BMW 525ツーリング Mスポーツパッケージ(6AT)【ブリーフテスト】
BMW 525ツーリング Mスポーツパッケージ(6AT) 2005.04.23 試乗記 ……754万7500円 総合評価……★★★★ Mスポーツパッケージで内外装をスポーティに演出、足まわりを硬めたスポーツワゴン「BMW525ツーリング Mスポーツパッケージ」。自動車ジャーナリスト笹目二朗の評価は? |
普通の「ステーションワゴン」にあらず
BMWというブランドにユーザーが期待するすべてがスポーティなイメージだとしたら、このツーリングワゴンは正しい選択になるだろう。低められ、締まった「Mスポーツサスペンション」を装備するため、路面干渉などに気を使わなければならない面もある。しかし、硬めの乗り心地や硬派向けの操縦安定性を重視し、多少の難点を承知の上でスポーティな雰囲気を求めるユーザーにとっては、十分に要求を満たす魅力的な存在に違いない。
これが一般的なファミリーユースや、実用的な業務をこなすことを目的としたワゴン選びならお勧めしない。最近のBMWの方向性は一般化ではなく、個性的で特殊な方向を志向しており、波長が合えば「これほど面白いクルマはない」ということになる。よってただ有名ブランドという理由で選ぶのではなく、よく内容や特性を理解してから選んだほうがよい。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2003年秋にデリバリーが始まったサルーンに次ぐ「5シリーズ」のステーションワゴン。2004年6月、2.5リッター直6モデル「525iツーリング」が導入された。
全長4855mm×全幅1845mm×全高1490mmと、先代比で50mm長く、45mm幅広く、30mm高くなったボディは、セダン同様のアルミ製。ホイールベースは60mm延び2890mmとなった。サルーンと比べると、背が20mm高いだけである。
ラゲッジスペースへは、大きめの荷物はテールゲートから、また小さなものはリアウィンドウからアクセス可能。オプションで「オートマチック・テールゲート・オペレーション」(7万3500円)を選べば、リモコン操作でテールゲートが全自動開閉でき、荷物を抱えたままでも簡単に出し入れできるという。容量は通常で500リッター。6:4分割可倒式リアシートの背もたれを倒せば最大1615リッターまで広げられる。リアサスペンションをエア・スプリングを用いた「セルフレベリング・コントロール付きサスペンション(自動車高調整機能付きサスペンション)」とした点がワゴンならでは。
パワーユニットは、セダン「525i」と同じ2.5リッター直6エンジン(最高出力192ps/6000rpm、最大トルク25.0kgm/3500rpm)で、トランスミッションは6段オートマチックだ。
(グレード概要)
「Mスポーツパッケージ」は、足まわりや内外装にMスポーツアイテムを装着した仕様。パッケージ価格は36万円だ。
エクステリアをさりげないエアロパーツで武装、サスペンションは車高が10mm低い硬めのMスポーツサスペンションとなり、タイヤは245/40R18インチと薄い大径サイズを履く。インテリアは、スポーツシートやMスポーツレザーステアリングホイール、格子模様のはいったアルミパネルなどで、スポーティに演出される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
アルミパネルを多様した、Mスポーツ仕様の少々ハデなインテリアは、好みがわかれるところだろう。ダッシュボードなどキッチリ精緻な造り込みは価格に見合った高級感を醸す。重量感ある走りとロードノイズなど低級音の侵入が極微な点はこのクラスの特徴である。
(前席)……★★★★
たっぷりしたサイズと硬めのクッション、そして電動の調整機構を持ち、ほぼ望みのポジションをつくり出すことが可能。とはいえ、車両価格からしてランバーサポート調整は欲しいところだ。
(後席)……★★★
広々とした空間は単にシートサイズがたっぷりしているからだけでなく、広大なサンルーフからの明るさも貢献している。FRゆえのセンタートンネルの張り出は今や邪魔な存在ながら、ボディ剛性確保に効いていると思えば納得できる。
このクルマの性格からいえば、ワゴンといってもピープルムーバーではないし貨商車でもない。締められたサスペンションをもつスポーツワゴンだから、硬めの乗り心地など快適性は二の次だ。
(荷室)……★★★
どちらかと言えばスタイリングを志向したワゴンゆえ、荷物室は極限まで空間を広く採ったタイプではないが、それでもパッとみて十分に広い容積を持つ。ラゲッジネットや荷物を固定するバンドなどの装備も充実し、後席をたためば荷室を大きく使える。このクルマの用途として荷物を運ぶ目的ではなく、スポーツやレジャーのための道具運びに使われる方が多いだろうから、それには適当と思われる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
今や直列6気筒エンジンは貴重な存在。基本設計自体はそう新しいものではないが、それなりにアップデイトされており、トルク感やレスポンスは優秀だ。V6パワーが“点”に集約する感覚に比べ、直6は長いシャフトで回す感覚が独特の味を醸す。
6段ATのマニュアルモードは、前方が減速、後方が増速とG感覚に合わせた設定。一般的な方式に逆らってまで主張を通す点もBMWらしいところだ。もちろん左足でブレーキを踏んでもエンジンは休まない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
乗り心地は端的に言って硬めながら、通常の平坦路ではフラットで概ね快適といえる。一方、サスペンションストロークを要するような路面は苦手だ。与えた舵角に対してイレギュラーな応答をみせるパワーステアリング「アクティブステアリング」も、クイックな応答性を好む向きには歓迎されそうだ。
ただしノーズの回頭感は機敏ながら、旋回特性としては旋回中心を後方にもってきた前輪駆動のような特性であり、いわゆるニュートラルステア感覚とは異なる。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2005年4月4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:8140km
タイヤ:(前)245/40R18(後)同じ
オプション装備:Mスポーツパッケージ=36万円/オートマチックテールゲートオペレーション=7万3500円/電動パノラマサンルーフ=21万円/ストレージコンパートメントパッケージ=3万8000円/CDチェンジャー=5万2500円/メタリックペイント=7万3500円
走行状態:市街地(3):高速道路(4):山岳路(3)
テスト距離:363km
使用燃料:53.9リッター
参考燃費:6.8km/リッター

笹目 二朗
-
スズキeビターラZ(4WD)【試乗記】 2026.3.28 スズキが満を持して世に問うた、初の量販電気自動車(BEV)「eビターラ」。エントリーグレードは400万円以下! 500万円以下で4WDも用意されるというお値打ち価格のBEVは、走らせてみるとどうなのか? 東京-愛知を往復して、その実力を確かめた。
-
スズキGSX-8T(6MT)【レビュー】 2026.3.25 昨今のネオクラシックブームに乗り、いよいよスズキからも新型車「GSX-8T」が登場。しかし実車に触れてみると、既存のライバルとはちょっと趣の異なるマシンとなっていた。スタイリッシュないでたちとスズキらしい実直さが融合した、独創の一台を報告する。
-
日産セレナe-POWERハイウェイスターV(FF)【試乗記】 2026.3.24 販売台数ではトヨタ勢に差をつけられながらも、日産の屋台骨として奮闘する「セレナ」。現行型の登場から3年、マイナーチェンジで磨きがかかった最新の「e-POWERハイウェイスターV」に試乗すると、人の感性に寄り添う開発陣のこだわりと良心が見えてきた。
-
BMW iX M70 xDrive(4WD)【試乗記】 2026.3.23 BMWが擁するSUVタイプの電気自動車「iX」。そのハイパフォーマンスモデルが「iX M70 xDrive」へと進化を遂げた。かつて、BMWの志向する次世代モビリティーの体現者として登場した一台は、今どのようなクルマとなっているのか? その実力に触れた。
-
BMW i5 eDrive35LエクスクルーシブMスポーツ(RWD)【試乗記】 2026.3.21 BMWの「5シリーズ ロング」は知る人ぞ知る(地味な)モデルだが、実はエンジン車のほかに電気自動車(BEV)版の「i5 eDrive35L」も用意されている。まさに隙間産業的にラインナップを補完する、なんともニッチな大型セダンの仕上がりをリポートする。
-
NEW
開発中にボツになった「素晴らしいアイデア」は、その後どうなる?
2026.3.31あの多田哲哉のクルマQ&A車両を開発するなかで生まれた良いアイデアや素晴らしい技術には、実際に製品化に生かされないものも多数あるという。では、時を経て、それらが再び日の目を見ることはあるのか? 元トヨタの車両開発者、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
メルセデスAMG GTクーペ/メルセデスAMG GT 4ドアクーペ【試乗記】
2026.3.31試乗記メルセデスAMGの「GT63 S Eパフォーマンス クーペ」と「GT53 4MATIC+(ISG)ファイナルエディション」は、同じAMG GTを名乗りながらも片や2ドア、こなた4ドアのクーペモデルだ。この両者には、どんな特徴や違いがあるのか。クローズドコースで確かめた。 -
あなたの行動範囲を無限大に 「クムホ・ソルウス4S HA32」を試す
2026.3.30毎日をアクティブにするクムホのオールシーズンタイヤ<AD>クムホのオールシーズンタイヤ「ソルウス4S HA32」は春夏秋冬の全季節に対応。その心は高いドライ&ウエット性能で夏タイヤとしての高い性能を満たしたうえで、高い雪上性能を付与しているということだ。「三菱デリカD:5」に装着した印象をリポートする。 -
第332回:クルマ地味自慢
2026.3.30カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。最近、年齢とともに地味なモデルが大好きになった。そんななか、人気の「フォレスター」や「クロストレック」の陰にひっそりと隠れたスバルを代表する地味モデル「インプレッサ」に試乗。果たしてその印象は? -
レクサスGX550“オーバートレイル+”(4WD/10AT)【試乗記】
2026.3.30試乗記スタッドレスタイヤ装着の「レクサスGX」でウインタードライブへ。クルマ好きにとってはいかにも胸がふくらむシチュエーションだが、刻一刻と変化する自然環境が相手ゆえに、なかなか一筋縄ではいかないものだ。山に分け入る際には引き返す覚悟もお忘れなく。 -
欧州メーカーもホンダも大損 EV政策はなぜ急加速から“大コケ”に至ったか?
2026.3.30デイリーコラム主要な自動車メーカーが、EV政策の見直しにより、2025年12月期または2026年3月期の決算で莫大(ばくだい)な損失を計上した。なぜEV開発はかくも急速に進められ、急減速に至ったのか。清水草一は、その理由についてこう考える。





























