インフィニティ M45(FR/5AT)【試乗記】
V8は日本のセダンを救うか 2005.03.29 試乗記 インフィニティ M45(FR/5AT) 2004年2月から、「インフィニティ M45」が北米地域で販売されている。「インフィニティ M」とは日本でいえば「フーガ」のことであり、4.5リッターのV8エンジンを搭載するモデルが追加されたわけだ。日本導入前に、NAVI編集委員鈴木真人が北米モデルに試乗した。スポーティだけじゃ戦えない
2004年は「クラウン」、「フーガ」、「レジェンド」と3台の高級車が登場したことで注目された年だった。それぞれのメーカーの「高級車観」が示されていてとても興味深かったものの、やはり販売という面ではクラウンの圧勝である。
しかも8気筒モデルの「マジェスタ」まで出してきて、これがまた相当にいい出来なのだった。日産とホンダはスポーティ・イメージで対抗するわけだが、それだけではなかなかこのカテゴリーでは戦いづらい。
売っているほうはそんなことは百も承知で、フーガにもV8モデルが登場する。今年の夏頃に導入されることになりそうだ。北米では一足先に2月から「インフィニティ M45」として販売されている。「レクサス」とガチンコ勝負を展開しているインフィニティのブランドが冠されているわけだ。
レクサスが2005年から逆輸入されるのに続き、インフィニティも日本に上陸することになっている。ということは、「トヨタ」ブランドであるマジェスタとは一線を画すモデルであるわけだが、8気筒のセダンということでは競合することになるだろう。
競合ということでいえば、「初の300馬力自主規制撤廃車」であるレジェンドを上回るパワーがフーガV8には与えられることになる。M45では335馬力という数字をたたき出しているのだ。日本仕様では若干マイルドな数値になるはずだが、それでも強力なパワーであることに違いはない。「SHIFT_performance」を謳うフーガとしては、譲れない部分である。
内装は基本的にフーガと同じ
外観では、マフラーがデュアルの4本出しになっているのが目につく。また、V6モデルには17インチホイールが標準だったのに対し、V8では18インチが用意される。ともにオプションで19インチが選べるのは同様だ。このあたりの仕様は、日本でも踏襲されるはずである。
公道では乗ることができないため、試乗会は日産の栃木工場に併設されているテストコースで行われた。バンクのついた「高速周回路」と路面の荒れたワインディングロードの「商品性評価路」を走った。日本仕様のフーガも用意されていたので、同じコンディションで乗り比べることができた。
乗り込んでみると、ハンドルの位置が逆なだけで、基本的にフーガと異なるところはない。「スタートボタン」もステアリングホイールの右側だ。なぜか「ピアノ調」内装は北米にはないが、日本仕様には採用されるはずである。エンジンをかけても、騒音や振動が室内に忍び込むことはない。アクセルをゆっくりと踏み込むと、滑るように動き出す。日産だって、いつも「乱暴者」のクルマばかり作っているわけではない。しっかりと「高級車」しているではないか。
価格は500万円強?
まずは高速周回路の直線でフル加速してみた。100キロに達するまで意外に時間がかかると思ったら、よく考えればメーターはマイル表示だ。静かでスピード感がないものだから、うっかり勘違いしてしまう。あっという間に200キロに達していたのだ。あとでフーガV6に乗ってみたら、やはりずいぶんとやかましい。なんだか一所懸命にエンジンが頑張っている感じが伝わってきて、それは好ましいことではあるのだけれど高級感とは相容れない。まったく印象の違うクルマなのだ。
しかし、商品評価路ではさすがに鼻先の重さが気になった。V6の軽快さと比べると、どうものったりとしてガンガン飛ばす気にはなれない。しかも19インチホイールを履くモデルでは、路面のうねりをまともに拾ってしまい、バタバタして高級感どころではなかった。V6モデルでもそうだったが、よほど「カッコ命」の人でないかぎり、ノーマルのホイールを選んだほうがいいのではないか。
装備の詳細や価格は未定だが、北米での販売価格から考えると、日本では500万円強で売られるかもしれない。マジェスタと比べても、なかなかお得なプライスタグが付くのではないかと思う。マジェスタの底知れぬ静かさと重厚さには一歩譲らざるを得ないが、主としてドライバーズカーとしての使用を考えているならばフーガのV8モデルはかなり強力な対抗馬になるだろう。バカバカしい「自主規制」とやらがなくなったおかげで、V8エンジンをめぐって日本車が面白くなってきそうだ。ハイパワー万能とは思わないが、ようやく輸入車勢とガチンコで戦うフィールドが整ったのだ。
(文=NAVI鈴木真人/写真=荒川正幸/2005年3月)

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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