アウディA4アバント 2.0TFSIクワトロ(6AT)【ブリーフテスト】
アウディA4アバント 2.0TFSIクワトロ(6AT) 2005.04.20 試乗記 ……562万5000円 総合評価……★★★★ シングルフレームグリルでフロントマスクを大きく変えた、「7世代目」を謳うアウディの主力「A4」シリーズ。2リッターターボを積む中核「2.0TFSIクワトロ」に、自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。マイナーチェンジなら納得
造りの良さ、適度なサイズ感、活発な動力性能、洗練された4WD、スタイリッシュなワゴンボディなどは魅力的だ。とはいえ、これまで急進的に技術で攻めてきた傾向に中休み(?)がみられる。絶対的な実力としては高度な車であるが、新型車としての変化がこれまでのアウディらしくない。ガンガン技術で攻めてこそアウディというイメージであり、シングルフレームグリル採用のための切り替えだとしたら、ちょっと失望してしまう。7世代目の襲名ではなく6世代のマイナーチェンジなら納得だが……。
走り屋は「RS4」の登場を待っているだろう。新型「S4」が搭載するV8は、カムシャフトの駆動が前側のベルト駆動から後方に移転して、フライホイール側をチェーンで駆動する方式に改められた。この結果エンジン全長は短くなり、ノーズも軽くなった。よってRS4は更なる期待がもてる。
アウディには、こうした技術的チャレンジこそ似つかわしいし、皆の期待もそこにあるのだと思う。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
アウディ・ジャパンいうところの「7世代目」にあたる最新「アウディA4」シリーズ。その内容は、2001年6月に上陸したA4のビッグマイナーチェンジともいえるもので、フェイスリフトと新エンジン搭載が主な眼目となる。
デザイン面では、「A6」で先駆をつけた「シングルフレームグリル」でフロントの迫力を増し、新世代アウディであることを主張する。
ラインナップは、セダン、ワゴンとも共通で、下から「2.0」「2.0 TFSIクワトロ」「3.2 FSIクワトロ」の3車種。うち、上級2グレードには新エンジン、2.0 TFSIクワトロに採用された直噴2リッターターボ(200ps/5100-6000rpm、28.5kgm/1800-5000rpm)と、3.2 FSIクワトロの直噴3.2リッターV6(255ps/6500rpm、33.6kgm/3250rpm)を搭載。トランスミッションは、2リッター直4に7段マニュアルモード付きCVT「マルチトロニック」、それ以外には6段AT「ティプトロニック」が組み合わされる。
ほかに、サスペンションのスプリングやショックアブソーバーのセットアップを変更。前サスを「S4」から、後ろはA6からコンポーネントを“移植”し、走行安定性などの向上も図った。
(グレード概要)
A4シリーズは、グレードによって若干装備を差別化。2.0TFSIクワトロは、NAモデルにオプション設定の速度感応式パワーステアリング「サーボトロニック」やオンボードコンピューター、オートライトなどの上級装備を標準で装着。リアカップホルダーやシートバックポケットなどの収納も増える。タイヤは、215/55R16インチが標準。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
デザインの基本姿勢は従来と変わっていないが、高品質な仕上げは7世代目に入っても受け継がれている。高級感という点では、すこし前のA6にも劣らない上級感覚だ。大きな変更点は、ステアリングホイールの形状。中央に、新しいフロントマスクと同じ意匠のマークを配した、4本スポークタイプとなった。
(前席)……★★★★
シートも上級車並み。テスト車についていた、オプションの電動シートはエアー式のランバーサポートを持ち、好みに応じて調整できる点が親切だ。いかに基本が整っていても個人差による微調整は必要で、そこまでの配慮に好感がもてる。シート、ペダル、ハンドルの位置関係を選べる調整しろの大きさは、アウディのよき伝統だ。
(後席)……★★★★
リアシートの座り心地はバックレストの角度でほぼ決まってしまう。この角度の選定(寝過ぎは疲れやすい)がアウディはいつも適切で感心する。腰まわりのフィッティングも良好。4WDのためフロア下部をドライブシャフトが走るため張り出しはあるが、それでも高さは低めに配慮されている。
(荷室)……★★★
ボディサイズからして広さは並、フロアも格別低くはない。アウディのアバントは、どちらかといえばワゴンといえどもスタイリング重視ゆえ、積載能力をギリギリまで追求したタイプではないのだ。リッド下の敷居の段差は、積んだ荷物が不用意にすべり落ちなくて便利だろう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
直噴FSIターボは、これまでのフォルクスワーゲン、アウディのターボチューンようなフラットトルク型ではなく、すこしではあるがパワーに盛り上がりが感じられてエンジンらしさがある。従来みられた、過給後のゴムパイプが膨らんでスロットルオフ後に吹け残る特性はほぼ解消されていた。1680kgとやや重い車重のため動力性能に目を見張るものはないが、上り坂でも不満はない。6段ATはシフトパターン、フィールとも秀逸である。
動力性能関連では、アクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏むとエンジンが休止する、VWアウディ特有の悪癖が未だネック。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
フラット感が得られず上下動が絶えず発生する乗り味を先代から受け継いでいる点が残念。高級感を削ぐ。ダンパー減衰力の伸び/縮みの比率の見直しが必要。操舵力は軽くなり操舵フィール良好。ワゴンゆえかやや重心高の高さを感じる。サスペンション関連は旧型からの進化改善が感じられない。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2005年4月4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:1029km
タイヤ:(前)235/45R17(後)同じ
オプション装備:電動シート、電動ランバーサポート(フロント)+ダブルスポークデザインアルホイール(7.5J×17)+235/45R17タイヤ=29万円/MMS(マルチメディアステーション)+6連奏CDオートチェンジャー=32万円/バイセキノンヘッドライト+ヘッドライトウォッシャー+自動ヘッドライトコントロール=13万5000円
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(4):山岳路(3)
テスト距離;331.2km
使用燃料:38.5リッター
参考燃費:8.6km/リッター

笹目 二朗
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。






























