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ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド アップランド スタイルパック装着車(4WD/6AT)

ジープの本分、ここにあり 2026.03.10 試乗記 生方 聡 「ジープ・アベンジャー」のラインナップに、待望の「4xeハイブリッド」が登場。既存の電気自動車(BEV)バージョンから、パワートレインもリアの足まわりも置き換えられたハイブリッド四駆の新顔は、悪路でもジープの名に恥じないタフネスを披露してくれた。
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日本の皆さん、お待たせしました

日本ではBEVしか設定のなかったジープ・アベンジャーに、待望の内燃機関モデルが追加になった。

ご存じのとおり、アベンジャーは今日のジープのラインナップで、最もコンパクトなSUVである。車台には旧グループPSA系の「CMP/eCMP」プラットフォームを採用しており、「フィアット600」「アルファ・ロメオ・ジュニア」と基本設計を共有している。

いっぽう、既存のジープとは趣の異なるアベンジャーのデザインは、イタリア・トリノにあるジープの欧州デザインセンターが手がけ、生産はポーランドのティヒ工場が担当。北米で販売されていないことからもわかるとおり、主にヨーロッパ向けのジープというのがこのクルマの位置づけである。

日本では、2024年9月にまずはBEVが導入され(参照)、今回、新たに4xeハイブリッドが加わった(参照)。正確には、ヨーロッパですでに販売されていた48Vマイルドハイブリッド仕様が、日本でも選べるようになったということだ。

BEV版のアベンジャーが前輪駆動を採用するのに対して、アベンジャー4xeハイブリッドが4WDである点も見逃せないところで、ジープの名にふさわしい悪路走破性を備えているのか、興味津々である。

ようやく日本でも発売となった「アベンジャー4xeハイブリッド」。既存のBEVモデルとはフロントバンパーなどの意匠が異なり、リアにも本格的なけん引フックが備わる。
ようやく日本でも発売となった「アベンジャー4xeハイブリッド」。既存のBEVモデルとはフロントバンパーなどの意匠が異なり、リアにも本格的なけん引フックが備わる。拡大
インストゥルメントパネルまわりは基本的にBEVと共通だが、「4xeハイブリッド」ではステアリングホイールに変速用のパドルを装備。ダッシュボードのトレイは脱着式で、取り外して水洗いできる。
インストゥルメントパネルまわりは基本的にBEVと共通だが、「4xeハイブリッド」ではステアリングホイールに変速用のパドルを装備。ダッシュボードのトレイは脱着式で、取り外して水洗いできる。拡大
ブラック/グレーのはっ水シートは、ウオッシャブルと形容してもよい高い耐水性を備えている。BEVに用意されるシートヒーターや、電動調整機構などは省略されている。
ブラック/グレーのはっ水シートは、ウオッシャブルと形容してもよい高い耐水性を備えている。BEVに用意されるシートヒーターや、電動調整機構などは省略されている。拡大
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おなじみのマイルドハイブリッドに4WDをプラス

アベンジャー4xeハイブリッドの見どころは、独自のパワートレインだ。フロントにはミラーサイクルを採用する1.2リッター直列3気筒ターボが搭載され、これに48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされる。マイルドハイブリッドシステムながら、デュアルクラッチギアボックスに内蔵されたモーターによりBEV走行も可能である点は、アルファ・ロメオ・ジュニアなどと同様である。

いっぽう、後輪はリアに配置されたモーターによって駆動され、電動AWD(4WD)を構成している。22.7:1の減速ギアにより、ホイールレベルで1900N・mに相当する大トルクを発生することで、発進時や悪路での走破性を高めたのが特徴だ。さらにアベンジャー4xeハイブリッドでは、リアに6リンク式マルチリンクサスペンションを採用することで、オンロードでの安定感と乗り心地を両立するとともに、強大なリアの駆動力をしっかりと受け止めるのだという。

オフロード走行に備えて、アベンジャー4xeハイブリッドのフロア下には鉄製ガードを装備。水深40cmの渡河性能を確保するなど、街乗りだけでなく、いざというときに高い走破性を発揮できるところは、さすがジープファミリーの一員である。

ボディーサイズは全長×全幅×全高=4120×1775×1600mmというコンパクトさで、取り回しのしやすさは上々。最小回転半径は5.3mとされている。
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4120×1775×1600mmというコンパクトさで、取り回しのしやすさは上々。最小回転半径は5.3mとされている。拡大
パワーユニットは1.2リッターガソリンターボエンジンを軸とした電動4WD。状況に応じて、前後駆動力配分は100:0~50:50の間で可変する。
パワーユニットは1.2リッターガソリンターボエンジンを軸とした電動4WD。状況に応じて、前後駆動力配分は100:0~50:50の間で可変する。拡大
最低地上高はBEVより10mm大きい210mm。最大渡河深度は40cmとされている。フロントバンパーには遊び心も兼ねて、水深を測る目盛りと、ちょうど40cmの場所にアヒルのイラストが描かれている。
最低地上高はBEVより10mm大きい210mm。最大渡河深度は40cmとされている。フロントバンパーには遊び心も兼ねて、水深を測る目盛りと、ちょうど40cmの場所にアヒルのイラストが描かれている。拡大

オフロードで心強い「SAND/MUD」モード

そんなアベンジャー4xeハイブリッドの実力を試す舞台に選ばれたのが、愛知県豊田市にある本格的なオフロード走行施設の「さなげアドベンチャーフィールド」だ。

都会的な雰囲気のアベンジャー4xeハイブリッドで、泥だらけのコースに乗り込むのは少し気が引ける。しかもこの試乗車は、メーカーオプションのスタイルパックが選択されており、ブラックルーフレールが省かれるとともに、本来装着されるはずのオールシーズンタイヤがサマータイヤに替えられるなど、この場所には最も似つかわしくない仕様なのである。それでも、ジープの特徴である“7スロットグリル”を見ると、頼もしく思えてくるから不思議である。

運転席に陣取ると、水平基調のシンプルなダッシュボードが目に入る。センターコンソールにシフトレバーが見当たらず、代わりに、ダッシュボードのセンター下に走行レンジを切り替えるボタンが並ぶ。おかげで前席まわりはすっきりとした印象だが、使い勝手を考えると、手元を見ずに操作できるレバーやダイヤル式のコントローラーがほしい。

センターコンソールにはドライブモードセレクターがあり、一般走行に適した「AUTO」、スポーティーな走りが楽しめる「SPORT」に加えて、雪道用の「SNOW」と砂/泥用の「SAND/MUD」を含む4パターンから、好みのモードを選ぶことができる。もちろん今回はSAND/MUDに設定するのだが、これにより30km/hまでは常時AWDで走行するいっぽう、30km/hを超えるとオンデマンドAWD、90km/hを超えると常時FWDに切り替わる。つまり、アベンジャー4xeハイブリッドのAWDは、低速時のトラクションを稼ぐのが主な目的なのである。

「さなげアドベンチャーフィールド」を走行する「アベンジャー4xeハイブリッド」。専用設計の足まわりはリアモーターの高い駆動力を受け止めるだけでなく、凹凸でもしなやかに動き、悪路でも快適性の向上に寄与していると感じられた。
「さなげアドベンチャーフィールド」を走行する「アベンジャー4xeハイブリッド」。専用設計の足まわりはリアモーターの高い駆動力を受け止めるだけでなく、凹凸でもしなやかに動き、悪路でも快適性の向上に寄与していると感じられた。拡大
通常は215/60R17サイズのオールシーズンタイヤが装備される「4xeハイブリッド」だが、試乗車はオプションの「スタイルパック」装着車であり、215/55R18サイズのサマータイヤが装備されていた。
通常は215/60R17サイズのオールシーズンタイヤが装備される「4xeハイブリッド」だが、試乗車はオプションの「スタイルパック」装着車であり、215/55R18サイズのサマータイヤが装備されていた。拡大
操作系は「フィアット600」などにも見られる、ステランティスのコンパクトモデルでおなじみのもの。シフトセレクターは押しボタン式で、横一列の配置もあってブラインドでの操作はしづらい。
操作系は「フィアット600」などにも見られる、ステランティスのコンパクトモデルでおなじみのもの。シフトセレクターは押しボタン式で、横一列の配置もあってブラインドでの操作はしづらい。拡大
荷室容量は325リッターと、BEVの355リッターよりやや縮小(いずれも欧州仕様)。挟み込み防止機能付きのハンズフリー電動テールゲートが標準で装備される。
荷室容量は325リッターと、BEVの355リッターよりやや縮小(いずれも欧州仕様)。挟み込み防止機能付きのハンズフリー電動テールゲートが標準で装備される。拡大

いざというときに頼れるオフロード性能

まずは平たんな場所から走り始める。通常はモーターで発進するのだが、AWD時はエンジンで発電した電気でリアモーターを駆動するため、SAND/MUDを選ぶかぎり、発進時にもエンジンはかかったままだ。エンジンと前後モーターを総動員するだけあって、動き出しは力強く、これを1.2リッターエンジンが支えているのが信じられないほどだ。

ややぬかるんだ上り勾配に入ると、リアタイヤがクルマを押し出し、ぐいぐいと坂を上っていくのがわかる。坂の途中でクルマを止め、そこから発進するような場面でも、すんなりと動き出すのも実に心強い。そのうえ、アベンジャー4xeハイブリッドのサスペンションは十分なストロークで路面に追従し、路面の凹凸を余裕をもって乗り越えていくのも頼もしい。

いっぽう、急な下り坂ではヒルディセントコントロールが役に立つ。運転席の右前方にあるスイッチを長押しし、シフトセレクターで「N(ニュートラル)」を選べば準備完了。あとは車両が自動的にブレーキを制御して低いスピードを保つので、安心して坂を下ることができた。

これだけ走れれば、キャンプ場などで見かける程度の未舗装路ならちゅうちょすることはないだろう。今回はオフロードコースのみの試乗だったので、一般道でアベンジャー4xeハイブリッドがどんな走りを見せるのか、その実力を試してみたい。

(文=生方 聡/写真=峰 昌宏/編集=堀田剛資)

BEVと同じく、5%以上の下り勾配で使用できるヒルディセントコントロールが標準で装備される。
BEVと同じく、5%以上の下り勾配で使用できるヒルディセントコントロールが標準で装備される。拡大
「アベンジャー」のヒルディセントコントロールは、ブレーキのみで車速を制御。車速を調整する機能はなく、また作動中はギアをニュートラルに入れるよう警告が表示される。
「アベンジャー」のヒルディセントコントロールは、ブレーキのみで車速を制御。車速を調整する機能はなく、また作動中はギアをニュートラルに入れるよう警告が表示される。拡大
登坂路では、ホイールレベルで1900N・mの駆動力を発生するという、リアモーター/リダクションギアが威力を発揮。その電動4WD機構は、不整地でクルマを振り回して遊ぶというより、悪条件下でも確実に乗員を目的地に送り届けることを重視したものといえるだろう。
登坂路では、ホイールレベルで1900N・mの駆動力を発生するという、リアモーター/リダクションギアが威力を発揮。その電動4WD機構は、不整地でクルマを振り回して遊ぶというより、悪条件下でも確実に乗員を目的地に送り届けることを重視したものといえるだろう。拡大
ジープ・アベンジャー アップランド4xeハイブリッド スタイルパック装着車
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テスト車のデータ

ジープ・アベンジャー アップランド4xeハイブリッド スタイルパック装着車

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4120×1775×1600mm
ホイールベース:2560mm
車重:1490kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.2リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:6段AT
エンジン最高出力:136PS(100kW)/5500rpm
エンジン最大トルク:230N・m(23.5kgf・m)/1750rpm
フロントモーター最高出力:21PS(15.6kW)/4264rpm
フロントモーター最大トルク:51N・m(5.2kgf・m)/750-2499rpm
リアモーター最高出力:29PS(21kW)/3000rpm
リアモーター最大トルク:89N・m(9.1kgf・m)/500-2000rpm
タイヤ:(前)215/55R18 99V XL/(後)215/55R18 99V XL(グッドイヤー・エフィシェントグリップ パフォーマンス2)
燃費:18.9km/リッター(WLTCモード)
価格:517万円/テスト車=--円
オプション装備:--

テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:1504km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

 
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生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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