トヨタ・ブレイド(FF/CVT)/ブレイドG(FF/CVT)【試乗速報】
団塊世代は疲れていない 2007.01.16 試乗記 トヨタ・ブレイド(FF/CVT)/ブレイドG(FF/CVT)……261万300円/292万3200円
2006年12月21日、トヨタ・オーリスの姉妹車となる新しいハッチバックモデル「ブレイド」が登場した。2.4リッターエンジンに豊富な装備で“上級ハッチ”を謳うニューモデルの狙うところは?
内装の素材が違う
カローラから派生したハッチバック「オーリス」をベースに、さらなるプレミアム性を打ち出したのが「ブレイド」である。しかしこのモデル、存在が実に謎めいている。というのも、オーリスが「フォルクスワーゲン」や「アウディ」、そして「アルファ・ロメオ」や「プジョー」たちと現地で闘う欧州戦略車であるのに対して、このブレイドは純国内専用モデル。では「国内に導入された輸入車たちにぶつけるのか?」と問えば、エンジニアたちは「ノー」と答えたからなのだ。
「大人しくない大人に、ショートプレミアム」というキャッチコピーを掲げるブレイド。その言葉通り、内装の質感は非常に高い。シートにはアルカンターラ(人工スエード)が用いられ、フェイシアやメーターナセルにもスエード調の表皮が張り込まれるという見たこともない豪奢な仕上げ。ましてやブレイドはハッチバックである。
シートは“ぴん”と背筋を伸ばして座るタイプ。全体的に腰のある座り心地で、「Gグレード」標準の8ウェイパワーシートを使えば、思い通りのポジションを作り出すことができる。
さらにインパクトがあるのはセンタートンネルの造形だ。シフトゲートをもう少し短縮させれば左右のウォークスルーさえ可能なのでは? と思われる空間を、あえてつなげてしまっている。評価は賛否両論だろうが、ボクの眼には近未来の乗り物のようでカッコ良く映った。
ちなみにリアの居住性も、座面長が短いことを除けばしごく良好。前後席間距離が905mmと謳っているとおり、たしかに足下はゆったりとしていた。
2.4リッターエンジン+「Super CVT-i」
搭載されるエンジンは2.4リッターの直列4気筒DOHC。最高出力は167PS/6000rpmで最大トルクは22.8kgm/4000rpm。いまどきハッチバックで高級を気取るにはV6か直4ターボが常套手段だが、ここにきてトヨタは2.4リッターという価値観を投入してきた。そしてこれが実にクルマの動きにマッチしていた。つまり、4気筒の軽さと、2.4リッターの高出力が絶妙のバランスなのである。
ただしこの2AZ-FEエンジン、前時代トヨタ的高回転型で、その吹け上がりはやや子供っぽい。逆に4AG(カローラ・レビンなど)や3S(「セリカ」や「アルテッツァ」など)に懐かしさを覚えるヒトなら、これを「元気なエンジン」と評するに違いない。
それに組み合わされるトランスミッションは「Super CVT-i」。スポーツモードでは7段にギアが切ってあり、その数の多さにまんまと驚いたが、通常路で数字が「7」に入ることはなかった。スポーツモードの反応は素早い部類だが、実際はシフト操作そっちのけで走らせるほうが、ブレイドは楽しめる。
つまり、トルキーなエンジンとシームレスなCVTの連動で、クルマの運転自体に集中できるのだ。そうするとこのブレイド、驚くほどのハイパフォーマンスを発揮する。
熟成されたストラットサスでのターンインはシャープすぎず「ガッチリ」としており、上質で力強いフロントのインフォメーションがある。その際リアはきちんとストロークを確保しており、箱根ターンパイクのような高速路でも危なげない。これはサブフレームから新設計されたリア・ダブルウィッシュボーンサスペンションのおかげだ。
|
ズバリ狙い所は?
試乗を終えて、ボクの頭は混乱した。このブレイド、狙い所はズバリどこにあるのか? 開発陣から返ってきた言葉は「セダンを降りた熟年層」。つまり団塊世代であった。
「ゴルフGTI」を指名買いするような層はハナから狙わず、子育てを終えて「クラウン」や「セルシオ」が大きすぎると感じた夫婦が、楽しく小旅行を満喫できる快適な小型車を目指したのだという。
|
そこでこちらも応戦した。「これだけのコーナリングGを発生するスタビリティ、アドバンA460というタイヤ選択。団塊向けにしては、ちょっとやりすぎじゃありません?」
それに対しシャシー開発担当者は「僕も昔は走るの大好きでしたからねぇ」とステアリングを切り込む真似をした。どうやら彼らはまだまだ元気で、疲れているのは我々「団塊ジュニア」だったようである。
|
そう考えるとこのブレイド、なるほど合点が行く。フロントグリルのメッキ、シックなゴールドパールのボディカラー。カッコ良いのか野暮ったいのかわからないと思ったルックスは、クラウンの次候補としては絶妙な若々しさと老獪さを持っている。なるほどなぁ…。ただしその走りは若僧にとっても素晴らしいものがある。だから、「TRD」や「モデリスタ」のグリルレスバンパーでもつければ、それこそ欧州勢とも十二分に渡り合えるハッチバックであるということも付け加えておこう。 (文=山田弘樹/写真=峰昌宏/2007年1月)

山田 弘樹
ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦経験をもつ、実践派のモータージャーナリスト。動力性能や運動性能、およびそれに関連するメカニズムの批評を得意とする。愛車は1995年式「ポルシェ911カレラ」と1986年式の「トヨタ・スプリンター トレノ」(AE86)。
-
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】 2026.10.16 欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。





























