三菱ランサーエボリューションワゴンGT-A(4WD/5AT)【試乗記】
日常生活、サーキット、Wオッケー 2005.11.21 試乗記 三菱ランサーエボリューションワゴンGT-A(4WD/5AT) ……353万8500円 「ランエボ」といえば過激なスポーツセダンの代名詞だったが、9代目にして初めてワゴンモデルが登場した。5段ATを備える「ランサーエボリューションワゴンGT-A」に試乗した。高性能車で、異端児で
WRCでも活躍中のお馴染み“ランエボ”に、ワゴン仕様が加わった。エボリューションモデルとは、本来は競技用のベース車両であるにもかかわらず、日常生活も苦にならない日本的高性能車である。しかも同等の動力性能を有する輸入高名ブランドの本格的スポーツカーの3分の1の価格で手に入るという、コストパフォーマンス抜群の自動車界の異端児でもある。
そのランエボのワゴンモデルとなれば、また一捻りあって興味深いモデルだ。見方を変えてライバルらしき車種を探せば、レガシィワゴンGTの三菱版でもあるが、直接比較して二車択一する人は少ないだろう。
エンジンや4WDの駆動系はもとより、中身はほぼランエボ・セダンを踏襲する。ワゴンには5AT仕様もあることが注目点で、より実用価値を高めながら容易に高性能が味わえる。5AT用のエンジンは272ps/34.3kgm と、6MT用の280ps/40.0kgm に比べ数値上は若干低下しているが、ATゆえにストール回転の幅なども余分に使えるし、事実上のパワー差は少なく、いずれにせよ安楽快速ワゴンクラブのメンバーであることに変わりない。
洗練された乗り物
外観はパっと見には普通のワゴンボディでありながら、それでもさすがにタダモノではない雰囲気をそこはかとなく醸すあたりに、このクルマのキャラクターが感じられる。そーっといつの間にか背後に付かれると、思わず先を譲りたくなる不気味な迫力を備えている。
強いて注文を加えるならば、リアブリスターフェンダーの後部に処理されたエアアウトレットはちゃんと穴開きにしてほしかったところだが、「自分で加工する楽しみを残してくれた」とメーカーに感謝することもできる。
そのような外観とは裏腹に、運転している身には高性能ゆえの気難しさは微塵も感じられず、ダンピングの効いたフラットな乗り心地は秀逸であるし、目地段差などでのハーシュネスさえ十分にマイルドである。エンジンはと言えば、知らされなければターボ過給が加えられているとはわからないほど滑らかにパワー供給が供給され、低中回転域からまんべんなく太いトルクが確保されている。音量も控えめだ。これは充分に洗練された乗り物である。並みのランサーワゴンとの大きな違いは、素晴らしく速いということか。
二面性を余裕で演じる
大型のテールウィングを持つなど、出で立ちからして尋常ではないセダンのランエボに比べ、このランエボ・ワゴンはあれほど目立ちたくない人にも向く。もちろん、アルミフードにビルシュタインダンパー、ブレンボのブレーキにフロントレカロシート、そしてヨコハマADVANの235/45R17(8J×17)のタイヤ/ホイールなどはそのままだから、スペックを尊ぶ人の満足も得られる。
普段は静かに業務に邁進し、家族にも内緒で時にサーキットでスポーツ走行に汗を流すなど、大きく異なる二面性を余裕で演じられるから、飛ばさない人にも可能性を買う価値はおおいにある。GT-Aの価格は341万2500円、6MTの346万5000円よりほんの少し安く、両シリーズ合計で2500台の限定生産モデルとなるから、希少価値を求める人にも向く。
(文=笹目二朗/写真=荒川正幸/2005年11月)

笹目 二朗
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