MG ZT-T(5AT)【ブリーフテスト】
MG ZT-T(5AT) 2004.03.26 試乗記 ……443.0万円 総合評価……★★★ 「アルファイーター」「BMWのライバル」となるべく登場した「MG ZT」。そのワゴン版に、webCGコンテンツエディターのアオキが乗った。新生MGのオーナー像とは?必要なのは心意気
「ZT-T」は、いうまでもなく「ローバー75ワゴン」のMG版。グリルはアミ状になれど、エンジンの発熱量は変化なし。もっぱらシートと足まわりが“スポーティ”を受け持つ。とはいえ英車党は、ローバー車との差異が、バッヂだけに終わらなかったことを喜ぶべきだろう。
ワゴンには、MGサルーンのようにリアウィングが付かないのはちょっと残念。リアガラスだけ開閉できるハッチゲイトは、それなりに便利。
走れば、“シャシーが速い”というより“シャシーが硬い”。サルーンでも老体にムチ打つ感がぬぐえなかったが、リアのバルクヘッドをもたないワゴンボディではなおのこと。ボディの耐久性がやや心配。なにはともあれオーナーに必要なのは、すべてをわかっていて、それでもオクタゴンのエンブレムに捧げる心意気。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年にデビューした「MG ZT」は、ローバー「75」にスポーティな味付けを施した4ドアサルーン。ZT-Tは、そのワゴン版である。本国には、1.8リッター直4、2リッターディーゼルターボもあるが、日本に輸入されるのは、180ps版(カタログ数値は177ps)2.5リッターV6モデルとなる。
(グレード概要)
日本に入るMG ZT-Tは、「2.5リッターV6+5段AT」の組み合わせのみ。ステアリングホイールの位置は右。インテリアは、標準がアルカンタラとレザーのコンビネーションシート。オプションで、カラーバリエーションが豊富なファブリック&レザーのコンビシートが選べる。スポーティサルーンたるZT同様、ZT-Tも、「225/45ZR18」とスポーティなサイズのタイヤを履く。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
「ローバー75」の、ウッドパネルを多用したブリティッシュテイスト溢れるインパネまわりと比較すると、グッと地味なMG。一般の消費者においては、こちらの方が18.0万円高いとは(75ツアラー比)、にわかに信じがたいであろう。黒とグレーシルバーが支配するインテリアは、たしかにスポーティで、ローバーとの差別化には成功しているが……。
電動ミラー(収納可能)、パワーウィンドウ(ワンタッチで開け閉めできる)、左右別に設定できるエアコン、前席シートヒーターなど、もともと右ハンドルであることもあって、日常の使い勝手に不満はない。強いて装備面に難癖をつけると、バニティミラーが助手席側バイザーにしか備わらないことか。
インパネ右端、ATレバー前、グローブボックスの上には、それぞれちょっとした小物置きが用意され、便利。ドアポケットは、深さが足りないのが難。
テスト車には、「ECLIPSE」のナビゲーション&オーディオシステムが装備されていたが、ステアリングホイールのオーディオスイッチとはつながっていなかった。
(前席)……★★★★
ローバーモデルからの価格アップ分の大半が消費されたであろうバケットシート。運転席・助手席とも調整は手動だが、アルカンタラとレザーをコンビネーションで使った贅沢なもの。形態、素材とも、ドライバーをしっかり支えてくれる。リクライニングはダイヤル式で、無段階で調整可能。ドライバーズシートには、ハイトコントロールと、ダイヤル式ランバーサポートあり。チルト(上下)テレスコピック(前後)できるステアリングホイールとあわせ、好みのドライビングポジションを取りやすい。
(後席)……★★★★
たっぷりしたサイズのクッション、余裕の膝前、頭上空間、キチンとした姿勢が取れる立ち気味のバックレストと、完全に実用的なリアシート。センターシートも、若干、ヘッドクリアランスが厳しくなるが、伸縮可能なヘッドレスト、3点式シートベルトが用意され、ちゃんと座れる。名実ともに定員5名だ。
幅広のアームレストを引き出して、バルクヘッドのフタを開ければ、トランクスルーになって、長尺モノを積むことができる。
(荷室)……★★★
「アルファロメオ156スポーツワゴン」よりはるかに実用的な荷室。リアガラスだけで開け閉めできるハッチゲイトをもつ。オープナーは電磁式だ。
ラゲッジルームの絶対的な容量はさほど大きくない。床面最大幅は148cmだが、ホイールハウス間は96cmに狭まる。トノカバーまでの高さ34cmと、スペースが上下に薄い。荷室にモノを積み重ねては置かない、ということだろう。ラゲッジネット用のアンカーあり。奥行きは105cm。トランクスルー機構が備わるうえ、後席は分割可倒式になっている。
キャビンとトランクルームを仕切るネットが標準で組み込まれているのは立派だ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
オリジンは、1996年デビューの「ローバー800」シリーズに搭載された2.5リッターV6「KV6」ユニット。可変バルブタイミング機構を備えた4カムエンジンで、177ps、24.5kgmのアウトプットは、姉妹車ローバー75と変わらない。少々ガサついたフィールで、マルチシリンダーのありがたみは薄いが、一方で、低回転域でのトルクの細さがない実用エンジン。2000rpm前後までの回転域でも充分な力を出すが、スロットルペダルの踏み具合によってはそのあたりで唸り声を発するので、街なかドライブは意外にウルサイ。
1998年登場の75に初採用された5段ATは、オートマチックトランスミッションの多段化を先取りしたものだが、いまではシフトプログラムに、たとえば停車前のシフトダウン時に、多少の古くささを感じる。全体に、これといった特徴のない、しかし大きな不満もない、中流階級のパワーパックである。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ヨンゴーの18インチを履くアグレッシブな足まわり。市街地では、硬めたセッティングをナマで感じる乗り心地。ちょっと心配になるボディのきしみ音。路面からの大きな入力は苦手にするも、高速巡航はまずまずスムーズ。ハンドリングはフェアだが、ルックスや足の硬さから予想されるほどエクサイティングではない、……というより、MGワゴンの場合、ルックス足まわりから“スポーティ”を意識させる方が大事、というべきだろう。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2003年11月5日-11月9日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:5940km
タイヤ:(前) 225/45ZR18(後)同じ(いずれもMICHELIN Pilot SPORT)
オプション装備:−−
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:195.4km
使用燃料:24.0リッター
参考燃費:8.1km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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