フォルクスワーゲン・イオス2.0T(FF/2ペダル6MT)/V6(FF/2ペダル6MT)【試乗速報(前編)】
Eos いよいよ 日本で初乗り(前編) 2006.10.25 試乗記 フォルクスワーゲン・イオス2.0T(FF/2ペダル6MT)/V6(FF/2ペダル6MT) ……484万2000円/537万9000円 フォルクスワーゲン「Eos(イオス)」が日本上陸。注目の5分割ハードトップボディを備えたニューモデルに、瀬戸内のリゾート(?)淡路島で試乗した。まずは1台3役のボディを解説する。フォルクスワーゲンの初CC
イオスは、ゴルフ/パサートと共通の4シーターシャシーをベースに、今流行りの電動ハードトップをかぶせた、フォルクスワーゲン初のクーペカブリオレ(CC)である。
その目玉は当然、電動ハードトップ。CCスタイルはソフトトップに対して耐候性や安全性が高いなどといった理由から、ここ最近の欧州でも急激に人気の高まったアイテムなのだ。「プジョー206/307CC」「ボルボC70」など、すでにライバルたちが実践しているスタイルではあるが、VWのCCは後発だけにより入念な作り込みがされている。
その特徴は、このルーフに幅1125mm、長さ605mmという大きなガラス製スライディングルーフが組み込まれていること。これは「アルファ・ブレラ」などでも見られるサングラスタイプのグラストップで、サンシェードを開ければ広々とした空と日の光が手に入る。さらにイオスでは、これをチルトアップしたり、開け放ったりすることも可能だ。そして最終的には、開閉時間約25秒でフルオープンが味わえるのである。
5分割ルーフの利点
センターコンソールにあるレバーを手前に引くと、全自動トップが動き出す。世界初の5分割(グラストップ/中央ルーフ/リアガラス/両側サイドメンバー)方式を採用する開閉時の動きは、さながら戦闘ロボットの変身シーン(?)のよう。普通であれば「くの字」に折れてトランクへ収納されるであろうルーフがバラバラと5分割され、8本の油圧ダンパーとポンプによって精妙に収納されてゆく様は、見ていても楽しい。
もちろんこの5分割方式のメリットはこういったギミックを見せつけることにあるのではない。ルーフを細かく折りたたむことで、ルーフ全長が大きくすることができたのだ。そうすることでボディ側Aピラー長を短く、角度をゆるくすることが可能となり、良好なヘッドクリアランスと視界が得られたのである。
一度でもこういったクーペ・カブリオレに乗ったことがあるならばわかるはずだが、ライバルたちのネガはまさにこのAピラーによる圧迫感である。それを見事に払拭したイオスのオープンエアモータリングは、一枚上手な気持ちよさだった。
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ルーフも大事、荷物も大事
ちなみにルーフの開閉はトランク内のラゲッジカバー(ルーフと荷物との干渉を防ぐカバー)を閉めた状態でないとできない。これはルーフと荷物を守る安全装置として機能しているのだ。イオスのトランク容量は通常380リッター(V6は358リッター)だが、カブリオレ時には荷物をラゲッジカバー下に収納しておく必要があるために205リッター(V6は183リッター)と、かなり狭くなる。荷物満載時にフルオープンにするようなシチュエーションがそう多いとは思えないし、荷物が少ないときはラゲッジカバー内にきちんとしまっておけば良いだけの話だから、VWを選ぶようなしっかり者のユーザーには問題ない部分だろう。
安全についてもうひとつ。ルーフ開閉時にトランクリッドは約38cm突き出すのだが、後方に障害物があるとパークディスタンスコントロールセンサー(オプション)がそれを感知し、作動を停止させる。これは実にありがたい装置だと思った。実は撮影時に、後ろに編集担当殿がいたままルーフを開けようとしたのだが、一向にシステムが稼働しない。担当殿がどいた途端にルーフは動きだし、その正確さに一同驚きの声を上げたというエピソードがあったのである。
ルーフを開けたときの話ばかりになってしまったが、クーペ時の印象もまずまず。ボディ剛性の強弱は通常走行程度では意識できず、駐車場の段差をゆっくりと乗り越えたときにときおりインテリアが小さく音を立てる程度。室内の広い4シーターということで、例えば「マツダ・ロードスター」のようにリアタイヤからのノイズがこもる印象もない。その耐久性については、VWが延べ100万kmに及ぶ距離を走って確かめたというから、今のところはその言葉を信じることとしよう。(後編につづく)
(文=山田弘樹/写真=高橋信宏/2006年10月)
・フォルクスワーゲン・イオス2.0T(FF/2ペダル6MT)/V6(FF/2ペダル6MT)(後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018762.html

山田 弘樹
ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦経験をもつ、実践派のモータージャーナリスト。動力性能や運動性能、およびそれに関連するメカニズムの批評を得意とする。愛車は1995年式「ポルシェ911カレラ」と1986年式の「トヨタ・スプリンター トレノ」(AE86)。
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