ランボルギーニ・ガヤルド・スーパーレジェーラ(4WD/2ペダル6MT)【短評(前編)】
軽くて速いだけじゃない(前編) 2008.02.25 試乗記 ランボルギーニ・ガヤルド・スーパーレジェーラ(4WD/2ペダル6MT)……2973万6000円
「ランボルギーニ・ガヤルド」を100kg軽量化したスペシャルモデル「スーパーレジェーラ」が追加された。由緒ある名前に秘められた実力を探る。
由緒ある猛牛
「スーパーレジェーラ」とは、超軽量を示すイタリア語だ。かつてのイタリア名門カロッツェリアであるツーリングの軽量ボディ構造に使われていたその名が、めぐりめぐって「ランボルギーニ・ガヤルド」の高性能版に与えられたのは2007年のこと。
1950〜60年代の「アストンマーティンDB4〜6」に使われていたボディ構造として、この言葉を覚えているクルマ好きがいるかもしれない。しかしランボルギーニ第1世代といわれる「350GT」や「400GT」も、ツーリング製スーパーレジェーラ・ボディをまとっていた。サンタガータの猛牛印にとっても由緒ある名前なのである。
ガヤルドは「アウディR8」と兄弟関係にある。ミドシップ4WDのドライブトレインをはじめ、R8との血縁を連想させる部分は多い。アルミ製スペースフレーム+アルミボディという構造もそのひとつ。おかげでスタンダード・ガヤルドの車重は1430kgと、エンジンのキャパシティを考えればかなり軽い。直列5気筒を2つ結合させたようなV10エンジンは、「アウディS6」などと基本設計を共有する。
徹底した軽量化
スーパーレジェーラは、スタンダードモデルよりさらに100kg軽量化された。カーボンファイバー強化プラスティック(CFRP)への素材置換が主で、エクステリアではドア、サイドシル、エンジンフード、リアディフューザー、ドアミラーなどがこの素材に置き換えられた。インテリアではセンタートンネルやドアトリムをカーボン化、レザーで覆われていたインパネやシートはより軽量なアルカンターラに置き換えるという、徹底した軽量化が図られる。
試乗車にはスーパーレジェーラだけに用意される、やはりカーボン製のリアウイングが装着されていた。オプション価格は73.5万円! スーパーレジェーラ自体約2600万円もするわけだから、これをポンと買える人は260万円のクルマに対する7万円のオプションみたいな感じで、「これもつけといて」とオーダーするのだろう。見た目もよりスーパーカーっぽくなるわけだし。
自分とは完全に違う世界に棲むクルマであることをその数字で教えられつつ、ドアを開けてみると、その異常な軽さに驚く。そしてそれほど高くない敷居を乗り越え、カーボンモノコックにアルカンターラを張ったバケットシートにカラダを収める。座り心地はカチカチ、調節機構はスライドだけだ。シートバックが起き上がっていて、ステアリングがやたら近い。腰を前にずらすような座り方で帳尻を合わせるしかない。
気になる変速音は演出か
スーパーレジェーラのトランスミッションは、2ペダルMTである「eギア」が標準。2枚のペダルは内側にオフセットしているものの、アクセルとブレーキの間は相応に離れていて踏みやすい。アウディ的なセンターパネルの造形はノーマルのガヤルドと同じだが、黒地に白文字だったメーターベゼルはホワイトダイヤルにオレンジレターとなり、数字の書体もスポーティになっていた。
始動した瞬間に雄叫びを上げるのは、近年のスーパースポーツによくある演出。目立っていいと思う人もいるだろうが、早朝出撃時はキャンセルスイッチが欲しいと思うだろう。まずはオートマティックモードのまま街へ。この速度では軽さは感じない。ステアリングは切れ角が少ないこともあってクイックではなく、のったりしたレスポンス。車体の反応もおっとりしていて、重厚な印象がつきまとう。それでいて194万円(!)のオプションプライスを掲げたカーボンセラミックブレーキは、唐突な効きを示してくる。
減速時にeギアがガコガコ変速音を伝えてくるのも、スタンダードのガヤルドではあまり気にならなかった点だ。遮音材を省いたためだろうか。でも新型「日産GT-R」も同様の音を聞かせるから、演出ともとれる。2ペダルMTにありがちなシフトアップ時の空走感を最小限に抑えた点は評価すべきだろう。
(後編へ続く)
(文=森口将之/写真=郡大二郎)

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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