第70回:花粉症はナゼ発症するのか〜答えは日光に〜(その7)(矢貫隆)
2005.10.31 クルマで登山第70回:花粉症はナゼ発症するのか〜答えは日光に〜(その7)(矢貫隆)
■湿原としての戦場ヶ原
赤沼バス停近くのパーキングに「ハリアーハイブリッド」を停め、戦場ヶ原の入口に足を踏み入れたのは12時頃だった。
いきなりミズナラの林が続いていた。取材に訪れた6月下旬は観光シーズンとあって、大勢のハイカーたちの姿が見える。勾配変化のない湿原ハイキングとはいえ、ほとんどの人が最低限の装備、つまりスニーカー履きにザックを背負い、そして雨具を持っている。
気軽にくることができるのは確かだけれど、冷静に考えてみれば戦場ヶ原は標高約1400mの地点に広がっているのだ。登山に準じる装備は当然なのである。
「湿原って、どうしてできるのか知ってますか?」
いや、知らない。
「基本的には火山の噴火ですね。湿原によって形成の過程は様々ですが、戦場ヶ原の場合は、約2万年前の男体山の噴火によって古戦場ヶ原湖が形成されたのがそもそもの始まりでした」
A君、パンフレットを読んでるのか?
「違います。勉強したんです」
じゃ、続けてくれ。
「古戦場ヶ原湖がしだいに乾燥し古戦場ヶ原になっていったんですが、約1万3000年前に男体山やら周囲の山々の火山活動によって流入した土砂が堆積した。そして気候が寒冷ですから植物の遺体が分解されずに泥炭化し、こうして湿原ができあがってきたわけなんです」
質問があるんだが。
「どうぞ」
戦場ヶ原の湿原としての特徴は?
「尾瀬の湿原が代表的な高層湿原から成っているのに対し、戦場ヶ原は、アシの群落がある低層湿原(=水面より湿原が低い位置にあって水が溜まっている状態の湿原)、戦場ヶ原でもっとも広い面積を占める中間湿原、ミズゴケが発達する高層湿原(水面より湿原が高く盛り上がっているが、ミズゴケが水を吸収していて水分が保たれている状態)のみっつから成っていることでしょうか」(つづく)
(文=矢貫隆/2005年10月)

矢貫 隆
1951年生まれ。長距離トラック運転手、タクシードライバーなど、多数の職業を経て、ノンフィクションライターに。現在『CAR GRAPHIC』誌で「矢貫 隆のニッポンジドウシャ奇譚」を連載中。『自殺―生き残りの証言』(文春文庫)、『刑場に消ゆ』(文藝春秋)、『タクシー運転手が教える秘密の京都』(文藝春秋)など、著書多数。
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