オーテックライダー高性能シリーズ試乗会【試乗記】
オーテックライダー高性能シリーズ試乗会 2011.11.06 試乗記 日産セレナ ライダー パフォーマンススペック ブラックライン(FF/CVT)/エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック プロトタイプ(FF/CVT)……349万1250円/――円
日産車のカスタマイズドカー「ライダー」シリーズに、走りにも注力したハイパフォーマンスモデルが加わった。オーテックがトータルチューンする新シリーズの出来栄えは?
走りにこだわるおとーさんに
いまやすっかり日本のファミリーカーの代名詞になったミニバン。セダンやステーションワゴンと比べ四角くて大きいおかげで“ドレスアップ栄え”するらしく、派手なフロントグリルや大きなホイール、エアロキットを付けたミニバンで、休日のハイウェイはにぎわっている。
「セレナ ライダー」や「エルグランド ライダー」はまさにその代表ともいえるモデルで、日産ディーラーでふつうの人がふつうに買えるカスタマイズドカーとして、年々人気が高まっているという。ただ、現行モデルではドレスアップメニューに欠かせない“ローダウン”が含まれておらず、市場の声に応えるべく、オーテックが追加投入してきたのが「セレナ ライダー パフォーマンススペック」と「エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック」というわけだ。
どちらも、ライダーをベースに、ホイールを1インチアップするとともに、車高を10mmローダウン。それだけならなんてことないが、メーカー直系のオーテックだけに、ボディーやVDC(ビークル・ダイナミクス・コントロール)にまで手を入れてきたところが見逃せない。流行のヤマハ製「パフォーマンスダンパー」も装着済み。見た目のスポーティーさだけでなく、走りと快適性を両立させた「トータルチューン」を目指しているというのだから、ミニバンの走りに不満を抱くおとーさんには朗報となるかもしれない。
というわけで、おとーさんを代表して、まずはセレナ ライダー パフォーマンススペックを路上に引っ張り出した。
さわやかな辛口
今回試乗したセレナ ライダー パフォーマンススペックは、ダーククロームカラーのフロントグリル/フロントバンパーグリルを装着した「ブラックライン」仕様である。
走りに関する部分はセレナ ライダー パフォーマンススペックと変わらないので話はこのまま進めるとして、このクルマには205/50ZR17のヨコハマ・アドバン スポーツが銘柄指定で装着される。オーテックの開発スタッフがアフターマーケット用のタイヤを数種類テストし、セレナ ライダー パフォーマンススペックにふさわしい製品を選んだというのだ。
さっそく走らせると、引き締まった乗り心地が印象的だ。標準のセレナがややソフトであるのとは対照的。それだけに、舗装の悪い部分や高速道路の継ぎ目ではそれになりにショックを伝えてくるが、その収まりはいいし、ボディーのしっかり感も高い。これなら同乗する家族から文句は出ないだろう。そうなれば、おとーさんとしてはこっちのもの。標準モデルに比べればフラット感は格段に高く、不快な横揺れもない。高速を走り続けても楽ちんで安心だ。
さらに実力を見せつけるのがワインディングロードの走り。この日は箱根のターンパイクをひとっ走りしてきたが、ミニバンであることを忘れるくらいロールは抑えられていて、ハンドリングにもキレがある。オーテックのスタッフに感想を聞かれて、こちらもおとーさんが好きそうなビールにたとえて「『スーパードライ』みたいなクルマですね」と答えたら、ウケた。
苦みの中の芳醇さ
一方、エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペックは、専用タイヤとホイールに、専用のサスペンション、専用のボディーパーツというパフォーマンススペックのメニューに加えて、エンジンのパワーアップを図ったところが“ハイパフォーマンススペック”たるゆえんだ。実際、標準のVQ35DEエンジンが280ps、35.1kgmのスペックであるのに対し、このエルグランド ライダー ハイパフォーマンススペックでは300ps、36.8kgmまでパワーアップが図られている。
試乗車がまだプロトタイプということで、テストドライブは大磯プリンスホテルの駐車場内に限られたが、フル加速時のGの立ち上がりがスムーズなうえ、4000rpm手前からレブリミットの6600rpmに向かって伸びていく感じがなんともいえない。
しかし、それ以上に印象的だったのが良くしつけられた走り。245/45R19のミシュラン・プライマシーLCを得たエルグランド ライダー ハイパフォーマンススペックは、乗り心地がマイルドなのに、低速のパイロンスラロームではロールを感じさせず、Lサイズミニバンを扱っているとは思えない仕上がりだ。
さらにスピードを上げると、それなりにロールは大きくなるが、挙動はしなやかで、その懐の深さにセレナとの格の違いを見せつけられた。苦みの中に芳醇(ほうじゅん)さがあるエルグランド ライダー ハイパフォーマンススペックは、さしずめ「一番搾り」といったところだろうか?
家族と一緒のときはジェントルに、たまにひとりのときには走りが楽しめるこの2台。おとーさんのひそかな楽しみとして、検討する価値は十分にある。
(文=生方聡/写真=菊池貴之)
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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