米GM、混合燃料E85ステーションの普及目指す
2008.04.07 自動車ニュース米GM、混合燃料E85ステーションの普及目指す
再生可能燃料の普及を推し進めるアメリカでは、E85燃料に対応したフレックス・フューエル車の数が増えている。これに伴い、給油所も変貌を遂げつつある。
■ディーラー運営によるE85ステーション第一号店誕生
自動車用の次世代燃料として、CO2低減を目的とした“エタノール政策”を推進しているアメリカでは、エタノール85%にガソリン15%を混合した「E85」燃料に対応したクルマが増えている。エタノールは、植物由来の原料(主にトウモロコシなど)から生成できるため、化石燃料と違い成長過程でCO2を吸収する=トータルでみるとC02を増やさないとされる。それがエタノールが脚光を浴びている理由だ。
また自動車燃料として考えた場合、E85対応はパワートレインに大掛かりな改造が不要なうえ、ガソリン燃料と併用できることからメーカーとユーザー双方にとってメリットがあるとされる。メーカーは他の代替燃料に対応したパワートレインと比べると開発コストを抑えることができ、ユーザーは燃料ステーションでE85が提供されていない場合でも、代わりにガソリンを入れれば従来通り走れるからだ。
そうしたことから、自動車メーカー各社は、ガソリン/E85の両方に対応したFFV(フレックス・フューエル・ビークル)を既存のラインナップに追加するなど積極的な姿勢を見せている。しかし現段階では、燃料スタンドがE85に対応していないことが多く、地域によっても差がある。GMの発表によると、アメリカ全体でE85対応済みの燃料ステーションは1%に満たないという。
■GMのラインナップの半分がE85対応に
そのような背景から、アメリカではディーラーが燃料ステーションの運営に乗り出す動きを見せ始めているようだ。ここで紹介するのは、2007年にシボレートラックの販売で全米ナンバー1になった、テキサス州ダラスにある「Classic Chevrolet/HUMMER」というGM系大手ディーラーの取り組みだ。発表によると、同社は50万ドル以上を投じてE85、E10、バイオディーゼルのそれぞれに特化した9つのスタンドを持つ燃料ステーションを新設し、顧客に新世代燃料を提供する事業を開始。ディーラーによるE85ステーションの運営はテキサス州では初の試みだという。
Classic Chevrolet/HUMMERゼネラルマネージャーのチャールズ・マーティン氏は以下のようにコメントしている。
「我々は、E85などの新燃料に対応したたくさんの車両を販売してきました。そして販売台数が伸びるにつれ、FFVを選んで頂いたユーザーがもっと手軽に給油できる場の提供が必要であると感じていました」。さらに「E85スタンドの設置は、ユーザーにとってはもちろん、ダラス(の環境)のためにも良いことだと確信しています」。
GMは、これまでにFFVを約300万台販売しており、2010年までにその数を倍増、さらに2012年にはラインナップの半分の車種をE85に対応させると公言。具体的には、2009年度中にハマーをE85に対応させることなどが計画されている。こうしたコミットメントから、今後もアメリカではFFVやバイオ燃料ステーションが増えていくと予測できる。
■E85燃料に残された課題
いっぽうで、昨今はバイオ燃料の増加に伴い、原料となる食糧の価格高騰が問題視されている。が、原料の置換についても各関係機関で研究が進む。現在バイオエタノールのほとんどはトウモロコシを原料としているが、セルロース(植物繊維質の主成分)などの非食物系原料から製造する技術や、バイオマスをガス化して合成燃料を生産する(BTL=バイオマスtoリキッド)の開発が、実用量産化に向け進行中である。現在のところ、トウモロコシから作る方がコストが安いため短期間で普及することはなさそうだが、今後徐々に食糧市場への危害の少ないセルロース系バイオ燃料が広まっていきそうだ。
(webCG 曽宮)
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