トヨタ・ポルテ150r(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ポルテ150r(4AT) 2004.10.16 試乗記 ……198万1350円 総合評価……★★ 電動スライドドアを開ければボディ左側に“大口”があらわれる「トヨタ・ポルテ」。3グレードのうちもっとも上級な1.5リッターモデルに、二玄社自動車部門編集局長の阪和明が乗った。
|
独自性
はじめに大型スライドドアありき、のクルマである。車両左側に大きな電動スライドドアを採用したことによるメリットは、類稀な乗降性の高さと室内空間の有効活用、そしてそれらによる他車では得られない独自性だ。
ところが、スライドドアによるデメリットもある。左側Bピラーが事実上ないためにシートベルトを内蔵する構造となる助手席はクッションが薄く、長時間移動するには向いていないのだ。加えて、ステアリングとサスペンションの味付けが高速走行にマッチしていないため、遠出する気が失せる。つまりは家族で旅に出るような用途には適していないのだ。
もちろん、街なかだけの移動手段として捉えれば充分満足でき、評価は★★★に変わる。従ってセカンドカーとして割り切れればお薦め。高速巡航もそつなくこなすコンパクトサイズのクルマが欲しいなら、「ヴィッツ」を選んだほうがいい。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2004年7月26日デビューの「ポルテ」は、仏語で「扉」という名のとおり、リモコンで操作できる助手席側の大型電動スライドドアが最大の特徴のコンパクトミニバン。地上高300mmの低床フラットフロア、1390mmの室内高などにより、誰もが使いやすい「ユニバーサルデザイン」のアイディアと、“クルマの新しい使い方”を提案する、という。
エンジンは、1.3リッター(87ps、12.3kgm)と1.5リッター(109ps、14.4kgm)、2種類の「VVT-i」ユニットで、4段AT「Super ECT」と組み合わせられる。駆動方式は、前輪駆動のみだ。
(グレード概要)
グレードは3タイプ。1.3リッターはベーシックな「130i」と、電動格納式カラードドアミラーや6:4分割可倒式リアシート、オートエアコンなどが備わる「130i“Cパッケージ”」、そして1.5リッター「150r」となる。
テスト車の150rは、130iに、フロントフォグランプ、6:4分割可倒式リアシート、オートエアコン、電動格納式ドアミラーなどが追加された内容。また、シートはフレシール加工ファブリックが採用され、ステアリングホイールは本革となる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
好き嫌いは別として、インストゥルメントパネルはシンプルなデザインだ。けれどセンターにメーターナセルを置く手法はもはや新鮮味に欠けるだけでなく、このクルマの場合、目の移動量は多めで慣れが必要である。小物入れは、数はまずまずだが、使いやすいところにはない。左腕を自然に伸ばしたところに物入れが欲しいところだが、そこにあるのはドリンクホルダーで、あまり親切な設計とはいえない。
車両本体価格が160万円足らずのクルマだと思えば、装備は充実しているほうだ。前席のエアバッグ、ABSをはじめ、フルオートエアコン、ワンタッチ式のパワーウィンドウ、電動格納式ドアミラーといった普段使用するうえで困らないだけの装備が揃う。テスト車はオプション設定のボイスナビゲーション付きDVDカーナビ(これだけで約30万円也)とディスチャージヘッドランプが付く。
(前席)……★★
ちょうどノンステップバスほど床が低いので乗り降りはとても楽である。シートはクッションが小ぶり、シートバックのホールド性は大したことなく、あくまで短時間の移動がメインになる。
フロントウィンドウの面積があるので、視界は良好だ。ただ、Aピラーの位置と断面形状の問題なのか(もちろんドライビングポジションにも影響されるが)、時に直近の斜め前方に死角が生じるのが残念だ。
助手席を前後に大きくスライドさせられることはとても便利だが、シートそのもののつくりはまったく褒められたものではない。冒頭に記した理由でクッションが薄く、乗り心地は悪い。長い間座り続けていると尻が痛くなってくるほどだ。
(後席)……★★★
とにかく広い。足もとはリムジンの如く広々しているし、天井も高いのでたっぷりとした空間がある。広い居間に独りで座っているようで所在なさをおぼえるくらい。
シートクッションはほんわり柔らかく短時間座っているぶんには快適だが、助手席同様、長時間の移動には適していない。室内幅にも余裕があり3人座ることも苦にならない。けれど、中央のシートベルトは2点式なので、積極的に座りたいとは思わない。
(荷室)……★★★
深いがそれほど広くはない。ダンパーの張り出しもあって、リアシートを使用している状態では嵩の大きい荷物は積めない。もっともリアシートのバックレストを倒せば、充分以上の空間が生まれるし、シートクッションを跳ね上げてストラップで固定すれば、驚くくらいのスペースができる。
左側のスライドドアがもたらす広い開口部を利して、背の高い観葉植物や自転車の積み下ろしも難なくできるのが嬉しい。トランクは広くはないが、このクルマの持つ収納スペースという点で評価すると高得点だ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1.5リッターの4気筒ユニットは、車重に対して必要にして充分の性能である。低速域でのトルクもあり、街なかを走るかぎりは活発な走りっぷりを示す。4段ATの変速はスムーズでギアレシオも適切に感じられた。
もっとも、高速走行でのパワー不足は否めない。回転を上げてもそれほど力を発揮することはなく、4000rpm以上ではノイズも高まることから、100km/hプラスの巡航が平和な世界だ。とても飛ばそうという気にはなれない。街なかでの使い勝手を優先して考えられたセッティングである。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
乗り心地は全体に粗い。突起や段差を乗り越えた際の路面からの強い突き上げはないものの、フラット感に乏しい。ちょい乗りでは気にならないが、遠出するにはきびしい乗り心地である。
ハンドリングも街なかでの使用を主体にした味付けである。操舵力の軽いパワーステアリングは正確さを欠くものだし、サスペンションのチューニングもあくまで街乗り重視の設定になる。高速道路のレーンチェンジもあまり気分がいいものではない。接地感をもうすこし高めて欲しいところだ。
(写真=峰昌宏/2004年10月)
【テストデータ】
報告者:二玄社自動車部門編集局長 阪和明
テスト日:2004年9月9日-9月13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:2925km
タイヤ:(前)175/70R14(後)同じ
オプション装備:175/70R14タイヤ+14×5.5JJアルミホイール(5万2500円)/ディスチャージヘッドランプ(4万2000円)/G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション(6.5型ワイドディスプレイ+CD・MD一体AM/FMマルチ電子チューナー付きラジオ&ガラスアンテナ、音声ガイダンス機能付きバックガイドモニター)(31万1850円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離:839.7km
使用燃料:64.9リッター
参考燃費:12.9km/リッター

阪 和明
-
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】 2026.10.17 三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。
-
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】 2026.10.16 欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
NEW
トヨタ・ランドクルーザー“300”GRスポーツ(4WD/10AT)【試乗記】
2026.10.19試乗記トヨタの「ランドクルーザー“300”」にハイブリッドパワートレイン搭載モデルが登場。環境負荷低減のために牙を抜かれた……どころか、電気の力を味方に、さらに力強さを増しているから面白い。愛知県のオフロードコースで乗った印象をリポートする。 -
NEW
フェラーリが「日本上陸60周年」 記念祭から“ブランドの今とこれから”を読む
2026.10.19デイリーコラム「日本上陸60周年」を祝うファン感謝イベントを開催したフェラーリ。自動車界に燦然と輝くハイブランドは、いま何を目指しどこに行こうとしているのか? 経営トップの談話を交えながら推察してみよう。 -
日産キックスX e-4ORCE(前編)
2026.10.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が新型「日産キックス」に試乗。デザインが新しいのはもちろんのこと、まさに下ろしたての最新のパワートレインを搭載。日産の大きな期待を背負ったコンパクトSUVである。箱根のワインディングロードでの印象を聞いた。 -
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。
































