メルセデスベンツCL500(7AT)【ブリーフテスト】
メルセデスベンツCL500(7AT) 2004.03.18 試乗記 ……1269.0万円 (総合評価)……★★★★ メルセデスの最上級パーソナルクーペ「CL」に、自動車ジャーナリストの渡辺慎太郎が試乗。国産大型クーペが次々と姿を消すなか、生産され続ける「CL」。その魅力はどこにあるのだろうか?
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正真正銘の贅沢
「贅沢なクルマ」というのはこの世にいくつかあるけれど、メルセデスの「CL」はその代表格と言ってもいいクルマである。ボディサイズは、ベースとなったSクラスよりちょっと短く低くなった程度で依然として大きく、リアシートは付いているものの実質的にはふたり乗り。SLのように屋根が大きく開くこともなければ、フェラーリやポルシェのように「スポーツ」するためのクルマでもない。それなのに、4ドアで同じパワートレインの「S500」の価格が1080.0万円であるのに対して、CL500は150.0万円も高い1230.0万円也。たとえそれがお節介であろうと余計なお世話であろうと、「なんでそんなに高いのか」「いったい誰が買うのか」という疑問が浮かぶハズ。それでもメルセデスは誇りを持ってCLを生産し、そのCLは世界中でちゃんと売れ、どこかの誰かのガレージに収まっていくのである。
個人的な話で恐縮なのだが、CL500は個人的に欲しいクルマの1台である。艶やかで流麗なスタイリングやバランスのよいパワートレインもたしかに魅力的だが、欲しいと思う本当の理由は、正真正銘の「贅沢」というものを味わえるような気がするからだ。でもそのためには、躊躇なく購入できる経済的余裕と、CL500を収める立派なガレージ付き自宅を用意するのが先。贅沢とはつまり、そういうことなのだろう。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ちょっと昔、メルセデスの大型クーペは「SEC」と呼ばれていたが、「CL」に変わったのは先代モデルの途中から。現行のCLが登場したのは1999年10月で、2002年秋にSクラスと共にマイナーチェンジを受けている。その内容はエンジンラインナップの見直し、インテリアの質感の向上、安全装備のアップグレードなど。メルセデスが誇るセミアクティブサスペンション「ABC(アクティブボディコントロール)」が採用されたのは、現行のCLが初めてである。
(グレード概要)
CLに関しては、本国で買えるすべてのグレードが日本にも揃っている。すなわちCL500、CL600、CL55AMG、CL65AMGの4タイプ。500は5リッターのV8、600は5.5リッター+ツインターボのV12、55AMGは5.5リッター+スーパーチャージャーのV8、そして65AMGは6リッターV12+ツインターボのV12をそれぞれ搭載する。
【室内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
使用されている素材は高級車の名にふさわしいものだが、デザインは極めてシンプル。余計な飾り、過剰な色使いや、無意味な造形もいっさい見あたらない。奇をてらったり、ユーザーに媚びたデザインが蔓延するいま、個人的にはこういうインテリアのほうが好感が持てる。1000万円を超えるクルマの標準装備には、やはり不満も不足もなかった。シートメモリーにはステアリングホイールやサイドミラーはもちろん、リアビューミラーの位置まで記憶できる。
(前席)……★★★★
大きくて重いドアは、ヒンジが前方に動いてから開くタイプ。狭い場所での乗降性は、普通に開くドアより優れる。フロントシートはシートベルト内蔵式。細かい電動調整機構により、納得がいくシートポジションを選ぶことが可能だ。シートヒーターは標準装備だが、お尻が涼しくなるシートベンチレーションはオプション。
(後席)……★★★
膝はフロントシートに触れず、頭はルーフとの接触なし。スペースはきちんと確保されているのだが、視覚的閉塞感があることは否めない。でもクーペというボディを身に纏っている以上、これは致し方のないことであり、それが我慢できない人は4ドアセダンを選ぶはず。
(荷室)……★★★
床面最大幅112cm、奥行き86cm、高さは45cm。メーカー公表値で410リッターというトランク容量。ボディサイズやクーペというクルマの性格を考慮すれば、すごく広いわけではない。適当な広さなのか、あるいは狭いのかが判断しにくい。ただ、トランクとは容量ではなく、その形状のほうが重要である。その観点からすれば、突起物がすくなくスクエアなCLのトランクはこれでいいのかもしれない。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
CL500のV8は「113型」と呼ばれるユニットで、スムーズな回り方やパワー/トルクのジェントルな出方には定評がある。306ps/5600rpmの出力、2700-4250rpmという幅広い領域で発生する46.9kgmのトルクは、これだけでもう充分にパワフル&トルキー。CL600やらCL55AMGやら、ましてや65なんてまったく必要ないと思った。
今回の目玉商品は、量産乗用車世界初となる7段AT。100km/hの回転数は7速=1500rpm、6速=1700rpm、5速=2100rpmと、特に上の3速の変速比が接近しているから、Dレンジでの5速からのシフトアップはまるでCVTのようで、いまどこに入っているのかほとんど分からない。段数が多けりゃいいってものでもないが、シフトアップがこれまで以上に滑らかだった。あとは説明通り、燃費も本当に向上するならば7段ATはウェルカムである。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
ABC(アクティブ・ボディ・コントロール)と名付けられたセミアクティブ・サスペンションは、いまのカタチのCLと共にデビューしたが、現行のCLに装着されているABCは第2世代のもの(新型SLが登場した時にセルフレベリング機構が追加された)。通常、ハンドリングを重視すると硬めの乗り心地となり、乗り心地を重視すると眠たいハンドリングになるが、ABCはハンドリングと乗り心地の両方を高い次元で両立させた、秀逸なサスペンション機構だと思う。自分の運転が巧くなったと錯覚するような安定したハンドリングと、路面状況を問わずフラットライドを保ち続ける乗り心地は、一度経験したら病み付きになる。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:渡辺慎太郎
テスト日:2004年1月13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:1680km
タイヤ:(前)255/55R17 97W(後)同じ(Continental Conti Sport Contact)
オプション装備:ディストロニックシステム(34.0万円)
形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:251.2km
使用燃料:36.1リッター
参考燃費:6.9リッター/km

渡辺 慎太郎
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