「インチアップとはなんでしょうか?」
2001.08.18 クルマ生活Q&A タイヤ・ホイール「インチアップとはなんでしょうか?」
新聞雑誌でよくみかける「インチアップ」とはどういうことなのでしょう? タイヤに関係していることだとは想像できるのですが、よくわかりません。その、内容と効果をおしえてください。(いまいさん)
お答えします。インチアップとは、ホイールの直径を大きくすることです。インチで表示するので「インチアップ」と言うわけです。最近ではメーカー自身がインチアップする傾向にあるようですが、その理由として、ブレーキの性能を上げるためというのがあげられます。ディスクブレーキはローター部分が大きいほど制動力を発揮します。ローター部分を大きくするにはホイールの大径化が必要なのです。
個人のオーナーがホイールを換える場合、動機として考えられるのは、なによりもまずカッコでしょう。タイヤの剛性が上がるためレスポンスがよくなり、運転がうまくなったように思えるということもあるかもしれません。
デメリットとしては乗り心地があげられます。ホイールが大きくなれば、タイヤは薄くなりますから、その結果として乗り心地も変わってきます。ゴツゴツ感が増し、全体的に硬くなった感じがします。タイヤが吸収していた衝撃を、サスペンションとボディでも分担して受け止めるようになるからです。当然、サスペンションやボディの傷みも早くなります。
自動車用品店などでインチアップ用ホイールを購入するときに気をつけなくてはいけないのは「オフセット」をオリジナルと同じものとする、ということです。オフセットとは、ホイールの取り付け部とタイヤの中心の差です。これを同一にしないと、タイヤが片減りしたり、コーナリング性能が低下したり、ひどい場合には直進性にまで影響が出ます。オフセットを合わせるためにスペーサーを入れるお店をありますが、あまりお勧めできません。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。