第8回:走りが際立つNISSAN車
2013.09.27 世界のNISSAN、イッキ乗り!特別仕立ての超ハイパフォーマンスモデルから、衝突回避や車庫入れを自動でこなせる先進のデモカーまで。最終回は、“技術の日産”が垣間見られる、スペシャルモデルの走りを報告する。
日産GT-R GT3
■本気で攻めたら楽しそう
いま世界で隆盛を誇っているFIA GT3規定に沿って生み出されたレーシングカー、「日産GT-R GT3」。2ドアスポーツカーをベースとする後輪駆動のマシンは、FIAによって車両間の性能調整が施され、多くのマシンに勝つチャンスがあるため、「ポルシェ911 GT3R」「フェラーリ458イタリアGT3」「メルセデス・ベンツSLS AMG GT3」……とさまざまな車両が参入している。
と、一応説明をば。まさか、こんなクルマに乗れるなんて! と、試乗車リストを見てサイコーに興奮したのですが、いざ臨んでみたら助手席同乗試乗でした……やっぱりね。
その心臓であるVT38DETT型エンジンの最高出力は550ps以上。とはいえ、今や700psオーバーの市販車もあるだけに加速は、速いけれど、目玉が飛び出るほどの驚きはない。「こんなに奥まで行っちゃうの!?」と当惑するぐらい効くブレーキにさえ慣れれば、自分でも乗れるかなと思いました(過信しました)。ABSもトラコンもありますし。もちろん、レースをするのは別の問題ですが、うーん、本気で攻めたら楽しいだろうなぁ。
ちなみにGT3車両は、一般ユーザーも購入が可能。GT-R GT3は日本では税込み4179万円です。買ってたまに私も乗せてくださる方、募集します。
(文=島下泰久/写真=日産自動車)
日産ジュークR
■驚きの連続
コンパクトな「ジューク」に、“スーパーカー”「GT-R」のパワートレインを押し込んだらどうなるか? それを実際にやったみせたのが「ジュークR」だ。トンでもない代物だけど、思い起こせば“SUVとスポーツカーのクロスオーバー”がジューク誕生のコンセプト。これは、行き着くべき終着点だったのかもしれない!?
「めちゃくちゃ速そうだなぁ……」というおおかたの期待は、全く裏切らない。テスト車は、本家GT-Rも青ざめる545hpと60.0kgmのハイチューン。短い仮設トラックを1周するだけの試乗でも、脳ミソがくらくらするような加速を味わえる。0-62マイル(100km/h)加速は3.0秒。
コーナーではお尻を振りやすいが、そこはESPがサポート。さらに、ボンネット両端が見えるジュークならではの視界や、20インチを履く割に快適な乗り心地が、ドライバーに安心感を与えてくれる。これって、誰でも使える究極のスーパーカーかもしれない!? ……ロールケージのせいで、乗り降りしにくいことを除いては……。
それでも欲しいという人は、実は手に入れることができる。ジュークRは、れっきとした市販モデルなのである。価格は、多くのフェラーリやランボルギーニをしのぐ50万ユーロ(約6600万円!)。2012年度は4台が売れたと聞いて、またビックリ。クルマも興味深いけれど、買った人も見てみたい。
(文=webCG 関/写真=日産自動車)
自動運転(「日産リーフ」によるデモンストレーション)
■これもまた技術の日産
僕は自動運転肯定派だ。現時点でも高速道路ではクルーズコントロールのお世話になっており、運転士がいない「ゆりかもめ」は頻繁に利用している。最近問題のペダル踏み間違い暴走事故や、自転車と自動車の接触事故が防止できるだろうし、なにより身体的・精神的な障害が理由で運転が難しい人でも自動車で移動できる。法整備や信頼性にメドがついたら積極的に導入すべきだと考えている。
「リーフ」をベースにした自動運転車に同乗して、その思いが深まった。ウインカー操作で車線変更を行い、速度制限を順守し、赤信号では停止するほか、歩行者の飛び出しに対してはハンドル操作で回避し、駐車場での車庫入れも行う。テストコースでの体験に話を限れば、いずれも違和感のない動き。「技術の日産」を実感した。
こういう話をすると「運転の楽しみを奪うのか!」と反論する人がいるけれど、自動と手動の混走は可能だと思う。現状でも追従クルコンなどの「半自動」が走っているし。モビリティーの選択の幅を広げ、多くの人に安全快適な移動を提供することこそ重要だ。
(文=森口将之/写真=森口将之、日産自動車、webCG)
日産リーフ ニスモRC
■異次元の走り
温和でユーモラスでもある「リーフ」だが、いざとなればケンカ上等。
床下にバッテリーを積んでの低重心、低速からグイッと持ち上げるトルク特性など、実はEVはスポーツカーの資格たっぷりだったりする。そこを研ぎ澄ましたのがNISMO RC。一見“チョップドルーフのリーフ”みたいだが、モータースポーツ特殊部隊が手塩にかけたフルカーボンモノコックの後ろに電気関係すべて押し込んだ本格ミドエンジン(じゃなくてミドモーター)のレーシングカーだ。
走る感触は不思議そのもの。最高出力109ps(80kW) 、最大トルク28.6kgm(280Nm)のモーター性能はリーフのままだが、軽いうなりだけで(遮音材がないので、ゴゴゴッとタイヤの音がすべてを覆う)空気の壁をくぐり抜けるのは、海底すれすれを行く高速潜水艇みたいな感じ。パワーはそこそこでも、まったく段付きなくどこまでも伸びるのが不気味だ。大きくリア寄りの荷重配分なのに、丁寧に切り込むとフロントの踏ん張り感が抜けず、軽くヒラリと身をひるがえす。立ち上がりのグリップ感と駆動感も気持ち良すぎ。サーキットより高速ジムカーナに挑戦したくなる、異次元の超ハイテクスニーカーだ。
こんなリーフ ニスモRC、例外扱いではもったいない。高くてもいいから、「テスラ・ロードスター」みたいに発売しちゃえばいいのに。
(文=熊倉重春/写真=日産自動車)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
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