フォルクスワーゲン・イオス2.0T(FF/2ペダルMT)【試乗記】
風に晒される快感 2007.02.15 試乗記 フォルクスワーゲン・イオス2.0T(FF/2ペダルMT)……484万2000円
事実上「ゴルフ・カブリオ」の後継車種となる「イオス」。電動格納式のメタルトップと2リッター直噴ターボ+DSGが作り出すオープンドライブは、どのような楽しさをもたらしてくれるのか?
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胸のすく加速のFSIターボ
「イオス」とは新車種であることを示すネーミングであるが、VWブランドとしてはゴルフ・カブリオの市場を受け継ぐオープンモデルである。
メタルトップのクーペとルーフを下ろせるコンバーチブルの両方に変身可能な、自動格納型トップはひとつの流行りでもある。その中でイオスの特徴となるのは、トップを5つに分割して収納部分をコンパクト化し、トランク容量を稼ぐとともに、他の同種のクルマのようにトランクデッキを高めることなしに、リアスタイルをスッキリとスタイリッシュにまとめた点にある。
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変身に要する時間は約30秒とこの種のものの平均的な時間で、特に速くも遅くもないが、長めの信号待ちなら間にあうし、操作はボタンを押すだけと簡単だ。
オープン化に伴うボディ補強や複雑なルーフ収納メカニズムの採用など、重量増加は避けられないところながら、この場合には2.0Tで1590kgと、ジェッタのスライディングルーフ装着車に比べて90kgの増加に抑えられている。負荷の増加に対応して過給圧を上げるターボチューンは、この場合にもまさに効果を発揮。FSI+ターボの胸のすく加速は「ゴルフGTI」にも準じる。ノーズの重さなど操縦安定性の面を考慮しても、V6よりむしろこちらの軽くて活気ある2.0Tをお勧めしたい。
グラスルーフでも気持ちいい
また6段のトランスミッションはもちろんDSGであるが、スロットルの踏み込み加減で最適なポジションを自動選択し、トルコンスリップとは無縁の、エンジンと直結のダイレクトな加減速を約束する。ギアポジションなりのGを得られることはいうまでもないが、その変速ショックが皆無なのもDSGならではの特徴で、エンジン音の変化で変速を知ることになる。
このDSGで唯一の不満は、VWアウディに共通するブレーキとアクセルペダルを同時に踏むとエンジンが一瞬ストールする悪癖で、左足ブレーキによるドライビングではこの点においてリズムを狂わされてしまうのが玉にきず。
クーペとコンバーチブルというボディの状態の違いが操縦安定性に与える影響は比較的少ない。大きなグラスルーフや金属の骨格が大きく上下移動するのだから、重心高の変化は少なくないし、前後の荷重配分も変化して当然。重心高の低いオープンのほうが安定性は高いのもいうまでもない。
しかし造りがしっかりしており、ボディのソリッド感も優秀なので、変化は変化として無視はできないものの、だからどうしたという程度だ。
もちろんオープンにした時の開放感はクーペに勝る。しかし、クーペ状態でシェードを開けてグラスルーフとしても室内は十分に明るく、単純なサンルーフ以上の効果はある。イオスの美点はルーフ部分だけで3分割してあり、フロントピラーが立ち気味であることだ。ピラーを寝かせてスクリーンを大きく後部まで延ばした例と違い、昔のロードスターのように頭上の空間が大きく開いている。この開放感は価値がある。様々な風対策も完備しているが、オープンで走る楽しさはそんなもの一切を払って風に晒されてこそ得られる快感なのだ。
17インチは繊細な操舵感
ゴルフよりさらに改善されていたのはシートだ。カッチリ硬めのクッションもホールドを助けるが、なんといっても座面後傾斜角がキチンと採られており、腰の部分が自然に背面に預けられるという上体重量受け止めの荷重分担がうまくいっている。こうしたシートは長時間の運転でも疲れない。
標準タイヤサイズは235/45R17であるが、オプションで18インチも用意されている。235/40とタイヤ幅は同じながら、リム幅が7.5Jから8Jとなりオフセットが変更されている。この結果、外側を合わせるVWの流儀により、タイヤの接地中心は17インチのほうが外側にくる。スクラブ半径(キングピン中心線が路面と交わる点と、タイヤトレッド面の接地中心の距離)は18インチではほぼゼロとなり、電動パワーステアリングの路面フィールとしては、10mm強ポジ側(タイヤの接地中心が外側)にくる17インチのほうが自然で扱いやすくなる。操舵感に繊細さを求める人には17インチがお勧めだ。
(文=笹目二朗/写真=高橋信宏/2007年2月)

笹目 二朗
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