第361回:さすがはアウトバーンの国、ってか?
ドイツで発見、コンチの“タイヤホテル”
2008.06.13
小沢コージの勢いまかせ!
第361回:さすがはアウトバーンの国、ってか?ドイツで発見、コンチの“タイヤホテル”
知られざる世界No.1タイヤメーカー
こぼれ話はさておき、今回、俺はドイツナンバーワン・タイヤメーカーである「コンチネンタル」の取材でハノーバーに来ています。正直、日本じゃあまり知名度が高くないだけに、ちょっとナメてたっていうか、無知な部分があったんだけど、驚いたね。こんなにも偉大なメーカーだったとは。
まずはお堅い話、会社規模ね。まずコンチのタイヤ販売シェアは大ざっぱに世界第4位。1位と2位を我が日本のブリヂストンとフランスのミシュランが分け合い、3位にアメリカのグッドイヤー、そしてコンチへと続くんだけど、実は会社全体の売り上げは世界一! 具体的に2007年は4兆数千万円も売り上げ、3兆円台のミシュラン、BSを抑えてダントツなのだ。
どういうカラクリかっていうと、売り上げの半分以上が“タイヤ以外”、つまりブレーキシステムや横滑り防止システムのESCなどハイテクデバイスにあることにある。
タイヤだけだとほぼ1兆円規模らしく、それでもべつに小さかないが、ようするに今のコンチはタイヤメーカーっていうより、タイヤを中心とした“よろず安全デバイスメーカー”へと進化しているのだ。
リプレイス市場は二の次で
関係者によれば「今のタイヤってABSやトラクションコントロール、あるいはESCみたいなハイテクと切り離して考えられないでしょ。そこにコンチは早く気付いて、大元から開発してるわけ」だそうだ。
1992年、辣腕経営者のフォン・グリュンベルク博士がこの方針を打ち出し、98年にボッシュと並ぶドイツのブレーキメーカー、アルフレッド・テーベスを買収。以来、コンチネンタルはハイテク装置やブレーキと上手くマッチングするタイヤに加え、システム全体を開発するようになった。さらに、価格競争が厳しいリプレイスタイヤ市場の代わりに、純正装着タイヤに力を入れ、今の優良企業へとなっていったわけ。
実際、2002年から欧州市場で発売される新車へのタイヤ装着率はミシュランを抜き1位! あのメルセデス・ベンツの限っていえば、ヨーロッパで販売される新車の45%にコンチが装着されているという。
ところで『タイヤホテル』って?
ってな具合に前置きが長くなっちゃったけど本題。今回、コンチを取材する前に、実は同じハノーバーにあるドイツの代表的タイヤショップ「Vergölst」(フェアゴルスト)ってとこに行ったわけだけど、ちょっと驚き。そこにはあまり聞かない“タイヤホテル”ってやつがあったのだ。
ホントはタイヤホテルって名前じゃないんだけど、実質そういう施設。シーズンオフで邪魔になったスタッドレスや、サマータイヤを預かるところで、預かり賃は6ヶ月間で1本8ユーロから22ユーロ。預かるどころか、要望によっては洗ったり補修もしてくれ、しかもその規模がハンパじゃない。
フェアゴルストはドイツ国内で全330拠点もある巨大チェーンで、現在預かってる数は実に全40万本!! 本店だけでもクルマ1200台分の6000本も預かってるというのだ!
写真を見ればその規模をなんとなく分かってもらえるとは思うけど、実際、ハンパな広さじゃない。ほとんど有名ワイナリーのワインセラーってな感じで、タイヤが倉庫にズラリズラズラ。すいぶん大事に扱われてるんだなぁって感じでした。
でも、考えてみればフツーのおばちゃんがフツーにアウトバーンで200km/h出せちゃうドイツ。それだけにタイヤの大事さを庶民レベルでも身にしみて感じてるんだろうね。だから“タイヤ様”をホテルで預かってもらうと。
ホント、世界は広し、「ところ変わればホテルも変わる」!? って感じですよ(笑)。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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