第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.01.19 カーマニア人間国宝への道新型「日産ルークス」で夜の首都高に出撃
先日、なじみの美容院で、衝撃の宣告を受けた。「頭頂部が薄くなってきてるわよ」と。
ついにきたか。中高年宿命の日が。
その後、同級生たちとの飲み会で、「育毛剤、塗ろうかなー」と漏らしたら、親友に「それより飲み薬だよ」と言われ、写真を1枚見せられた。
親友:これ、10年前のオレ。今より頭薄いでしょ?
オレ:……ホントだ!
親友:10年前から飲み薬飲んで増えたんだよ。あのとき放置してたら、今ごろヤバかったと思う。
そうなのか! 薄毛には育毛剤より飲み薬だったのか!
私は早速AGA(Androgenetic Alopecia=男性型脱毛症)のweb診断を受け、飲み薬をゲットした。AGAってAMGみたいだなー。
ということで、今回のクルマは新型「日産ルークス」である。
夜8時、いつものように担当サクライ君が自宅にやってきた。
私はルークスの運転席に座り、走りだして開口一番こう言った。
オレ:オレ、頭が薄くなってきたんだ。
サクライ:そうですか。遺伝的にはどうなんですか?
オレ:おじいさんはツルツルだったな。サクライ君は?
サクライ:僕は遺伝的に(父方も母方も)両方完全アウトなんです。その割にまだ髪が残ってますから、ナイスファイトだと思います。
オレ:なるほど、ナイスファイト、いい考え方だね!
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
走りは「ホンダN-BOX」を超えたか
サクライ:ちなみに、薄くなってきたのはてっぺんですか。
オレ:そう、てっぺん。
サクライ:つまりサンルーフですね。
オレ:……だね!
サクライ:僕はM字タイプなので、いずれフルオープンです。
オレ:そうかー。サンルーフよりフルオープンのほうが気持ちよさそうだな~。
そんな話をしているうちに、ルークスはずんずん首都高を進んでいた。シャシーは実にしっかりしているし、ターボなので加速もいい。同業のナベちゃん(渡辺敏史氏)によると、ノンターボでもメチャクチャよく走るという。軽スーパーハイトワゴンのなかで一番重いのにナイスファイトである。
オレ:この走り、「ホンダN-BOX」を若干超えてるかも。
サクライ:双璧ですね。
オレ:ウチの「タント」は完全に置き去りにされたよ。軽の進歩、メチャ速いよね。
サクライ:買い替えます?
オレ:いや、近所走るだけだから。しかも介護車両だからさ、気持ちとしては、自分が介護されるまで売れないんだよ!
サクライ:そうなりますか。
いつかはハゲるにしても、今は薬を飲んで抵抗したいように、せっかく介護車両を持ってるんだから、いつかくる自分の老いに備えて手放したくない。これが介護車両シバリという地獄である。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
フェラーリをビビらす?
ルークスは首都高を軽快に走る。本当の本気でシャシーがいい。C1内回り霞が関入り口先のジャンピングスポット(霞ジャンプ)も、サスペンションが完全にいなしてフラットに駆け抜けた。これほどしなやかなサスは生まれて初めてかも! と思うほどスムーズだった。
こういうちっちゃいクルマに乗ると、カーマニアは逆に燃える。アクセルを全開にしたくなる。私は周囲のハイパワー車を次々とブチ抜いた。ルークス無敵の行進である。
次なる獲物が見えた。幅の広いステキなスポーツカーだ。
オレ:あれ、「フェラーリ・ローマ」?
サクライ:ですね。「ローマ スパイダー」みたいです。
オレ:ローマって、夜、後ろから見ても美しいな。乗るとぜんぜんつまんないけど。
サクライ:テールランプがカッコいいですね。
私はタイミングをみて、ルークスのアクセルを全開にして抜きにかかった。すると、ローマのドライバーも加速した!
オレ:うおおおお! ヤツめ、抜かせまいとしているぜ!
サクライ:敵と認識されたみたいですね。
オレ:ルークスすげえ! フェラーリをビビらせたよ!
薄毛の中高年カーマニア軍団は、ルークスの走りに感動していた。クルマって、これくらいの性能があれば十分だし、逆にこれくらいのほうが面白い。髪もクルマもナイスファイトでいこう!
(文=清水草一/写真=清水草一、webCG/編集=櫻井健一/車両協力=日産自動車)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
第333回:毛が生えようが、ハゲようが 2026.4.13 清水草一の話題の連載。「ジープ・アベンジャー」に追加設定された4WDモデル「アベンジャー4xeハイブリッド」で夜の首都高に出撃した。ステランティスで広く使われるマイルドハイブリッドパワートレインと4WDの組み合わせやいかに。
-
第332回:クルマ地味自慢 2026.3.30 清水草一の話題の連載。最近、年齢とともに地味なモデルが大好きになった。そんななか、人気の「フォレスター」や「クロストレック」の陰にひっそりと隠れたスバルを代表する地味モデル「インプレッサ」に試乗。果たしてその印象は?
-
第331回:デカいぞ「ルークス」 2026.3.16 清水草一の話題の連載。首都高で新型「日産ルークス」の自然吸気モデルに試乗した。今、新車で購入される軽ハイトワゴンの8割はターボじゃないほうだと聞く。同じターボなしの愛車「ダイハツ・タント」と比較しつつ、カーマニア目線でチェックした。
-
第330回:「マカン」のことは忘れましょう 2026.3.2 清水草一の話題の連載。JAIA(日本自動車輸入組合)主催の報道関係者向け試乗会に参加し、「T-ハイブリッド」システムを搭載する「911タルガ4 GTS」とBEV「マカン ターボ」のステアリングを握った。電動化が進む最新ポルシェの走りやいかに。
-
第329回:没落貴族再建計画 2026.2.16 清水草一の話題の連載。JAIA(日本自動車輸入組合)が主催する報道関係者向け試乗会に参加し、最新の「マセラティ・グレカーレ」に試乗した。大貴族号こと18年落ち「クアトロポルテ」のオーナーとして、気になるマセラティの今を報告する。
-
NEW
ディフェンダー110 X-DYNAMIC HSE P300e(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.20試乗記本格クロスカントリービークルの「ディフェンダー」にプラグインハイブリッド車の「P300e」が登場。電気の力を借りて2リッターターボとしては格段にパワフルになった一方で、カタログ燃費はなかなか悲観的な数値を示している。果たしてその仕上がりは? -
NEW
ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長に聞く 日本での展望とスポーツカーの未来
2026.4.20デイリーコラム2025年8月に着任した、ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン新社長。彼の目に日本はどう映り、またどのような戦略を考えているのか? 難しい局面にあるスポーツカーや電気自動車の在り方に対する考えを含め、日本における新しいリーダーに話を聞いた。 -
スバル・ソルテラET-HS(前編)
2026.4.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバル&STIでクルマを鍛えてきた辰己英治さんが、“古巣”スバルの手になる電気自動車「ソルテラ」に試乗。パワートレインの電動化以外にも、さまざまな試みが取り入れられた一台を、ミスター・スバルはどう評価するのか? -
第57回:スズキはなぜインドに賭ける? 変わらず牛が闊歩するインドの最新工場を小沢コージが直撃
2026.4.18小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ小沢コージがインドへ。日本の自動車ファンにとってインドといえばスズキのイメージだが、実はスズキは現在、インドへの大型投資の真っ最中だ。なぜスズキはインドでこれほどまでに愛されるのか。最新工場を見学して考えた。 -
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.18試乗記2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。 -
谷口信輝の新車試乗――ディフェンダー・オクタ編
2026.4.17webCG Moviesブーム真っ盛りのSUVのなかで、頂点に位置するモデルのひとつであろう「ディフェンダー・オクタ」。そのステアリングを握ったレーシングドライバー谷口信輝の評価は……? 動画でリポートします。









































