トヨタ・マークII2.5グランデG(5AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・マークII2.5グランデG(5AT) 2001.01.05 試乗記 ……365.9 万円 総合評価……★★★払拭できない土着性
グランデGは、2.5リッターNAユニットに5段ATを奢ったシリーズ中の上級モデル。エンジンは4AT版と同じ「D-4」直噴・直6ユニット。もちろんFRである。
「メルセデスベンツCクラスよりいい」とのウワサも聞いた新型マークII。期待に胸膨らましての試乗となったが、結論から言うと、「Cクラスよりいい」はいささか誉めすぎ。我々モータージャーナリストも人の子だから、モデルチェンジ直後の「チョイ乗り」では、たまたま良い面ばかりが印象に残るとこういうことがままある。
パワートレインは、たしかにほぼ文句なしの出来だ。スムーズでパワフルで静かで言うことなし。リアが広くなった室内も大きな改善。ただし、乗り心地とハンドリングには依然、改良の余地がある。全体として「日本土着の高級車」的な乗り味がまだまだ払拭しきれていない。つまり、外観ほどには洗練されていないのである。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
かつて「ハイソカー」の言葉を生み、時としてカローラを上回るほどの数を売って稼ぎに稼いだトヨタの看板車種。2000年10月のモデルチェンジで9代目に移行した。これも古い言葉だが、「一億総中流」の憧れである豪華絢爛さと低く長い「八頭身型美人」路線に別れを告げ、ミドルクラスに相応しい快適な空間づくりを優先して全高を60mm高めた。エンジンはいずれも直6の2リッター(160ps)、2.5リッター(直噴、非直噴とも200ps)、2.5リッターターボ(280ps)の4種が用意される。FRのほかに4WDもある。
(グレード概要)
自然吸気2.5リッターには、4WDモデル用のノーマル(旧来型の間接噴射インジェクション)と、メインであるFRモデル用直噴「D-4」ユニットとがある。シリーズはラグジュアリー指向の「グランデ」系とスポーティな「グランデiR」系に大別され、前者には、2/2.5リッター+4ATのグランデ、2.5リッターに5ATを奢った「グランデG」、2.5リッターターボの「グランデG-tb」がある。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
見やすいメーター内のシフトポジション表示灯やアイディア賞もののドアポケット(樹脂製なのに伸縮して容量が可変)など、単に豪華なだけでなく使い勝手がよい。ただし、カーナビゲーションは慣れない身には意外に使いづらく、マニュアルを読んでもよく分からなかった。
(前席)……★★
外観とは対照的に旧態依然。無難を以て善しとする「村社会」を色と形にしたようなシート。曖昧模糊としたグレーのモケットはまるでバアさんの巾着に違いなく、その上にちょこんと座らされ、フィット感とサポートはかぎりなくゼロに近い。
(後席)……★★★
停止時に座った以外は終始筆者ひとりだったので、厳密にはスタティックな評価のみ。スペースそのものは大改善。狭く、暗く、(フロアトンネルが)鬱陶しかった、かつてのマークIIとは隔世の感がある。でも、このボディサイズなら当たり前、ようやく世間の水準に追いついたというところ。外寸は旧型より全長で25mm減、全幅で5mm増だそうだが、従来以上に大きく感じられた。
(荷室)……★★★★
絶対的な容量として、これより広い荷室をもつクルマは決して少なくない。しかし、後輪駆動のシャシーレイアウトを変えることなく、大幅な容量アップと使いやすさ向上を果たしたのは立派。広いだけでなく、フラットで使いやすい。荷物が勝手に動くことのないよう、中に収めて固定する「ユーティリティボックス」がトランク奥の左右ホイールハウス間に設置されたのはグッドアイディア。
【ドライブフィール】 運転すると?
エンジン+トランスミッション)……★★★★★
素晴らしい! 力不足のシャシーに対してはもったいないくらいの出来。エンジンは予想外の高速型。といっても低速が苦手なわけではなく、アイドリングはまったくの無音。すでに始動しているのに誤ってセルを回してしまったほど。せっかちな街中の加減速も思いのままである。
しかも、空力がいいのだろう、高速になればなるほどよく伸びるのには驚くばかり。夜陰に乗じて5割増しのペースで走ったら快感そのものだった。
自慢の5ATはシフトスケジュールが絶妙で、踏み続けると5000rpm+の4速上限域まで引っ張ったあとスムーズにシフトアップ、直後4000rpmでバトンタッチした5速が再び力強く加速する。キックダウンも浅からず深からず適切。エンジンは回すと日本車には珍しく官能的な響きがある。惜しむらくはスタッガードゲート式シフトの「2」と「1」。位置が手前すぎて手首が鋭角的な動きを要求され、操作しづらい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
正確にいえば乗り心地=★★、ハンドリング全体=★★★、コーナリング=★★★★。シャシーバランスがよく、特に優秀なタイヤとも思えないのに滅多なことでは破綻をきたさない。試しにトラクションコントロールを切ってみたが、かなりの程度攻め込んでもブレークする気配がなかった。ただし、直進性悪く、本来平和であるべき高速道路100km/h巡航ではステアリングが定まらず、レーンのなかで幅いっぱいにチョロチョロした。ブレーキはスポンジーで感触いまいち。乗り心地はお粗末。ダンパー切り替えもほとんど役に立たず、フラット感に欠ける。ブワブワと旧式な印象。前述のシートも手伝って全体になんとなく爪先立った印象が否めない。
(写真=小河原 認)
【テストデータ】
報告者:別冊編集室 道田宣和
テスト日:2000年11月25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:2900km
タイヤ:(前)205/55R16 89V/(後)同じ
オプション装備:クルーズコントロール(2.6万円)/VSC+TRC+タイヤ空気圧警報システム(8.0万円)/フロントウィンドシールドガラス撥水加工(0.5万円)/インダッシュCDチェンジャー+MD一体AM/FMマルチ電子チューナー付きラジオ+6スピーカー(4.2万円)/DVDナビゲーション付きマルチエレクトロビジョン(29.0万円)/前席SRSエアサイドバッグ&前後席SRSカーテンシールドエアバッグ(8.0万円)/マイコン制御チルト&スライド電動ムーンルーフ(7.6万円)=計59.9万円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:661km
使用燃料:82.5リッター
参考燃費:8.0km/リッター

道田 宣和
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