第1回:次の日産スカイライン
2013.09.22 世界のNISSAN、イッキ乗り!世界の日産車を一カ所に集めての“グローバル試乗会”「NISSAN 360」が、アメリカで開催された。会場となったカリフォルニア州の空港跡地には、現地アメリカや日本を始め、欧州、アジア、南アフリカなどで流通している日産車がズラリ! そのうち、これから日本で発売されるであろうモデルや、逆にあまり知られることのない(?)クルマを、全8回の特集で紹介する。
トップバッターは、次期「日産スカイライン」と目される「インフィニティQ50」。チョイ乗りしてみた、3人の自動車ジャーナリストの感想は……?
インフィニティQ50ハイブリッド/Sハイブリッド/S 3.7
■これからの定番
100台以上も並んだ試乗車の中で、われもわれもと希望者が押し寄せたのが「インフィニティQ50」。近いうち、日本で次期「スカイライン」として登場しそうだから、メディアはみんな興味津々なのだ。
アメリカでの人気を狙って少し大型化したが、肥満というよりスラッと滑らかで鋭さをも感じさせるボディーが、心に刺さる。基本構成は従来型の正常進化だが、走らせてみると“スポーツのDNA”がムンムン迫る。ガソリン車「3.7」の“味付けセレクター”でスポーツモードを選ぶと、攻める楽しさがジャガーより濃いかも。前後のバランスは抜群で、ノーマルモードで中速コーナーから立ち上がる時も、テールに絶妙のムズムズ感が漂い、主体的に操っている実感ありありだ。
そして最大の注目ポイントは、まったく新しい「ステア by ワイヤ」。ドライバーからの操作を正確に伝える反面、路面からの雑味をきれいに濾過(ろか)するスグレモノ。電子制御の塊なのに、これほどまでに人工的な感触を排除できるとは驚くばかりだ。モードごとの手応え感もはっきり切り替わるし、これからの日産高性能車の定番になるのは間違いない。
スカイライン・ファンは貯金を急ぐべし。
(文=熊倉重春/写真=日産自動車)
■予想以上に洗練されてる
今回の一番のお目当てはもちろんコレ。外観はインフィニティ特有のウネウネ感が弱められていて最初は好印象だったのだけど、カリフォルニアの陽光の下ではちょっと弱い気もしますね……。いやはや難しいものです。
でも、プレスを2度打ちしてラインを出したボンネット、パネル間ギャップの狭さなど、円高日本で作ったのではどうせもうからないから、むしろ日本のものづくりの良さを出そうと頑張ったというクオリティーは上々のレベルにあります。インテリア含めて、良いモノ感はバッチリ。
走りっぷりも、予想以上に洗練されました。まだ先代までは残っていたバンカラな感じは薄れ、静かだし、滑らかだし、サスペンションはよく動いてロードホールディングは良い……という、実にしなやかなスポーツセダンになっています。
ただし、ハイブリッドはシステムの制御がまだラフで、力はあるけどドライバビリティーはもう少し煮詰めたいところ。また話題の“ダイレクト・アダプティブ・ステアリング”は、レスポンスのあまりの差に最初はコースアウトしそうになるほど切れ味鋭い一方で、安定感たっぷりのハンドリングを楽しませてくれました。
でも、それこそ手のひらに伝わる微妙な圧でもタイヤと対話したいなんて思いには、やはり完全には応えてくれない感もあります。まあステアリングとタイヤが機械的に接続していないという機構上、ここは永遠の課題なんでしょうね。
そんなわけで、意外や3.7リッターがいい案配に感じられたという次第。日本でも早く乗りたいですね。
(文=島下泰久/写真=日産自動車)
■スカイラインらしくなった!?
「日本ではどうしてインフィニティを売らないの?」という根本的な疑問は脇に置いといて、「インフィニティG」改め「Q50」の第一印象を書けば、「プレミアムDセグメントとしてイイ線行っているんじゃないの?」となる。
「フーガ」のシステムを移植したハイブリッドは、強烈に速いだけでなく、途中で伸びが鋭くなり、音も洗練されているなど感覚面も満足。同時に乗ったガソリン仕様がかすんでしまうほど。市販車初というステア by ワイヤは違和感を与えることなくスパッと切れるし、多彩な調節機能は将来の発展が楽しみ。シャシーそのものも不満のないできだった。
日本では例によって「日産スカイライン」として販売する予定だけれど、低く尖(とが)ったロングノーズを強調したシャープなスタイリングは、過去2世代よりはスカイラインっぽいし、開発にセバスチャン・ベッテルが関与したので、間接的ではあるがレースとのつながりもある。先進技術の積極投入はスカイラインの伝統芸だし、インフィニティブランドのスポーツセダンの理想型は、スカイラインが目指してきたものに近いのではないかと思った。
(文と写真=森口将之)

熊倉 重春
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