レクサスRX450h“バージョンS”(4WD/CVT)【試乗記】
今が買い時!? 2009.08.27 試乗記 レクサスRX450h“バージョンS”(4WD/CVT)……699万2500円
「デカくて立派」と「エコ」は、果たして両立できるのか? 国産の高級SUV「レクサスRX」のハイブリッドモデルに、下野康史が試乗した。
「ハリアーハイブリッド」と比べたら
SUVとは、要するにデッカイ四駆のことである。エコを求めるなら、デッカイのをやめて、小さいクルマにすればいいのに、そうは簡単に割り切れないのが人間のフクザツなところだ。多摩川サイクリングロードで、買ったばかりのロードレーサーから降り、青い顔してタバコ吸ってるオヤジライダーもいる。タバコやめれば、もっと楽に走れるのにね。高級仕立てのデッカイ四駆に乗りながら、なおかつエコも手に入れたいというアンビバレントな人々を、「レクサスRX450h」はターゲットにしている。
このクルマが発売されたのは2009年4月である。その後も販売が継続されている「トヨタ・ハリアーハイブリッド」との最も大きな違いは、V6エンジンが3.3リッターから3.5リッターに拡大されていること。さらにそのエンジンが通常のオットーサイクルより高効率(好燃費)なアトキンソンサイクルであること。RX450hにはEVモードも付く。駆動用バッテリーに余裕があるとき、モーターだけでしばらく走れる機能だ。
車重はベースグレード比較でRX450hのほうが160kg重いのに、10・15モード燃費は17.8km/リッターから18.8km/リッターとわずかに改善をみている。スタート価格はRX450hのほうが150万円近く高いが、それだけの内容はある、というのがレクサスの主張だろう。
|
燃費もパワーも
乗ったのは610万円のバージョンS。試乗車はオプション込みで700万円近い。堂々たる国産ハイエンドSUVである。
当然、マナーのよさは数あるトヨタハイブリッドのなかでも際立っている。暖機が終わっていれば、スタートボタンを押してもエンジンはかからない。Dレンジに入れて、アクセルを踏むと、通常、発進直後はフロントのモーターだけで動き、すぐにスルンとエンジンがかかる。なんてことがわかるのは、車載ディスプレイの“エネルギーモニター”を見ていればこそだ。パワーの“出どころ”がいまどこなのかを体感するのはむずかしい。
|
信号待ちで止まると、アイドリングストップに入り、エアコンのファンの音だけが広い車内に洩れる。お腹が鳴るとバレる。そういうところはプリウスも同じだが、一方、V6系トヨタハイブリッドの特徴は、その強力な全開パワーである。
アクセルを深く踏み込むと、エンジンと前後2つのモーターがフル稼働し、計器盤のパワーメーターはトップエンドに張りつく。燃費指向のチューニングのせいか、ハリアーハイブリッドよりパンチは多少控えめだが、依然、静止から100km/hまで7秒台で到達する韋駄天だ。この加速データは「ポルシェ・カイエン」や「レンジローバー」といったV8SUVと比べても、それほど見劣りしない。フル加速中のエンジン音はさすがにそれなりで、大きな弾み車が回るようなグルーンという独特の中低音が高まる。あまりイイ音ではない。
|
|
レクサスの課題は……
バージョンSにはコーナリング中のロールを抑える電動アクティブスタビライザーが標準装備される。以前乗った最上級モデルの“バージョンL エアサスペンション”は乗り心地がフワフワ柔らかすぎて落ち着かなかったが、このクルマは問題ない。車重は2140kgもあるので、足回りはズッシリと重厚だ。重厚すぎて、しなやかな作動感にやや欠けるきらいもある。高速道路でリアシートに座ってみると、舗装の継ぎ目の乗り越しでけっこう突き上げを感じた。RX450hに限らず、レクサスの課題は乗り心地だと思う。
|
東京から浜名湖を往復する約600kmのツーリングで、燃費は11.3km/リッターだった。プリウスならおそらく20km/リッターの声が聞けたと思うが、これだけパワフルなヘビー級SUVとしては立派である。というか、やはりハイブリッドならではだろう。
車重約2.1tといえば、「ハマーH3」とそれほど変わらない。本来、新車購入時に取られる重量税は9万4500円だが、エコカー減税措置で、ハイブリッドだとこれが無条件でゼロ円になる。買うほうにしてみれば、いまこれほど“シメシメな”SUVはないかもしれない。
(文=下野康史/写真=高橋信宏)

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
スズキ・キャリイKX(4WD/5MT)【試乗記】 2026.2.27 今日も日本の津々浦々で活躍する軽トラック「スズキ・キャリイ」。私たちにとって、最も身近な“働くクルマ”は、実際にはどれほどの実力を秘めているのか? タフが身上の5段MT+4WD仕様を借り出し、そのパフォーマンスを解き放ってみた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.2.26 日本で久々の復活を遂げた「ホンダCR-V」の新型に、北海道のテストコースで試乗。雪上・氷上での“ひとクラス上”の振る舞いに感嘆しつつも、筆者がドン! と太鼓判を押せなかった理由とは? デビューから30年をむかえたCR-Vの、実力と課題を報告する。
-
NEW
BYDシーライオン7 AWD(4WD)
2026.3.5JAIA輸入車試乗会2026堂々たるスタイルにライバルの上をいくパワーと一充電走行距離、そしてざっくり2割はお得なプライスを武器とする電気自動車「BYDシーライオン7」。日本市場への上陸から1年がたち、少しずつ存在感が増してきた電動クーペSUVの走りやいかに。 -
NEW
ついにハードウエアの更新も実現 進化した「スバルアップグレードサービス」の特徴を探る
2026.3.5デイリーコラムスバルが車両の機能や性能の向上を目的とした「スバルアップグレードサービス」の第3弾を開始する。初めてハードウエアの更新も組み込まれた最新サービスの特徴や内容を、スバル車に乗る玉川ニコがオーナー目線で解説する。 -
NEW
第951回:日本が誇る名車を再解釈 「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」の開発担当者に聞く
2026.3.5マッキナ あらモーダ!2026年の「東京オートサロン」で来場者の目をくぎ付けにした「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」。イタルデザインの手になる「ホンダNSX」の“再解釈”モデルは、いかにして誕生したのか? イタリア在住の大矢アキオが、開発関係者の熱い思いを聞いた。 -
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】
2026.3.4試乗記メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。 -
始まりはジウジアーロデザイン、終着点は広島ベンツ? 二転三転した日本版「ルーチェ」の道のり
2026.3.4デイリーコラムフェラーリ初の電気自動車が「ルーチェ」と名乗ることが発表された。それはそれで楽しみな新型車だが、日本のファンにとってルーチェといえばマツダに決まっている。デザインが二転三転した孤高のフラッグシップモデルのストーリーをお届けする。 -
第863回:3モーター式4WDの実力やいかに!? 「ランボルギーニ・テメラリオ」で雪道を目指す
2026.3.3エディターから一言電動化に向けて大きく舵を切ったランボルギーニは、「ウラカン」の後継たる「テメラリオ」をプラグインハイブリッド車としてリリースした。前に2基、リアに1基のモーターを積む4WDシステムの実力を試すべく、北の大地へと向かったのだが……。


































