スズキMRワゴン Xナビパッケージ(4AT)【試乗記】
21世紀(初頭)のワゴンR 2002.01.09 試乗記 スズキMRワゴン Xナビパッケージ(4AT) ……132.0万円 「マジカルリラックス」を謳うスズキのニュー軽自動車「MRワゴン」。ショーモデルそのままのワンモーションボディをまとった新しいミニミニバンは、乗るとどうなのか? NA(自然吸気)エンジンを搭載した上級グレード車を、webCG記者がドライブした。ミラクルリラックスカー
スズキMRワゴンは好感度の塊だ。一筆で描いたかのようなツルンとした姿が可愛らしい。「モノフォルムデザインの波、軽自動車にまで至る」というか、限られた寸法で広い室内を得るという要件は軽においてこそ切実だから、「シカクシカクの豆腐型はちょっと……」と考えるデザイナーには格好のモチーフなのだろう。全長×全幅×全高=3395×1475×1590mmの軽自動車枠に「大人4人がゆったりと快適に移動できる居住性を備えた」というのが、MRワゴンのウリである。
オリジナルモデルは、1999年の第33回東京モーターショーに、コンセプトモデルとして出展されたMRワゴンこと“ミドシップ”軽。トヨタ・エスティマのスズキ流解釈ともいえるそれは2年の歳月を経て、エンジンの位置こそワゴンRのシャシーを活用する関係上フロントに変更されたが、エクステリアはほぼショーカーのまま、2001年12月4日、市販車として登場した。今度はMRをしてミドシップではなく、「マジカルリラックス」と読ませるところがミソだ。
エンジンは、0.66リッターNA(自然吸気/54ps、6.4kgm)とターボ(60ps、8.5kgm)の2種類。いずれも、直列3気筒のツインカム“オールアルミ”ユニットである。ボンネットに小さなエアインテイクが付くのが「ターボT」。メインの自然吸気モデルは、ナビゲーションシステムを備えた「Xナビパッケージ」とオーディオ、スモークガラス、電動格納式リモコンドアミラーなどを備えた「X」、そしてベーシックグレードの「E」がラインナップされる。
師走の慌ただしい都内を、べージュのミラクルリラックスカー「Xナビパッケージ」で走った。
カワイイだけじゃない
ミニミニバンらしいやや座面の高いシートにアップライトな姿勢で座る。ボンネットからそのまま延長されたAピラーと、サイドウィンドウ前端に三角窓をカタチづくる支柱が、これまたミニミニバン。街なかをチョコマカと走るには、Aピラー、ちょっと太くて寝すぎかなァ……。
車内は、象牙色(カタログには「ベージュ」と記載される)の樹脂類とベージュトリムの組み合わせがシンプルで清潔な印象だ。メーターナセル内には、「軽初!」というオプティトロンメーターが青く淡く光る。無理を承知で言うと、このメーター、MRワゴンに用意されるもう一種類の内装色「ブルー」にはいいけれど、ベージュ内装には白の方がヨカッタかも。
ドライバーズシートは、スズキ車の常で座面は短めだけれど、クッションが厚めで座り心地はいい。じゅうぶんなヘッドクリアランスが取られた位置に曲面の天井がある。MRワゴン、クルマのなかが柔らかく広い。
左右分割式になった後部座席は、ショックアブソーバーの車体側取り付け位置を後にズラすことで、左右とも105mmのスライド量を確保した。シートを一番後にすれば、足もと広々。「ミラクルリラックス」の謳い文句はリアシートにおいても有効だ。
可変バルブタイミング機構「VVT」を備えた658cc直3DOHCは、54ps/6500rpmの最高出力と6.4kgm/3500rpmの最大トルクを発生。スムーズな4段AT(コラム式)と合わせ、過不足ない動力性能を提供する。この「K6A」型ユニットは、平成12年排出ガス規制50%以下の「優-低排出ガス」エンジンであり、また平成22年度燃費基準も達成した。
交通の流れをリードしようとひたすら全力でドライブするとさすがにエンジン音が高まる。ことさら不快な音質ではないが、絶対的には、ウルサイ。まァ、MRワゴンに乗って毎回信号グランプリを挑むヒトはいないでしょうから……。いうまでもなく「0-100km/h加速」より、「4.2mの最小回転半径」といったスペックの方が、MRワゴンにとっては重要である。
1993年に市場に投入した「ワゴンR」で、90年代の軽自動車の流れをつくった「軽ナンバーワンのスズキ」。モノ入れの豊富さ、シートアレンジの容易さ、街なかでの取り回しの良さ、MRワゴンはワゴンRからの細かい改良が重層的に重なった、同車の21世紀(初頭)型といえる。カワイイだけのクルマじゃない。
(文=webCGアオキ/写真=清水健太/2001年12月)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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