トヨタ・ブレイドマスターG(FF/6AT) vs マツダ・スピードアクセラ(FF/6MT)【短評(前編)】
ブレてるぞ!(前編) 2007.09.17 試乗記 トヨタ・ブレイドマスターG(FF/6AT)/マツダ・スピードアクセラ(FF/6MT)……356万8950円/285万4864円
2007年8月1日、トヨタのコンパクトカー「ブレイド」に3.5リッターV6モデルが追加された。上級ハッチの走りはどうなのか?
タメ口か敬語か
最近困るのが、会う人会う人の年齢がイマイチわからなくなっていることだ。ここ数年、仕事で月一度くらいのペースで会う人がいて、そのダンディなスーツの着こなし、落ち着いた物腰から自分より4つ5つ年上の40歳代半ばの方だと思っていたら、なんと! 自分よりひとつ年下でがく然とした。厄介なのは逆のケースで、年下だと思って「あっそう、頼むわ」なんてタメ口でしゃべった後に年上だとわかって、「お願いいたします」的口調になるのは非常に気まずい。
3.5リッターのV6エンジンを積む「トヨタ・ブレイド」の追加モデル、「ブレイドマスター」もまた、タメ口でいいのか敬語を使うべきなのか、腕組みしてしまうようなクルマだった。
試乗会当日は台風9号がまさに直撃せんとしていた大荒れの天候で、会場となった大磯プリンスホテルの周辺を走る西湘バイパスが高波のために通行止めになっていた。
土砂降りの雨を避けて、早速、ブレイドマスターに乗り込む。ステアリングホイールに柔らかくていかにも値段が高そうな革が用いられていたり、ダッシュボード(の一部)にシックな質感のアルカンタラが貼られていたり、いたるところに「プレミアム」な演出が施されている。このあたり、「リッチな子離れ層」にロックオンした感あり。
いっぽう、そうした高級感は、近未来的なセンターコンソールやチャレンジングなサイドブレーキの形状とはミスマッチ。若作りしたエクステリアといい、ま、「最近の子離れ層はデザインがわかっているから少しぐらい遊んだ造形でもOK」という言い方もできるでしょうが、アタマに浮かぶのは「オーリスと共通だから仕方ない」という寂しいセリフである。
う〜ん、この人は何歳なんでしょう? 年上か年下か、はたまたタメ年か、そんなことをモヤモヤと考えながら箱根を目指す。
バランスはとれている
所々に大きな水たまりができた高速道路を行くブレイド・マスターは、間違いなく年上のクルマである。3.5リッターのV6は、低回転域から扱いやすく、かといってトルクもりもりのマッチョで下品な感じでもなく、いかにも上品にタウンスピードをこなす。いっぽう3500rpmから上では、ちょっとイイ音を発しながらシャープにレブリミットを目指す。先に発表された2.4リッター仕様がトランスミッションにCVTを採用していたのに対し、3.5リッター仕様では6段ATが備わる。シフトアップ、シフトダウン、そしてギアをキープ、かゆい所に手が届く見事な制御で、パワートレーンに関しては大人の高級ハッチのそれかと存じます。
ブレイドの製品企画を担当した立石裕史主幹によれば、ブレイドマスターは決してゴルフにおける「GTI」や「R32」にあたる特別なモデルではないとのこと。もともと2.4リッターと3.5リッターのふたつを同時に出すべき開発していたが、ちょっとした開発期間のズレが生じて3.5リッター仕様が10カ月ほど遅れて登場することになった。「どこでズレたのですか?」という問いに対しては明言を避けたものの、「一番苦労したところは?」という問いには、「乗り心地と運動性能の両立」と即答なさった。
エンジン単体だと2.4リッターより3.5リッターのほうが約25kg重く、トランスミッションの変更やラジエターの拡大によってフロント廻りだけで3.5リッターのほうが60〜70kg重くなったとのこと。3.5リッターはもちろんパワーとトルクも増えているので足を硬めたいが、そうすると今度は乗り心地が悪くなる。その両者のせめぎ合いがあったのだろうと推測する。
そういった課題をクリアして獲得したバランスの良さは、豪雨の中の高速クルージングでも十分に感じられ、基本的にはフラットでしなやかな乗り心地は好感が持てるものだった。前出の立石主幹によれば、「タイヤの開発で乗り心地と操縦性のバランス点が高くなった」とのことである。ちなみに試乗車のタイヤ銘柄は、ブリヂストンのポテンザRE050だった。
ブレイド・マスターがバランスのとれた佳作であることはわかる。だがしかし……。(後編につづく)
(文=サトー タケシ/写真=市 建治)

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
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