スズキ・セルボSR(FF/CVT)【試乗記】
軽のスケールを越えた 2007.11.27 試乗記 スズキ・セルボSR(FF/CVT)……147.0万円
スタイリッシュ&スポーティを持ち味とする「セルボ」に最上級グレード「SR」が追加設定された。内外装と走りのクオリティを試す。
セルボをさらに贅沢に
上質さをウリに、スズキの軽ラインナップのなかでは高価格帯商品に位置づけられる「セルボ」。懐に余裕のある団塊世代や小型車からの乗り換えユーザーを狙ったモデルなのだが、そんなセルボに追加された「SR」は“プレミアム スポーティ コンパクト”をテーマにつくられた最上級グレード。ちなみに、SRは“Sporty & Refined”を意味するそうで、スポーティさと上品さにさらに磨きをかけたクルマ、ということになる。
たとえば“スポーティ”なところとしては、搭載されるパワートレインが一番の注目ポイントだ。最高出力64ps/6400rpm、最大トルク10.5kgm/3500rpmを誇る660cc直列3気筒ガソリン直噴ターボに、JATCO製の7段マニュアルモード付CVTを組み合わせることでスポーティさをアピールしながら、10・15モード燃費はFFで23.0km/リッター、4WDで21.0km/リッターと、シリーズ中トップのデータをマーク。さらに、低排出ガス車認定75%低減レベル(☆☆☆☆)と燃費基準達成(FFが+20%、4WDが+10%)の条件を満たすことで、現時点では軽のターボ車としては唯一、グリーン税制対象車となるのも見逃せない。
小型車はうかうかしていられない!?
一方、上質さを演出するのはおもにインテリア。もともとセルボのインテリアは、ダッシュボードの質感ひとつとっても、軽の枠を超えたレベルにあり、このSRではさらにセンタークラスターのパネルに美しいピアノブラックの塗装を施したり、グレーのステッチで仕上げた本革ステアリングを装着するなどして、グレードアップを図っている。リアシートにリクライニング機構がつくのもSRだけの特典だ。
しかし、狙い目は「SR セットオプション装着車」。ファブリックが標準のスポーツシートは、フロントのセンター部が本革、サイドが人工皮革(フロントのシート側面/背面、リアシートも人工皮革)になるほか、オートライトやウインカー付きのドアミラーカバーが装着されるなど、5万2500円のエクストラを払う価値は十分ある。実際にSR セットオプション装着車の室内を覗くと、小型車顔負け、下手をするとさらに上のクラスのクルマでさえ見劣りしてしまいそうな、上質な仕上がりに驚いた。
走りの高級感はあと一歩
サイドサポートが適度に張り出したスポーツシートに身を委ね、さっそく試乗開始。エンジン始動後、ゲート式のセレクターレバーをDレンジに手繰り寄せ、ブレーキペダルに載せた右足を離すと、クルマはゆっくりと動き始める。小排気量のターボだけに、発進は少し心細いが、走り始めてしまえば、アクセルペダルの要求に素早く応えるべくギア比を自在に変えるCVTの助けもあって、常用する低回転でも不満のないトルクとレスポンスを発揮する。一方、少し深めにアクセルペダルを踏んでも、「CVTです!」といわんばかりにエンジン回転だけ先に上がることはなく、レブカウンターとスピードメーターが歩調をあわせながら上がっていくだけに、違和感は少ない。エンジンが盛り上がりを見せるのは3000rpmを超えたあたりからで、4000rpmを過ぎるとさらに力強さを増す印象。山道などではマニュアルモードで低いギア比を選び、引っ張ってやると、それなりに速い。
高速巡航時のエンジン音も比較的抑えられていてパワートレインには合格点が与えられるが、反面、走りっぷりにはやや不満が残る。たとえば、一般道では、路面が少し荒れてくると途端にタイヤがドタバタしはじめ、落ち着きも足りない印象。それでもフロントシートに陣取っていれば許容範囲内に収まるものの、リアシートは快適とは言い難く、高速走行時でもこの傾向は変わらなかった。まあ、実際には乗員は前席だけという場合がほとんどなのかもしれないが、それにしても走りの高級感はあと一歩というところである。
そのあたりを煮詰めるのがこのクルマの課題だと思うが、現時点でもなかなか総合点の高いセルボSR。今後の熟成に期待したい。
(文=生方聡/写真=峰昌宏)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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