【スペック】全長×全幅×全高=4260×1760×1515mm/ホイールベース=2600mm/車重=1400kg/駆動方式=FF/2.4リッター直4DOHC16バルブ(167ps/6000rpm、22.8kgm/4400rpm)/価格=256万2000円(テスト車=286万5450円)
トヨタ・ブレイドG(FF/CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ブレイドG(FF/CVT) 2007.02.07 試乗記 ……286万5450円総合評価……★★
欧州市場を視野に入れた「トヨタ・オーリス」、国内で勝負をする「ブレイド」。2.4リッター直4を積んだハッチバックはどうなのか?
タイミングの問題
「トヨタ・ブレイド」は、「オーリス」で欧州市場激戦区Cセグメントへの挑戦を本格化したトヨタが、オーリスをベースに国内向けに開発した上級5ドアハッチである。
「フォルクスワーゲン・ゴルフ」「フォード・フォーカス」といったハッチバックへの需要が根強いヨーロッパとは対照的に、2ボックスが低迷する日本マーケットで、オーリスよりもうちょっといいお値段で売りたい。数は限られるけれど、輸入車へ向かう年輩ユーザーの流れをバッサリ断ち切りたい。そうした願いを込めて、ニューモデルは投入された。いうまでもなくブレイドは、“BLADE=刃(やいば)”の意。
トヨタの刃の強みは、バックスキンの内装と、このクラスでは異例の2.4リッター直4エンジン。ブレイドGの価格256万2000円は、オーリス180Gの191万6250円と比較するとお高いが、2リッターのゴルフGLIで282万円、を考えるとリーズナブル。
ジマンの内装は、初めてドライバーズシートに座るとギョッとする……じゃなかった。「オッ」と思わせるし、走らせれば“1400kgに167ps”はなかなか速い。「できる範囲ですいぶん頑張ったんじゃないでしょうか」との感想を抱く。が、しかし、最大のライバルと目されるゴルフが、タイミングよく(悪く?)小排気量1.4にスーパーチャージャー+ターボチャージャーを組み合わせた“パワフルかつ燃費向上!”なTSI搭載モデルを出してきて、ブレイド、なんか肩すかしをくらった感じ。そのうえ「大排気量+豪華内装」の企画が、にわかに安易に見えてくるのが、ツラい。カタログ燃費は13.4と、決して悪くはないのだが……。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2006年12月21日に発表されたトヨタ主張するところの“洒落た大人の高級ハッチバック”。車名のブレイドは、英語で「BLADE=刃(やいば)」から。“人を魅了する鋭さを持ったクルマ”の意味だという。
1.5、1.8リッターの「トヨタ・オーリス」のコンポーネンツを活用して開発された国内専用モデル。機関は「2.4リッター+CVT」のみ。ただし、FFほか、電制多板クラッチを用いた4WDモデルが用意される。
(グレード概要)
ブレイドのグレードは、シンプルに「ブレイド」と上級版「ブレイドG」の2種類。Gは、シート表皮が「本革+アルカンターラ」となり、運転席が電動で調整できるようになる。エアコンが左右独立式になり、6連奏CDチェンジャーがおごられるのもGの特権。ヘッドランプは、ディスチャージ式が標準だ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★
ダッシュパネルに倒れかかるかのセンターコンソールを見ると、オーリス由来の内装であることは一目瞭然。それでも上級モデルとして、メーター、シフトノブやパーキングブレーキほか樹脂類をチタン調にして差異化を図る。
インパネ上部に使われるバックスキンは、セーレン社が新たに開発したグランリュクスと呼ばれる素材。強い直射日光を浴びる厳しい使用条件に留意したという。まだまだ高価らしく、乗員の目にふれやすい部分にしか使われていないのが、ちょっとかなしい。
センターコンソール上部に設置されたエアコン吹き出し口は、間接的に室温を調整できる贅沢な装備。27万9300円のオプションであるHDDナビゲーションの6.5型ディスプレイが、面を揃えてキレイに埋め込まれているのが、いかにもトヨタ車。
(前席)……★★★★
アルカンターラと本革のコンビネーションシート。たっぷりしたクッションで、あたりはソフト。わかりやすくラグジュアリー。一方で、サイドサポートは見かけ以上にしっかりしていて、ハードコーナリング中にもしっかり乗員の上体を支えてくれる。
乗降性に考慮して、着座位置は地上590mmと、やや高め。スポーティ感はそがれるが、「それなりの動力性能、大きなアウトプットは余裕のために使ってください」というコンセプトには合致する。
(後席)……★★★
足下、頭上とも十分なスペースあり。背もたれは、角度を2段階に調整できる。センターシートにも3点式シートベルトとヘッドレストが備わるのは立派。センターシートを使用しないときは、アームレストを出せる。細かなことだが、センターシートの3点式シートベルトのキャッチャーが座面に埋め込まれ、散らからないようゴムバンドで留められる。トヨタ流心配り!?
なお、リアシートのヘッドレストは、キチンと後頭部の位置に引き出さないと、首の付け根にあたって気持ち悪い。自然と正しい位置にヘッドレストを出させる工夫で、トヨタが欧州ハッチから素早く学んだ一例だ。
座面奥に、チャイルドシートを固定するISOFIXが備わる。
……と、静的な評価は総じて高いブレイドのリアシートだが、走行中は後輪からの突き上げが直接的で、快適とはいえない。後席の乗員は、“すてきな熟年カップルの邪魔者”なのか!?
(荷室)……★★★
大小2つのスーツケース、もしくはゴルフバック2セットを運べるというブレイドのトランク。容量は281リッター。
リアシートは、6:4の分割式。容易にラゲッジスペースを拡大できる。背もたれ上部の端にあるボタンを押して倒すと、同時に座面がじゃっかん沈んで、荷室との床の段差が少なくなる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
ブレイドの最大のウリは、2.4リッター搭載の動力性能。2AZ-FEユニットは、VVT-i(可変バルブタイミング機構)を搭載し、167ps/6000rpmの最高出力と、22.8kgm/4000rpmの最大トルクを発生する。
組み合わされるトランスミッションは、車速やアクセル開度から自在にギアを選ぶSuper CVT-i。ドライバーの意志通りに力強くクルマを運ぶ。急激な加減速をすると、CVT由来のヒーンというベルト音が耳につくが、通常走行時は、トルコン式のオートマに負けない自然なフィールだ。
ブレイドは、擬似的に7段にギアを切ったスポーツモードを備えるが、「D」に入れ放しでもCVTのチューンが行き届いているので、手動でギアを変える必要性を感じなかった。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
リアに半独立式のトーションビームを使うオーリスと異なり、ブレイドはダブルウィッシュボーンを採用。コンポーネンツはオーリスの四駆モデルのものを活用するが、もちろん独自の設定となる。
かつてのハッチバックと多くの場合に結びついた“軽快”という言葉は、ブレイドには当たらない。むしろ、3ボックスのセダンのような落ち着いたハンドリング。足まわりもトヨタ的にソフトで、軟体な(?)あいまいさを残す。2.4リッターの動力性能から想像される“活発な走り”にはそぐわないが、ブレイドは、“安価なハッチバック”ではなく、“手頃なサイズのセダン”としてお使いいただきたいという狙いには合っている。
クルマの性格上“曲がり”に悦びを見いだすことは少ないが、たとえば高速道路での追い越し時などに、ちょっと驚く速さをみせる。それは快感。
(写真=菊池貴之)
【テストデータ】
報告者:青木禎之
テスト日:2007年1月19日から23日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:2418km
タイヤ:(前)205/55R16 89V(後)同じ(いずれもヨコハマアドバン A460)
オプション装備:インテリジェントパーキングアシスト(2万4150円)/バックガイドモニター+HDDナビゲーションシステム+ETC(27万9300円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:258.8km
使用燃料:31リッター
参考燃費:8.34km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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