその半分以下。さらにはその中でも、怪我や病気で挫折したり、家に急用ができたりして途中で断念する人が少なくないから、完全に100%全行程を1回で歩き通すことができるのは、年に2000人もいないのではないかというのが、関係者の推定である。
ま、フルマラソンの完走なんてこれに比べればはるかに楽だし、100kmを超えるウルトラマラソンよりも完走ならぬ完歩の壁は高い。つまりは結構厳しい試練なのである。
そんな楽じゃないことに、私があえて家内とともに挑戦することに決めたのは、2009年春のことだった。
(続く)
(文と写真=大川悠)

大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
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