ハマーH3 ラグジュアリー(4WD/4AT)【試乗記】
右ハンドルでどや! 2008.07.09 試乗記 ハマーH3 ラグジュアリー(4WD/4AT)……599万4000円
2008年モデルから右ハンドル仕様が加わった「ハマーH3」。扱いやすくなった「強面系SUV」に目を付ける人は増えているようで……。
「ハマーのオンナ」が増えている
東京都内に話を限っていえば、「ハマーH3」を目にすることはめずらしい状況ではない。行くべきところには行き渡ったのではないかと思ってしまうほどだ。それでも販売はまだ頭打ちになっていないようで、2008年モデルも好調に売れているという。
インポーターが三井物産オートモーティブからゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパン(GMAPジャパン)に移管され、それを機に右ハンドル仕様が加わったことで販売に弾みがついたようだ。発売から半年がたった現在も、バックオーダーを抱えているほどだという。
聞けば、夫婦でショールームにやってきて、「ワタシも運転できるからこっちがいいわ」と右ハンドルを選んでいくパターンが目立つとか。女性の強さをあらためて教えられるエピソードであるが、大きすぎないH3なら「ハマーのオンナ」はたしかに絵になりそうだ。
ベースグレードのほか、「ラグジュアリー」「アドベンチャー」とラインナップが増えたことも2008年モデルの特徴。従来3.5リッターだった直列5気筒エンジンは、排気量が3.7リッターに拡大された。トランスミッションは基本は4段ATで、ベースグレードでは5段MTも選べる。アドベンチャー以外ならすべて右ハンドルを選択可能だ。また、2008年7月からパワフルなV8モデルが加わり、選択肢が増えたのも見逃せないところだ。
イイモノ感がアップ
ラグジュアリーとアドベンチャーはパワーレザーシート、レザーステアリング、ナビゲーションシステム、サンルーフなどが標準装備となり、外観はドアハンドルやドアミラー、ルーフクロスバーがクロームメッキになる。ラグジュアリーはアルミホイールもクローム仕上げ。一方アドベンチャーではローレンジの減速比を2.64から4.03に下げ、リアデフロック、オフロードサスペンションが追加される。
試乗したのはラグジュアリー。四角いドアを開けてステップに足を掛け、高いフロアによじ登る。走り出す前から非日常を味わえるのがハマーならではだ。レザーシートはブラックとキャメルの2トーン。ハマーが持つクールなイメージにラグジュアリーな雰囲気をプラスした、お似合いのコーディネイトに思えた。
右ハンドル仕様車は、パーキングブレーキが「ペダル式」からちょっとなつかしい(?)「ステッキ式」に変わっている。サイズが4705×1995×1920mmもあるから当然ともいえるけれど、ドライビングポジションに不満はなかった。
それ以外にも、以前乗ったH3との違いはあった。従来は2tを越える車重を実感した発進が、スッと軽快にスタートするようになり、回転フィールはなめらかさをプラスしていた。ブレーキのタッチも確実感が増したようだ。加減速全体の反応がリニアになったことで、イイモノ感がアップした気もする。
一方で乗り心地は、アメリカンSUVらしいルーズなタイプ。ハイトの高いタイヤのせいもあって、正確な反応のステアリングを切ると、コーナリング開始までにタイムラグを感じるものの、その後はフルタイム4WDとワイドタイヤの恩恵で安定している。このあたりのマナーは以前のモデルに似ていた。
侮れないオフロード性能
会場には鉄パイプと鉄板で構築した人工セクション「スティールマウンテン」が用意されていた。こちらはアドベンチャーに乗り、ローレンジとリアデフロックをセットしてテスト。H3でオフロードを走った経験は過去にもあり、見かけを裏切らない走破性を体感ずみだが、なにしろ30度の急勾配。上りは青空、下りはアスファルトしか見えない。しかも路面はすべりやすい鉄板なのだ。
ところがH3は、途中で一旦停止し、再発進するという離れ業をあっさりこなして標高4mの「鉄の山」を登りきると、下りではウルトラローレンジの威力で、ブレーキにほとんど頼らず超低速でダウンヒルをこなすことができた。基本のポテンシャルが高ければ、ヒルディセントコントロールなどの電子制御デバイスは不要であることを教えられた。
右ハンドルにワイドバリエーション。本国ではブランド売却の噂もあるというハマーだが、GMAPジャパンの積極的な姿勢は、そんな噂などどこ吹く風だ。なにしろ右ハンドル仕様に加え、5.3リッターV8OHVを積んだV8モデルも加わるなど、選択肢はさらに拡がっているのだ。SUVの風雲児が、もうひと波乱起こすかもしれない。
(文=森口将之/写真=高橋信宏)

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
-
日産リーフAUTECH B7(FWD)【試乗記】 2026.5.23 新型「日産リーフ」にもおなじみの「AUTECH」が仲間入り。デザインや質感などの上質さを目指した大人のカスタマイズモデルだが、走りの質感がアップしたと評判の新型リーフとは、さぞ相性がいいに違いない。300km余りをドライブした。
-
メルセデス・ベンツSクラス【海外試乗記】 2026.5.22 「メルセデス・ベンツSクラス」のマイナーチェンジモデルが登場。メルセデスの旗艦として、また高級セダンのお手本として世界が注目する存在だけに、進化のレベルが気になるところだ。本国ドイツでドライブした印象をリポートする。
-
マツダCX-5 L(4WD/6AT)/マツダCX-5 G(FF/6AT)【試乗記】 2026.5.21 日本でも、世界でも、今やマツダの主力車種となっている「CX-5」がフルモデルチェンジ。3代目となる新型は、過去のモデルとはどう違い、ライバルに対してどのような魅力を備えているのか? 次世代のマツダの在り方を示すミドルクラスSUVに試乗した。
-
DS N°4エトワール ハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.5.20 DSオートモビルから「DS N°4」が登場。そのいでたちは前衛的でありながらきらびやかであり、さすが「パリのアバンギャルド」を自任するブランドというほかない。あいにくの空模様ではあったものの、350km余りをドライブした。
-
アルファ・ロメオ・トナーレ イブリダ ヴェローチェ(FF/7AT)【試乗記】 2026.5.19 2026年3月に大幅改良モデルが発表され、ほどなくメディア試乗会も開催された「アルファ・ロメオ・トナーレ」。今回はこれをあらためて借り出し、一般道から高速道路まで“普通に”走らせてみた。進化を遂げたアルファの中核SUVの仕上がりやいかに?
-
NEW
車載カメラが普及した今、“デジタルサイドミラー”が主流にならないのはなぜか?
2026.5.26あの多田哲哉のクルマQ&Aサイドミラーの役割をカメラが担う“デジタルサイドミラー”は、レクサスやアウディなどで採用例があったものの、普及するには至っていない。その決定的な理由はなにか? 元トヨタの車両開発者、多田哲哉さんが語る。 -
NEW
マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R(FR/6MT)【試乗記】
2026.5.26試乗記販売台数わずか200台の限定車「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」に試乗。スーパー耐久レース参戦をはじめとするマツダのモータースポーツ活動を担うサブブランドが生み出した初の市販コンプリートカーは、いかなる走りをみせるのか。 -
買った後にもクルマが進化! トヨタ&GAZOO Racingが提供するアップデートサービスのねらいと意義
2026.5.25デイリーコラムGAZOO Racingが「トヨタGRヤリス/GRカローラ」の新しいソフトウエアアップデートを発表! 競技にも使える高度な機能が、スマートフォンのアプリで調整できるようになった。その詳細な中身と、GRがオーナーに提供する“遊びの機会”の意義を解説する。 -
第336回:やっぱり絶交!
2026.5.25カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。夜の首都高に200台の台数限定で販売される「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」で出撃した。手作業で組まれた2リッター直4エンジンを搭載するマツダ入魂のスポーツモデルに、カーマニアは何を感じた? -
アウディQ6スポーツバックe-tronクワトロ アドバンスト(4WD)【試乗記】
2026.5.25試乗記アウディの電気自動車(BEV)「Q6スポーツバックe-tron」で、東京・渋谷と静岡・裾野を往復。雨のなかでエアコンを効かせ、高速や峠道を遠慮なく走らせるハードユースに、最新のBEVはどう応えてくれたのか? そこで感じた“本音”をリポートする。 -
ホンダ・プレリュード(後編)
2026.5.24ミスター・スバル 辰己英治の目利き軟派なクーペはアリやナシや。ミスター・スバルこと辰己英治さんが新型「ホンダ・プレリュード」に試乗。「シビック タイプR」とは趣を異にするシャシーに触れ、話題の「S+シフト」を試し、これからのスポーツクーペ像に思いをはせた。
































