MINI ONE(5MT)【ブリーフテスト】
MINI ONE(5MT) 2002.02.01 試乗記 ……195.0万円 総合評価……★★★マーケティングドリブン
「MINI」を名乗れど、2階建てならぬ、エンジン横にギアボックスを置くジアコーザ方式を採る“普通”のFF小型ハッチ……、てなことはあまり問題にならない、BMWグループの「大物レトロカー」。2002年1月現在、街をいくと、注目度バツグン! 老若男女の別ない。ギョロリと丸い目玉、ほぼ水平に延びたルーフ、15インチタイヤがグッと踏ん張る。「遅れてきたパイクカー」なんて言わせない完成度とスタイリッシュさ。
オリジナルMINIの拡大現代語訳的インテリアはちょっと鼻につくけれど、ステアリングホイールを抱えこまないドライビングポジションは、新しいMINIの潜在顧客層には歓迎されよう。走行感覚は、驚くほど「ビーエム」。しっとりと上質感ある操作系、落ち着いた乗り心地、しかしいざ鞭を入れるとスポーティに走り出し、「もうちょっとパワーを!」と感じさせるところまでソックリ。なるほど、バイエルンのエンジニア衆は、こういうFF(前輪駆動)車をつくりたかったんですな。
小型車市場参入にあたり、「次世代の小型車」を追求して登場したメルセデスベンツAクラスと比較すると、新型MINI、あまりに“マーケティング”ドリブンなのが気になりますが、まあ「20世紀の恋人」として過去のヒトになりつつあるクルマにとって、話題になったり、まわりを楽しくするってことは大切ですから……。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1997年、フランクフルトショーでニュー「MINI」(プロトタイプ)の写真が報道陣に公開され、3年後のパリサロンで正式にデビューした。新型の生産はBMWが行い、「MINI」はBMWの一ブランドとなった。2002年3月2日「ミニの日」から、日本への導入が開始される。グレードは、ベーシックグレードの「MINI ONE」(90ps)と、スポーティグレード「MINI COOPER」(115ps)の2種類。両グレードに搭載されるエンジンは、ダイムラークライスラーとの合弁会社が生産する、1.6リッター直4SOHC“ペンタゴン”ユニットで同じだが、制御系の変更で「COOPER」の出力が高められた。さらに、2001年10月に開催された、第35回東京モーターショーで正式に公開された、スーパーチャージャー付きの「MINI COOPER S」も、ラインナップに加わる予定だ。
(グレード概要)
「MINI ONE」に搭載される1.6リッター直4SOHCは、90ps/5500rpmの最高出力と、14.3kmg/3000rpmの最大トルクを発生。トランスミッションは、5MTもしくはCVTが用意される。新型は「プレミアムコンパクト」の名にふさわしく、標準グレードでも高度な電子制御システムを備える。ABSはもちろん、トラクションコントロール、前後ブレーキ圧配分を荷重状態に応じて常時調節する「EBD」、コーナリングブレーキコントロール「CBC」などが標準装備となる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
拡大したサイズゆえ、まのびを防ぐためいささかデザイン過多になったインストゥルメントパネル。ステアリングコラムにつくタコメーターは、当然、ステアリングホイールのチルト(上下)と一緒に動く。センターには、240km/hまで刻まれたグランドファーザーズクロック風の巨大なスピードメーターが真正面を見据える。ステアリングコラムから左右に生えたロケット型(?)のレバー、丸くデザインされたドアオープナー、左右の支柱に取り付けられたセンタークラスター、外縁で操作する温度設定ダイヤル、贅沢なトグルスイッチなど、トレンドサーファーぶりを見せつける。グローブボックスは備わらず、滑りどめのゴムが敷かれたトレーで代用する。ナビゲーションシステムを備えないテスト車の場合、インパネ上面中央に深さ7cmほどの小物入れあり。
(前席)……★★
英国車流に(?)小ぶりで質素な生地が使われたシート。座面長は短め。腰のあたりが前に湾曲したバックレストをもつ。特にスペシャルティを感じることない座り心地。運転席側には、シート全体を上下させる、レバー式のハイトコントロールあり。車両個体の問題かもしれないが、押し下げるときに、レバーの強度が心配になるほど力が必要だった。ドアポケットは、横切る太い桟がジャマで、使いにくい。
(後席)……★★
ややオシリが沈むカタチに湾曲した座面、立ち気味のバックレスト、足先を入れられる前席下、そして下方にカーブすることなく後ろに延びたルーフのおかげで、決して広くはないが、実用的なリアスペース。しかしクッションは薄く、硬い。無理なく3点式シートベルトが締められ、しっかりしたヘッドレストが備わるのは立派。ISOFIX対応チャイルドシート用アンカーあり。
(荷室)……★★
オリジナルMINIのオーナーにはちょっと寂しい、普通のハッチゲイト。外側に電磁式のオープナーが付く。ラゲッジルームは、床面最大幅92cm、奥行き37cm、パーセルシェルフまでの高さ50cmと、絶対的な広さはいまひとつだが、シェルフを吊す紐に丸くシャレたゴムの留め具が付いているのは、さすがプレミアムコンパクト。後席シートバック背面のレバーを引くことで、荷室から背もたれを倒すことができる。その場合、120cm前後の長いモノも収納可能だ。
【ドライブフィール】運転すると?
ブラジルにある(ダイムラー)クライスラーとの合弁会社で生産される1.6リッター直4ユニット。アウトプットは90psと14.3kgmといささかカタログアピールに欠けるが、ウェイトが1トン少々と軽めであることと、5段ギアボックスとの組み合わせで好きなときにフルスケール回せるため、「遅さ」を感じることはない。走行距離1500km余のテスト車の場合、そこそこ回り、不快な音や振動もないが、いささか個性に欠ける。もうすこしなじむと気持ちよくなる予感あり。「グワシ!」と掴む丸いシフターを繰ってのギアチェンジも、ことさらヨロコビをもたらすものではない。全体に、「控えめなグッドフィール」とでも言いましょうか。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
路面がよい道では、「重厚」といえる乗り心地を見せる新しいMINI。外観の印象より、よほど「プレミアム」。オリジナルMINIに郷愁を覚えないヒトには朗報だ。ハイスピードクルージングもフラットにこなすが、道路の状態がうねったり、荒れたりし始めると、とたんにヒョコヒョコしだすのは興ざめ。サスペンションストロークがいまひとつ、の感じ。ハンドリングはいい。スロットル操作でオシリを振らせることが可能だ。“FFのビーエム”。楽しい。パワーが大したことないので、手の内で遊べる。腹八分のヨロコビ。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2002年1月27日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:1637km
タイヤ:(前)175/65R15 84T/(後)同じ(いずれもMichelin Energy)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(4):山岳路(1)
テスト距離:270.7km
使用燃料:29.6リッター
参考燃費:9.2km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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