MINIクーパー(FF/6AT)【ブリーフテスト】
MINIクーパー(FF/6AT)【ブリーフテスト】 2007.04.10 試乗記 ……274万1000円総合評価……★★★★
キープコンセプトでフルモデルチェンジされた、2代目「MINI」。ベーシックモデルに先駆けて日本で発売された、自然吸気エンジンを積む「クーパー」のオートマモデルを試した。
実用的なファンカー
オールド「Mini」からの空白期間をそのままにして再生したようなニュー「MINI」も、モデルチェンジで順次今日的なレベルに引き上げられつつある。
そのなかでも喝采すべきは、乗り心地の改善であろう。これなら、ファンカーとして楽しみながら実用に供することに不満はない。
今回のモデルチェンジの目玉は、エンジンがブラジル製SOHC4気筒からイギリス製のDOHC4気筒に換装されたことだが、今までのエンジンでもさしたる不満はなく、エンジンがウィークポイントでは無かったから、これはすべて商品性のかさあげに繋がる。
「BMW」と「プジョー」の共同開発生産と言われるユニットだけに、「プジョー207」に積まれて登場してくるとその他の部分で比較されることになり、今回の改良も納得される状況ではある。といっても、直接比較してどっちを選ぶという相手ではない。
MINIの独自性を尊重しつつ、さらなる改良点を所望するならば、エンジンのアイドル振動とブレーキのサーッという摺動音、この2点は他のクルマとの比較で気になる点である。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
BMWの一ブランドとなった「MINI」は、2002年3月2日「ミニの日」から、日本への導入が開始された。
初代のエンジンは、BMWとダイムラークライスラーとの合弁会社が生産する1.6リッター直4SOHC“ペンタゴン”ユニット。チューンによって、ベーシックグレードの「ワン」(90ps)、スポーティな「クーパー」(115ps)、そして同年5月にデリバリーが開始されたスーパーチャージドモデル「クーパーS」の3種類がラインナップされた。
2007年2月24日、フルモデルチェンジした2代目「MINI」は、デザインは従来モデルを踏襲しながらも、エンジン、足まわりなど、コンポーネントのほとんどを新設計。
日本仕様は、BMW製可変バルブタイミングシステムを備えた、1.6リッター直4エンジン(120ps/16.3kgm)搭載の「クーパー」(6AT)と、スーパーチャージャーにかわりターボチャージャーで過給される1.6リッター直4ユニット(175ps/24.5kgm)の「クーパーS」(6MT)が先行発売された。
その他のモデルは予約注文のみ受け付け、2007年5月中旬以降にデリバリー予定。
(グレード概要)
テスト車の「クーパー」は、ターボチャージャー付きの「クーパーS」に次ぐスポーティなグレード。自然吸気の1.6リッター直4エンジンを搭載する。「S」との価格差は44万円である。
外観上は、ボンネットのエアスクープの有無や、マフラーエンドの形状などが識別点となる。「S」で標準の「スポーツ・サスペンション」は、オプションで選択が可能。また「スポーツボタン」を追加すれば、ATのシフトタイミングやエンジンレスポンスなど、走行モードを切り替えることができる。
車速感応式の電動パワステ(EPAS)は、標準で備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
一種のファンカーとして見るならば、遊びゴコロもあり楽しめる。
実用面での機能的な見方をすると、老眼者対策(?)の大型メーターは、大きさのわりに数字が読みにくい。全体の雰囲気として、メッキ部分が減って、先代よりやや安っぽくなった感じがする。各種のトグルスイッチは、操作感覚として昔のクルマの懐かしさを再現している。
パドルシフトも備わるが、フロア・レバーの操作性を越えるものではない。そのレバーのロックは角度変化によるもので、解除操作がしにくい。ポジションの表示がシフトブーツにかくれてしまい、運転席から見にくい。右側に欲しい。
(前席)……★★★
いわゆる腰掛け型でちょこんと座るタイプ。ランバーサポートは全車に装備すべき。座面前後長は短めだが、ピッタリ奥まで座ればまずまず。構造材に挟まれて横サポートもOK。
座面後傾角は腰部分が落ち込み前方へのズレを抑えるから許容できる。とはいえ、ヘッドクリアランスは十分あるのだから、ハイトコントロールを有効活用して、座面の上下のみならず角度調節もできるようにするべきだ。
背面は、肩までサポートしてくれて良好。足元の余裕がオールドMiniからの大きな改良点だ。
(後席)……★★
前席を自分のポジションに合わせてから後ろに座ると、膝は当たるし足先の置き場にも窮屈。しかし、ヘッドクリアランスは十分にあり、前席をすこし前に出せば座れないことはない。これで長距離移動する人も少ないだろうから、近所の使い走り用と割り切れば問題はない。
直角に近く立ち上がったピラーにより切りとられる、四角いウィンドウの風景は、妙にピラーが寝ている最近のクルマに比べて落ちついた雰囲気を醸し、リアドアがないことによる閉所感を取り除いてくれる。
(荷室)……★★
ミニのトランクに何か大荷物を積んで運ぼうと考える人は少ないだろう。これで問題なしと思われる。ビジネスに必要な道具箱、カバンやユニフォーム、ジャケット類を収納するには十分な容量が確保されている。
イザというときには? リアシートをすべて分解し、取り外して家に置いてしまえば、箪笥なども積むことは可能だ。冗談ですが。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
自然給気120psエンジンは下から上までスムーズに回転をあげ、トルクも満遍なく供給される。6段ATをオートマチックモードにしてアクセルペダルの踏み加減で変速しても、マニュアルモードでシフトしても、期待値とのズレはない。
エンジンは、音的に感動する部分はないが、総じて明朗快活。唯一気がかりな点は、アイドリング時の振動。BMWはエンジンを横に置く経験が浅いからか、シート背面を通して腰や背中に不快な振動が伝わる。ステアリングホイールやシフトレバーへの振動は解決されている。
FF車メーカーが一度は通ってきた道にさしかかった。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
何といっても、乗り心地が大きく改善されたことが大金星。
大入力などサスペンション・ストロークが効く状況ではアーム長などの絶対的な弱点を晒すが、とにかく普段の乗り心地が確保されたことにより実用性はOKレベル。今回テストした西湘バイパス(神奈川県)のハーシュネスでも上下の変位はあったが、G的な“ショック”は大幅に和らいだ。
後方に旋回中心を持つアンダーステア特性は変わらないが、「ポンポン跳ねる感じの接地性の失い方」から「ズリズリ接地しながら流れる傾向」となり、安心感は増した。
トラクションコントロールは備わるが、加速時にフロントが持ち上がるジャッキング気味の特性は、低ミュー路でホイールスピンを許す。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2007年4月2日から3日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:3123km
タイヤ:(前)175/65R15(後)同じ(いずれも、コンチネンタル・コンチプレミアムコンタクト2☆)
オプション装備:カラーライン・ダークグレー(2万6000円)/クローム・ライン・エクステリア(2万円)/メタリック・ペイント(5万5000円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:309.4km
使用燃料:37リッター
参考燃費:8.36km/リッター

笹目 二朗
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