第331回:デカいぞ「ルークス」
2026.03.16 カーマニア人間国宝への道新型「ルークス」の自然吸気モデルに乗る
軽ハイトワゴンは日本の国民車。国民車がこれほどマン・マキシマム&メカ・ミニマムな合理性に満ちた形状をしている国は、世界に日本しかなかろう。
そもそも日本は、乗用車の平均サイズが世界一小さい(たぶん)。なぜなら、軽自動車が全体の約4割を占めているからだ。どんな発展途上国だって、乗用車の平均サイズは日本よりデカいはず。先進国なのに、これほどの節約(=美徳)を実践しているニッポンを誇らしく思う。
今回取り上げるのは、「日産ルークス」のノンターボモデル「X」である。
以前、担当サクライ君とFFのターボモデル「ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション」に乗り(参照)、サスペンションのしなやかさや動力性能の高さに感動したけど、軽ハイトワゴンは、ノンターボモデルが販売の約8割を占める。ターボ車に乗って「いいじゃん!」と言っても、空念仏のようなもの。ノンターボ車で首都高を走ってどうなのか、モータージャーナリストとしてそれを確認する必要がある!
ちなみにわが家の「ダイハツ・タント」(介護車両)はノンターボのFF車。首都高ではエンジンを思い切りうならせないと、流れについていけないこともある。そのあたり、同じノンターボでFF車のルークスXはどうなのか。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
「フェラーリ328」の1.6倍ものデカさ
そう思ってルークスのノンターボ車をお借りしたが、駐車場に置いてみて、あらためて思った。
「デカいなぁ……」
隣のちょいワル特急こと「プジョー508」と比べて、果たしてどっちがデカいんだろう。見た目の雰囲気は、だいたい同じ。ここでいう「デカさ」はあくまで体感的なものだが、おおよそ容積とイコールである。
言うまでもなく、軽自動車は小さい。全長3.4m、全幅1.48m、全高2.0m以下と枠が決まっている。全長と全幅に関しては、乗用車として世界で最も小さい部類だが、軽ハイトワゴンは全高が1.8mくらいあり、しかも立方体に近いので、ぜんぜん小さいとは感じない。
わが家の車庫にはタントと“黒まむしスッポン丸”こと愛車「フェラーリ328GTS」を並べて止めているが、この2台を比べると、圧倒的にタントのほうがデカく感じる。タントは328を隠すための壁、あるいは栓として機能しているほどである。中身より栓のほうがデカいなんて本末転倒ですが。
では実際、タント(≒ルークス)と328の容積の差はどれくらいなのか、ざっと計算してみることにした。
まず328のミニカー(64分の1)をラップで包み、目盛りのある容器の中に沈めて容積を量った。結果は約20ml。そこから逆算すると、全長×全幅×(全高-最低地上高)に対して、容積率は55%程度。実際の容積は4.0立方メートルくらいという計算だ。
じゃタントやルークスはどうなのか。
こっちの容積率はおそらく8割くらいだろう。なにしろほとんど立方体ですから。全長×全幅×(全高-最低地上高)×0.8を計算すると、6.4立方メートル。軽ハイトワゴン、目分量でざっくりだがフェラーリ328の1.6倍もデカかった! そこまでかっ!
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
カーマニアならターボ車を選べ
そんじゃルークスとプジョー508とは、どっちがデカいのか?
プジョー508はかなりデカい。全長4750mm×全幅1860mm×全高1420mmという堂々たるサイズである。しかし駐車場に並べると、デカさ感はルークスとあまり変わらない。
508の容積率はたぶん67%くらいだろう(推測)。容積は約7.5立方メートルとなる。軽ハイトワゴンが約6.4立方メートルなので、それよりは若干デカいけど大差ない。居住空間を比較したら、かなりの差で負けているに違いない。
やはり軽ハイトワゴンは、世界で最も合理的な形状の国民車なのである。
ところで、ルークスのノンターボモデルの走りはどうだったのか。
市街地や平たん路では十分よく走りました。あらゆる部分が、タントよりちょっとずつイイです。
首都高・幡ヶ谷ランプからの合流は、夜間で本線の流れが速かったこともあり、アクセル全開でギリギリだった。そこはタントと変わらない。夜の首都高を走るなら、ターボ付けといたほうがいいかも。
ただルークスは、静粛性が驚くほど高い。わが家のタントをアクセル全開にすると、CVT特有のラバーバンドフィールとともに「ウイィィィィィーン!」ってうなりまくるけど、ルークスはそれが「ほいぃぃぃぃーん」程度。アクセル全開でも心理的負担は小さかった。
ノンターボのルークスXとルークス ハイウェイスターGターボとのFF車同士で価格を比較すると、その差は約42万円。結構デカいな……。んでもまあカーマニアなら、できればターボがいいんじゃないか? どうせなら「プロパイロット」も付けて、総額約300万円コースでいってください! それなら首都高で「フェラーリ・ローマ」とも勝負できる!
(文と写真=清水草一/編集=櫻井健一/車両協力=日産自動車)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
第337回:「ルーチェ」に比べればタダ同然 2026.6.8 清水草一の話題の連載。フルモデルチェンジで3代目に進化した「日産リーフ」を夜の首都高に連れ出した。「非常に良くなった」「静かで快適」といった評判を耳にする量販・量産BEVのパイオニアに、カーマニアは何を感じた?
-
第336回:やっぱり絶交! 2026.5.25 清水草一の話題の連載。夜の首都高に200台の台数限定で販売される「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」で出撃した。手作業で組まれた2リッター直4エンジンを搭載するマツダ入魂のスポーツモデルに、カーマニアは何を感じた?
-
第335回:水平尾翼が効いてるのかな 2026.5.11 清水草一の話題の連載。フルモデルチェンジで2代目となった「シトロエンC5エアクロス」で、夜の首都高に出撃した。最新のデザイン言語を用いて進化した内外装とマイルドハイブリッドの走りに、元シトロエンオーナーは何を感じた?
-
第334回:親でもここまではしてくれまい 2026.4.27 清水草一の話題の連載。先日試乗した「トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ」はすごかった。MTと縦引きパーキングブレーキの組み合わせを用意してくれるトヨタは、カーマニアにとってもはや神である。
-
第333回:毛が生えようが、ハゲようが 2026.4.13 清水草一の話題の連載。「ジープ・アベンジャー」に追加設定された4WDモデル「アベンジャー4xeハイブリッド」で夜の首都高に出撃した。ステランティスで広く使われるマイルドハイブリッドパワートレインと4WDの組み合わせやいかに。
-
NEW
ディフェンダー110ハードトップX-DYNAMIC SE D350(4WD/8AT)【試乗記】
2026.6.13試乗記写真を見ていつもの「ディフェンダー」とはどこか違うと思われた方は鋭い。このクルマは1ナンバー、つまり商用車登録の「ディフェンダー・ハードトップ」である。全長約5mのボディーに備わるシートは前の2座のみ。広大な荷室を使いこなす生活を思い描いてみた。 -
キャデラックCT5スポーツ(4WD/10AT)【試乗記】
2026.6.12試乗記アメリカのプレミアムブランド、キャデラックが擁する4ドアセダン「CT5」。その最新モデルに試乗する機会を得た。今や“上質な4ドア”というだけでも貴重な存在だが、さらにCT5には、ジャーマンスリーとは趣の異なる個性が確かに宿っていた。 -
ここがヘンだよCEV補助金! ―電気自動車のヘビーユーザーが不透明な補助金制度に物申す―
2026.6.12デイリーコラム普通車の「ホンダ・スーパーONE」は130万円で、軽自動車の「N-ONE e:」は58万円。ジープやテスラは120万円超なのに、BYDはたったの15万円! CEV補助金の支給額は、いったいどうやって決まるのか? EVのヘビーユーザーが、不透明な制度に苦言を呈す。 -
インディアン・チーフ ヴィンテージ(6MT)
2026.6.12JAIA輸入二輪車試乗会2026創業は1901年というアメリカの老舗、インディアンモーターサイクルの「チーフ ヴィンテージ」に試乗。往年の「チーフ」をオマージュしたという一台は、ネオクラシックモデルとしての完璧な趣と、濃厚なファン・トゥ・ライドを併せ持つマシンに仕上がっていた。 -
思考するドライバー 山野哲也の“目”――トヨタ・カローラ クロス“GRスポーツ”編
2026.6.11webCG Moviesレーシングドライバー山野哲也が「トヨタ・カローラ クロス“GRスポーツ”」に試乗。ほかのカローラ クロスとは異なるパワーユニットや足が与えられたスポーティーモデルを、プロはどのように評価するのか? -
メルセデス・ベンツS450d 4MATIC/S580 4MATICロング
2026.6.11画像・写真過去最大規模の改良を施したという、「メルセデス・ベンツSクラス」の最新型が上陸。2026年6月11日、東京・虎ノ門ヒルズで発表会が開催された。会場に展示された「S450d 4MATIC」と「S580 4MATICロング」の姿を紹介する。








































