日産ノート 15S Vパッケージ(CVT)/15RX(CVT)【試乗記】
好感度高いすっきり系コンパクト 2005.03.11 試乗記 日産ノート 15S Vパッケージ(CVT)/15RX(CVT) ……141万2250円/180万6000円 「マーチ」「キューブ/キューブキュービック」「ティーダ」に続く、第4のコンパクトカーとして日産から登場のニューモデルが「ノート」である。キャッチフレーズは“コンパクトのフレキシビリティをシフトする”だが、さてその実像は? 自動車ジャーナリストの生方聡のリポート。簡単アレンジの2段マルチトランク
「フレキシビリティ」とは、“柔軟性”とか“適応性”、“伸縮性”という意味の英単語である。もちろん「ノート」が消しゴムのようにぐにゃぐにゃなわけではなく、いろいろな場面で柔軟に適応できるクルマを目指したということである。
確かにその努力はラゲッジスペースに表れている。後席を起こしたままでも約60cmの奥行きを持つノートの荷室には、「2段マルチトランク」なる仕掛けが隠されていた。取り外し可能な床板によって、収納スペースを上下2段に分けることができるほか、床板を立てて使えばパーティションになり、また、床板を外してしまえば背の高い荷物にも対応が可能。さらに、荷物が多い場合には後席を畳んでしまえばいい。しかも荷室のアレンジは簡単に変えられるから、ふだん使う場面でのフレキシビリティは十分高いといえる。
だからといって、後席のスペースが犠牲になっては困るのだが、足元のスペースは、3990mmの全長から想像できないくらい余裕があるし、頭上の余裕も文句ない。それでいて、立体駐車場などで困らないよう、全高を1535mmに抑えたまま、ルーフ後部をできるだけ後ろに追いやることで、後席と荷室のスペースを両立させているのがうれしい点だ。
ところで個人的に好感を抱いたのは、エクステリア、インテリアのいずれも、“かわい〜”デザインではなかったこと。また、無理に高級ぶったり、反対に安っぽかったりしないところもいい。私にとっては、「ノート」自慢のフレキシビリティよりも、むしろこのすっきりしたデザインのほうが重要なのである。
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走れば気になるところもあるが……
コンパクトカーの価値は、壱にパッケージング、弐にデザインだと思うが、走りっぷりがよければそれにこしたことはない。さて、ノートはどうだろう?
搭載されるエンジンは、1.5リッター直列4気筒のHR15DEの1種類だけ。駆動方式はFFと、FFをベースに後輪をモーターで駆動する「e-4WD」が選べ、前者にはCVT、後者には4段オートマチックトランスミッションが組み合わせられる。今回は、装備充実のグレード「15S Vパッケージ」と上級「15RX」のFFモデルを試乗した。
まずは175/65R14タイヤを履く15Sに乗る。1.5リッターエンジンとCVTの組み合わせはすでにティーダで体験済みだが、ティーダよりもわずかに軽量だから、出足も追い越し加速も不満はない。スーっと発進し、気がつくと必要なスピードに達しているという感覚。さらに加速が必要なときはスロットルペダルを踏み込むことで、エンジンは即座に回転を上げ、効率よく速度を上げていく。その際にパワートレインから聞こえてくるノイズがやや大きめなのが気になるが、巡航に戻ればさほど耳障りではない。
乗り心地はやや硬めで、サイズのわりにしっかりした印象がある。道路によっては路面の凸凹が伝わってくることもあったが、快適さは十分許容できる範囲内だ。高速走行時の安定感や直進性も十分で、一方、コンパクトカーらしい軽快さも感じることができた。
次に乗った15RXには175/60R15タイヤが装着されていたが、15Sに比べるとタイヤの硬さが目立ち、路面によっては足まわりがドタバタする印象がある。14インチタイヤの見栄えはともかく、私なら14インチ装着モデルを奨める。
走りっぷりに関しては多少荒削りな部分もあるが、そのあたりは今後の進化に期待するとして、全体的にはコンパクトカーの楽しさや使い勝手の良さが実感できるクルマに仕上がっていると思う。しかも、年齢や性別を選ばないすっきりしたデザインだけに、幅広い層に受け入れられるのではないだろうか。
(文=生方聡/写真=高橋信宏/2005年2月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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