「純正装着のタイヤはなぜ種類がある?」
2009.08.08 クルマ生活Q&A タイヤ・ホイール「純正装着のタイヤはなぜ種類がある?」
新車を購入した際に装着されているタイヤですが、同じグレードでもブリヂストン製だったり、ヨコハマ製だったりと、異なるメーカーの製品のことがあるようです。こうした銘柄の振り分けは、どのように決定されているのでしょうか? また、購入時に銘柄を選ぶことはできるのでしょうか?
お答えします。超高性能車のように専用開発されたタイヤがある場合は別ですが、たいていのモデルは複数のタイヤメーカーの製品を純正装着しています。理由は、自動車メーカー側からすれば、複数のタイヤメーカーから供給を受けたほうが、いろいろな意味で安全だからです。
たとえば1社に限定したとしましょう。もし販売台数が急激に伸びたら、タイヤの供給が足りなくなってしまうかもしれません。また、タイヤに製品トラブルが起きる可能性もないとはいえませんし、タイヤメーカーの工場が事故、天災などの理由で稼働できなくなることだって考えられます。そうした事態に陥った場合、タイヤメーカーが1社だったら、たちどころに供給が止まってしまい、自動車メーカーの生産ラインが止まってしまいます。
自動車メーカーとしては、そうした状況を避けるために、自社の求める性能基準を満たし、かつコストの見合うタイヤを複数のタイヤメーカーから供給を受けているのです。
購入時に装着タイヤの銘柄を指定することは、私の知る限りできません。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。