シボレー・クルーズ1.5 LT 2WD(4AT)【試乗記】
そうじゃない 2001.12.22 試乗記 シボレー・クルーズ1.5 LT 2WD(4AT)……165.3万円 GMとスズキが共同開発したミニSUV、「シボレークルーズ」。スズキ「スイフト」のパワートレインを持ち、デザインと足まわりはGMが担当した。鳴り物入りで登場した日米合作”シュビ−”に、しかし、『Car Graphic』編集委員の高平高輝は一言いいたい。それなりに良くできている
これがスズキの車だったら、特にどうということもない。スズキが作ってスズキで売っているクルマだったら、相変わらず電動パワーステアリングのフィールが多少不自然でも、サスペンションの取り付け剛性が少々心許なくても、まあ許せる。それ以外はこれといった不満もない。
1.5リッター4気筒DOHC(110ps/6000rpm、14.6mkg/4000rpm)と4ATの相性は良く、キビキビ軽快に走るし、そこそこ広くそこそこ安く、見た目はミニミニSUVは気取っているけれど、その実、実用的で経済的な小型車。とりわけ軽自動車からのステップアッパーのためのモデルとして、それなりに良くできている。
だがこれはスズキとGM(ゼネラル・モーターズ)が共同開発したという新型車クルーズだ(中身は「スイフト」)。GMの屋台骨を支える「シボレー・ブランド」をいただいて、スズキ/GM両方のネットワークで販売される鳴り物入りのニューモデルとなれば、ちょっと言いたいことがある。
表面的な共同開発
MBAを目指すビジネスマンが読むアメリカの有名な学者が書いたマーケティングの教科書には、ほぼ必ず21世紀はブランドビジネスの時代だと書いてある。そのアメリカを代表するGMが、日本では一部にしか知られていなかったシボレー・ブランドを広めようと送り出したモデルにしては、ちょっと寂しすぎないだろうか? シボレーブランドの特徴を表す言葉は“スポーティー&タフネス”だという。なるほどもっともなコンセプトだと思う。しかし、そのコンセプトの具体的な表現が、グリル中央とフロントシートのバックレストに自慢げに付けられたシボレーマークや、丸型4灯のリアコンビネーションランプ程度に留まるのでは……。こんな表面的な「共同開発」で、そのブランドならでは価値が皆に伝わるのだとしたらそんな楽チンなことはない。
そうじゃないからこそ、どのメーカーも苦心しているのだ。
サターンが失敗し、オペルも奮わない日本GMがボリュームセラーを手に入れたい気持ちはわかるが、20%を出資するグループ会社に作らせた、衣装だけを変えたお手軽なニューモデルではシボレー・ブランドに対する愛着や敬意は育たない。さらに言えば、ブレイザーやコーヴェットと同じブランドのクルマだ、という認知さえ得られないのではなかろうか。
GMと並ぶ巨人フォードが、今後日本ではマツダ製のクルマにフォードのバッジを付けた“フォード車”の販売をやめる、と発表しているのとは対照的なビジネスだ。それでも「とにかく数が売れるクルマが欲しいんです、」ということであれば、これ以上何も言うことはありません。
(文=高平高輝(CG編集委員)/写真=清水健太/2001年12月)

高平 高輝
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