日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.01.19 デイリーコラム考えられたセレクション
海外で生産された国産ブランドの逆輸入車が増えている。現状は、タイやインドなどアジアで生産されたクルマばかりだけれど、今年は久しぶりに、北米で生産されたものが入ってきそうだ。
トランプ大統領の圧力によって、国交省がアメリカ生産車の国内安全基準審査を簡略化することを決めたので、あまりコストをかけずに、国内導入が図れるようになったからだ。各社、アメリカの貿易赤字削減に協力してますヨ! というポーズをつくりたいという思惑もあるだろう。
その流れを受け、トヨタは昨年末、アメリカ工場で生産した「カムリ」「ハイランダー」「タンドラ」の3車種を、2026年前半から順次、国内販売すると発表した。
この3モデルの名前を聞いて私が思ったのは、「あんまり売れそうにないなぁ」ということだった。
セダンのカムリは言わずもがな。ハイランダーもタンドラもアメリカンサイズだ。アメリカンな魅力はあるから一部マニアは喜ぶだろうけど、個人的には趣味じゃない。ほかにもっとないのだろうか?
トヨタのUSAサイトを見たら、ぜんぜんありませんでした! 逆に、この3車種の選定は実に適切だと痛感した。アメリカン・スタンダードセダンのカムリ、大型SUVのハイランダー、ピックアップトラックのタンドラ。どれもトヨタの国内向けラインナップにない、おおらかな魅力にあふれている。
見れば見るほど「ダメだこりゃ」
一方ホンダは、東京オートサロン2026にアメリカ生産車の「アキュラ・インテグラ タイプS」と「パスポート」を出展し、ユーザーの反応を見た。
アキュラ・インテグラ タイプSは、「シビック タイプR」のアキュラ版。受注停止中のシビック タイプRの代役にはなるだろうけど、アキュラ顔は趣味じゃないし、シビックのほうがイイ。パスポートは中型SUVだからデカすぎるってことはないけれど、逆に中途半端であまり魅力的には思えない。もっとほかにないの?
……まったくありませんでした! 国内向けのラインナップのほうがずっとステキ! やっぱ多くの日本人は、コンパクトで凝縮感が高いモデルのほうがうれしいよね。アメリカ向けモデルって、「うすらデカいだけ」にも感じる。
次、日産。うわー、あんまり売れなさそうなクルマが並んでる。
そんななか、変態カーマニアとしてピクッときたのは、コンパクトセダンの「ヴァーサ」だ。日本ですら絶版になった「ラティオ」の次世代型が、アメリカではまだ売られている! デザインも割とカッコいい! エンジンは1.6リッターガソリンで、CVTに加えて5段MTもある! お値段は1万7390ドルから! これ、アメリカで買える一番安い新車では?
それでも円換算すると300万円近い。これを逆輸入して300万円で売ったところで、30台くらいしか売れないかも。キビシー! そもそもヴァーサはメキシコ製だった。どうもスイマセン。
アメリカで好調の六連星は……?
3社のラインナップを見た段階で、アメリカ逆輸入車への期待はほぼ消えた。それでも一応、全社見てみよう。
三菱はアメリカに工場がないのでナシ。マツダはアメリカ生産の「CX-50」が候補だけど、「CX-5」や「CX-60」があるし、どうしても欲しいという感じにはならない。最後の望みはスバルだ。
日本で売ってないのは、「レガシィ」「アウトバック」「アセント」そして「WRX」の6段MTモデル。うすらデカい系のアセントはいらないけど、現行レガシィ&アウトバックは、左ハンの北米仕様が入ってきたらシブいかも。WRXのMTに至っては、完全にマニア垂涎(すいぜん)モデルだ。
ただWRXのMTは、2026年の春ごろ、STIコンプリートカー「WRX STI Sport#」というかたちで、台数限定ながら国内販売される。限定なんて言わずに、アメリカから逆輸入してくれませんか? と思ったら、もともとグンマー製だった。だよね……。
ということで、結論としては、レガシィとアウトバック、この2モデルのみ。日本じゃ売れないから終売にしたモデルだけに、絶対ありえないでしょう。ガックリ。
(文=清水草一/写真=トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、マツダ、スバル、webCG/編集=関 顕也)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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