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GSR(5MT):全長×全幅×全高=4495×1810×1480mm/ホイールベース=2650mm/車重=1520kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC16バルブターボ(280ps/6500rpm、43.0kgm/3500rpm)/価格=349万5450円(テスト車=391万5450円/ハイパフォーマンスパッケージ/BBSアルミホイール)(テスト車はプレ生産車)

三菱ランサーエボリューションX GSR(4WD/5MT)/GSR(4WD/2ペダル6MT)【試乗速報】

ハイパフォーマンス&ハイコストパフォーマンス! 2007.10.02 試乗記 青木 禎之 三菱ランサーエボリューションX GSR(4WD/5MT)/GSR(4WD/2ペダル6MT)
……391万5450円/375万600円

「三菱ギャラン・フォルティス」に続いて、派生モデルの枠を大きくはみ出した「ランサーエボリューションX」がついに発表された。北海道は十勝からの報告。

10代目の重要ポイント

「三菱ランサーエボリューションX」に乗った。北海道は十勝にある、同社の研究所内テストコースにて。

いきなりだが、ランエボXのドライブフィールは、総じて落ちついている。挙動は自然で穏やか。ことにしなやかな足まわりが印象に残った。コース中、速度ののったカーブでリアがフルバンプする箇所があるのだが、乗ったグレードにかかわらず、素直にサスペンションが動いて不安感なくショックを吸収してくれる。さすがに1992年以来、代を重ねて磨き続けたハイパフォーマンスモデルだけのことはある。

10代目となったランエボXは、ベースモデルの代替わりにともない、やや大きく、重くなった。ドライブフィールが−−月並みな言葉でいうと−−「大人になった」と感じたのは、100kgほど増した車重が利いているのだろう。

新しいランサーエボリューションの眼目は、以下の通り。

・エンジンは、鋳鉄ブロックの「4G63」がついに捨てられ、2リッターのアルミ「4B11」ユニットが採用された。もちろんターボ。
・4輪のトルクコントロールがよりきめこまかくなった。
・オートマのランエボというべきツインクラッチモデルが加わった。

そしてなにより重要なのは、驚異的なコスト・パフォーマンスが維持されたことである。

一般向けのランエボたる「GSR」は、
・5MT=349万5450円
・2ペダルMT「TC-SST」=375万600円
競技車両のベース「RS」は、
・5MT=299万7750円

2007年10月1日、ランサーエボリューションXが発表・発売された。ただし、国内でのメイングレードと予想されるツインクラッチSST版は、2007年11月下旬から販売が開始される。


三菱ランサーエボリューションX GSR(4WD/5MT)/GSR(4WD/2ペダル6MT)【試乗速報】の画像 拡大
【スペック】GSR(2ペダル6MT):全長×全幅×全高=4495×1810×1480mm/ホイールベース=2650mm/車重=1540kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC16バルブターボ(280ps/6500rpm、43.0kgm/3500rpm)/価格=375万600円(テスト車=同じ)(テスト車はプレ生産車)
【スペック】GSR(2ペダル6MT):全長×全幅×全高=4495×1810×1480mm/ホイールベース=2650mm/車重=1540kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC16バルブターボ(280ps/6500rpm、43.0kgm/3500rpm)/価格=375万600円(テスト車=同じ)(テスト車はプレ生産車) 拡大
今回の試乗会では用意されなかったが、GSRのほかに、競技車両のベースとなるRSがラインナップする。5MTのみ。軽量化のため、ACD(アクティブ・センター・デファレンシャル)は装備するが、「S-AWC」は採らない。RSの車重1420kg。奇しくも先代GSRと同じだ。(写真=三菱自動車工業)
今回の試乗会では用意されなかったが、GSRのほかに、競技車両のベースとなるRSがラインナップする。5MTのみ。軽量化のため、ACD(アクティブ・センター・デファレンシャル)は装備するが、「S-AWC」は採らない。RSの車重1420kg。奇しくも先代GSRと同じだ。(写真=三菱自動車工業) 拡大
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スムーズなSST

簡単なジムカーナを行うため、ランサーエボリューションXが列をつくっている。自分も並びながら、「熱心なスバルファンに続いて、三菱車好きも微妙な気持ちになるんじゃないか」と思った。後ろ姿を見る限り、「アルファロメオの試乗会」と言われても疑うまい。残念なことに。大きな口を開けたフロントセクションは迫力あっていいのになぁ……。

フォルクスワーゲングループが先行してマーケットに投入した「DSG」の三菱版が、SSTである。スリーダイヤモンドのそれは、ゲトラク社との共同開発で、やはり2枚のクラッチを交互につなぐことで、2ペダル式MTながら、トルコンAT顔負けのスムーズな変速を実現する。
テストコース内の限られた場所ながら、走るほどに、なるほど、滑らか。ちゃんと(?)クリープする。上り坂でも、「ブレーキペダルから足を離したとたんバックする」といったことがない。オートマ車に馴染んだ人でも違和感なく使えるだろう。

SSTには、穏やかな「ノーマル」に加え、「スポーツ」「スーパースポーツ」モードが用意される。最後のスーパースポーツは、いわばタイムアタック用で、タコメーターの針を5000rpm以上に置こうとするプログラムが採られる。気の弱いリポーターなどは、叫び続けるエンジン音だけで腰が引けちゃう感じ。血の気がひく速さ。
「ノーマル」から「スポーツ」に変えるだけで、シフトプログラムがアグレッシブに豹変するから、普通のスポーツ走行にはこちらで十分だと思う。「スーパースポーツ」は宝刀みたいなもんで、抜かなくてもいいんじゃないでしょうか。


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セットオプションの「ハイパフォーマンスパッケージ」は21万円。ビルシュタインのダンパーにアイバッハのスプリング、ブレンボ製2ピース・ベンチレーテッドディスクが含まれる。タイヤも、アドバンのハイパフォーマンスタイプに。BBSのホイールは、同じく21万円。
セットオプションの「ハイパフォーマンスパッケージ」は21万円。ビルシュタインのダンパーにアイバッハのスプリング、ブレンボ製2ピース・ベンチレーテッドディスクが含まれる。タイヤも、アドバンのハイパフォーマンスタイプに。BBSのホイールは、同じく21万円。 拡大

凄腕ドライバー

5MTモデルのクラッチはじんわり重い。「やっぱりハイパフォーマンスカーは、クラッチを踏まなくちゃ」と、守旧派のリポーターはニンマリ嬉しい。

新しい「4B11」ユニットは、280ps/6500rpmの最高出力と、43.0kgm/3500rpmの最大トルクを発生する。まったくの新開発ながら、280psのピークパワーはそのままに、トルクを太らせる“従来型”のチューニングが施された。
ランエボ用のターボエンジンは、「アウトランダー」から用いられるNAユニットとはブロックからして異なる。増大したアウトプットに対応するため、各所に補強が施され、冷却に配慮された。ピストンはマーレ社製。テーパー状のサージタンク、短いインテークマニフォルドなど、限られた予算内で最大限の努力が払われたのがよくわかる。今後、デチューン版がほかの三菱車にも使われよう。

テストコースを行くと、低回転域から厚いトルクがわき出るターボエンジンの力強さがいかんなく発揮される一方、レスポンスもいい。スロットルペダルの一踏み、一踏みごとに、太いトコロテンを押し出しているようだ。

三菱ジマンのS-AWC(Super All Wheel Control)は洗練され、リポーターのような鈍いドライバーには作動しているのがよくわからない。なんだかわからないけどやたらと速くコーナリングでき、安定して中速コーナーにも入っていける。「ホンダ・レジェンド」のときのような、「オオ! 利いてる!!」といった感覚は皆無。あくまで自分の技量、と錯覚する。無条件に“凄腕ドライバー”な気分を味わえる。


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オールアルミとなった2リッターターボ。これだけで12kgの軽量化。可変バルブタイミング機構MIVECを搭載。後方排気となったため、エグゾーストパイプをエンジンの下に通す必要がなくなり、搭載位置を10mm下げられた。
オールアルミとなった2リッターターボ。これだけで12kgの軽量化。可変バルブタイミング機構MIVECを搭載。後方排気となったため、エグゾーストパイプをエンジンの下に通す必要がなくなり、搭載位置を10mm下げられた。 拡大

今後のランエボ

S-AWCは、「ACD」(前後のトルク配分)「AYC」(左右のトルク配分)「ASC」(各輪のブレーキ制御)「ABS」によって構成される。
エボリューションIXでは、「ハンドル角」「車速」「前後/横G」でクルマの姿勢を判断、次の動きを予測していた。今回はさらに「ヨーレイト」「エンジントルク(加減速)」「ブレーキ圧」のセンシングが加わり、よりリアルに自車の状況を把握できるようになったわけだ。

仏さまの手のうえで踊らされるだけ?
「いいえ。ビギナーのひとにも、クルマをコントロールする楽しさを知っていただきたいのです」とは、S-AWC開発担当エンジニアの言葉。

2003年のエボVIIIから、ヨーロッパ、アメリカへの輸出を開始して、いまや輸出台数が国内販売を上まわるランサーエボリューション。10代目では、日本市場の2倍を北米で売ろうと目論んでいる。
やや大柄になったボディ。敢えてキャパシティに余裕がある5MTと2ペダル式MTが選ばれた理由は? ハイパフォーマンスモデルへの世間の風当たりを見つつ、増大した車重を相殺する出力強化モデルがリリースされるのだろうか? さらなるモンスターが!?

WRC(世界ラリー選手権)のオーラが薄れつつある昨今のランサーエボリューションだが、どうか「ラリーウェポン」にかわって「プレミアム」を押し出すことなく、ハイパフォーマンスとともに、ハイコストパフォーマンスを守りつづけてください。

(文=webCGアオキ/写真=高橋信宏、三菱自動車工業)

ランエボIXと比較して、ねじりで40%、曲げで60%アップしたというXのボディ。IX同様、ルーフパネル、ボンネット、フロントフェンダーはアルミ製。さらに、前後バンパービームがアルミ化された。(写真=三菱自動車工業)
ランエボIXと比較して、ねじりで40%、曲げで60%アップしたというXのボディ。IX同様、ルーフパネル、ボンネット、フロントフェンダーはアルミ製。さらに、前後バンパービームがアルミ化された。(写真=三菱自動車工業) 拡大
サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンク式。GSRのホイールは、IXの17から18インチが標準となった。RSは15から16インチに。
サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンク式。GSRのホイールは、IXの17から18インチが標準となった。RSは15から16インチに。 拡大
青木 禎之

青木 禎之

15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。

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