スズキ・エブリイランディXC(FF/4AT)【ブリーフテスト】
スズキ・エブリイランディXC(FF/4AT) 2002.05.10 試乗記 ……150.4万円総合評価……★★
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たたき上げ
商用バン「キャリイ」の軽乗用車版「エブリイワゴン」の普通乗用車バージョンが「エブリイプラス」改め「エブリイランディ」。1.3リッターを前席下に積んだ全長3710mmのコンパクトなボディに、3列シート、7人乗りを実現。1505mmの全幅に1915mmの全高という特異な縦横比をもち、さらに押し出し満点のメッキグリルとビッグバンパーがバランスの悪さを加速させ、エブリイランディ、全体に、変。
小ぶりで簡素なシート(でもアームレストはある)に座ると、インパネからニュッと短いシフターが生えている。ステアリングホイールから近いのはイイのだが、クルマの性格上、あまりレバーを使ってのギアチェンジは行わない。むしろ、スローなステアリングギアゆえハンドルをクルンクルン回し、4.5mの最小回転半径を活かして細かい路地もなんのその。“現場”に着いたら、ステアリングホイールからスッと手を伸ばしてチャッと「R」に入れてバック、ピッと「P」の動かして、スシ詰めに乗っている従業員に「さあ、仕事!仕事!」とカツを入れる、という場面で……って、エブリイランディ、商用バンじゃないってば。
FF(前輪駆動)乗用車をベースにした最新の小型ピープルムーバーと比較すると、キャブオーバータイプのエブリイランディの古さはいかんともしがたいが、「なにはともあれ機能要件を充足する」という、実績に裏打ちされた独特の迫力がある。左側スライドドアのステップが電動で張り出したり、後2席のエアコンを独自に調整できたりと乗員への気配りも忘れない。“たたき上げ”を自認するアナタに。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「エブリイランディ」は、軽自動車「エブリイワゴン」の普通車版。エンジンを前席下に置いて後輪を駆動する、いわゆる「キャブオーバー」タイプのワンボックスである。全長3.7m、全幅1.5mのコンパクトなボディに、3列シートを配置。乗車定員は7人である。1999年に1.3リッターエンジンを積んだ「エブリイプラス」が登場、2001年5月24日にマイナーチェンジを受け、「エブリイランディ」と改名された。派手なメッキグリル、大型バンパーなどが与えられ、クラス初のインパネシフト採用がジマンだ。動力系は「1.3リッター直4+4段AT」のみで、後輪駆動ほか、4WDも用意される。
(グレード概要)
エブリイランディは、ベーシックな「XA」と上級版「XC」の2グレード構成。アルミホイール、ルーフエンドスポイラーを備え、ツインエアコン、電動オートステップ(後席左ドア)などが付き、センターコンソールはメタリックグレーインパネガーニッシュなどで飾られる。スポイラー装着の関係上、全高が15mm高くなるほか、機関面での違いはない。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
エブリイプラスのコラム式からインパネシフトに変更されたランディ。操作性はいいが、走行中のギアチェンジより、むしろクルマを駐車するためにバックするときや、「P」に入れるときに手早くできて楽。センターコンソールには、後席用のエアコンおよび風量調整ダイヤルの電源を入れる元スイッチが備わる。天井にサングラス入れと、丁寧にゴムがひかれた小物入れあり。
(前席)……★★
サイズが小さく、特に座面の短さが気になるフロントシート。ロングドライブは、ちとツラい。いわゆるキャブオーバータイプゆえ、座面の下にエンジンを収める大きな張り出しあり。足が長いヒトだと左足ふくろはぎあたりに触って気になるかも。意外に(?)立派なアームレストが備わる。物置、カップホルダーを備えたトンネルコンソールが便利。センターコンソール下部からも、カップホルダーが引き出せる。
(2列目シート)……★★
「ミニバンの一等席はセカンドシート」というフレーズは、ランディにもあてはまる。なぜか前席より座面が長いシート……はいいのだが、着座位置が低すぎる。エンジン、プロペラシャフトを床下に通すため高くなったフロアと、乗降性のバランスゆえか。ただ、天井まではそうとうな余裕があるのだから、もうすこし何とかなるのでは。なお、上級グレード「XC」には、電動で張り出すオートステップが装備される。お年寄りや身体が不自由なヒトにはありがたいだろう。
エブリイランディのセカンドシートは270mmのスライド量を誇る。といっても、シート位置を前方にズラせるのは、サードシートの乗員に配慮して、というより、主に2列目シートのヘッドレストを抜いて背もたれを倒し、3列目とつなげるためだ。ただし、ベットとして使うには「前席−2列目」をつなげた方がいい。
(3列目シート)……★★
商業用人員輸送車として活躍するキャリイがオリジンなだけに、思いのほか実用的なサードシート。背もたれが平板なのが気になるが、シート下にリアヒーターユニットが置かれる関係上、2列目シートより着座位置が高いのが助かる。ニースペースは最小限だが、幸いにも(?)セカンドシートのバックレスト裏が柔らかいので、膝をめり込ませて座ることが可能だ。
(荷室)……★★
床面最大幅125cm、天井までの高さ95cm。コンバクトなサイズを最大限活用したエブリイランディだが、さすがに荷室の奥行きは最小限。3列目シート使用時の奥行きはわずか30cm。サードシートを一体で前に跳ね上げると70cmに延長される。上ヒンジのテールゲイトは、長さが110cmもあり、取っ手もないという実用本位なもの。
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【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
前席下にエンジンを配し、プロペラシャフトを介して後輪を駆動するという、昔ながらのスタイルを採るエブリイランディ。1.3リッターのオールアルミユニットは、中低速トルクを重視したSOHCのヘッドメカニズムをもち、86ps/6000rpmの最高出力と11.7kgmの最大トルクを3000rpmという低めの回転数で発生する。必要十分余裕なし、のアウトプット。オシリの下に置かれていることを考えると、走行中もまずまず騒音は抑えられている。インパネシフトは、レバーサイドのボタンで、4-3速を切り替えられるのがドライブ中はありがたい。あまり使わないけど。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
他社の乗用車をベースにした最新人員輸送車に比べると、乗り心地は悪い。ヒョコヒョコ前後に小さく揺れるピッチングが出やすく、また、路面からの突き上げもキツい。最重量物たるエンジンをボディ中央に置いたのはいいが(それをもって、フロントミドシップと称するのはどうかと思うぞ)、車幅に対して車高が高いので、風には弱い。もっとも動力性能からもドライバーの心理上も「トバそう」とは思わないし、後席の乗員もそれを望まない。ボディの見切りはいいし、ステアリングもよく切れるから、長距離移動なしに、かつ細かい道を通って目的地に向かうにはいいクルマ、だが……。
(写真=清水健太)
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【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2002年3月11日から13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:3506km
タイヤ:(前)165/65R14 79S(後)同じ(いずれもヨコハマ ASPEC)オプション装備:AM/FMラジオ付きカセットステレオ(2.6万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(5)
テスト距離:241.4km
使用燃料:24.2リッター
参考燃費:10.0m/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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