メルセデスAMG G63(後編)
2017.04.13 谷口信輝の新車試乗 SUPER GTや86/BRZ Raceなど、数々のモータースポーツシーンで活躍中のレーシングドライバー谷口信輝が、本音でクルマを語り尽くす! 今回も引き続き、「メルセデスAMG G63」に試乗する。谷口にとっての“ゲレンデヴァーゲン”の魅力とは? レーシングドライバー視点でAMG G63を斬る!“谷口基準”で評価するなら……
後に「Gクラス」と呼ばれることになるオフロードビークルの開発がメルセデス・ベンツで始まったのは1972年のこと。作業はオーストリアのグラーツに本拠を置くシュタイア・ダイムラー・プフと共同で行われ、1975年には量産計画が確定。4年後の1979年から実際に生産が始まった。
よくGクラスは「NATOに供給する軍用車として開発された」と言われるが、どうやらこれは誤りのようで、もともとメルセデスとプフが民生用として開発していた車両が軍用車にも転用可能であると判断され、各国に納車されるようになったというのが真相らしい。
とはいえ、軍用車にも使えるということは、民生用としては過剰なくらい耐久性・信頼性が高いことを意味する。実際、Gクラスのフロア下に潜り込んでみれば、その極太なサスペンションアームや巨大なデフケースを目の当たりにして、このクルマがちまたにあふれるSUVとはまったく別の乗り物であることに気づくはずだ。
しかし、その頑丈さゆえ、バネ下重量は重く、これが乗り心地と運動性能を大きくスポイルする要因となっている。いや、40年近い進化の過程でハーシュネスもロールのコントロールもはるかに上達した。だから、そこを褒めてあげてもいいのだけれど、谷口の体には最新モデルの水準が染みついていて、ついついそれを基準にGクラスを評価してしまうように思われた。これはGクラスにとっても谷口にとっても、やや残念な状況だったといえるだろう。
「まあ、コーナリング性能は相当物足りないですよね。ほとんど攻めていないのに、曲がっている間はスタビリティーコントロールの警告灯がつきっぱなし。乗り心地だってゴツゴツ、ガタガタしていて快適とは言いがたい。エンジンはたしかにパワフルだけれど、このシャシーにターボは必要ないでしょう。自然吸気で十分なんじゃないかな。AMGスピードシフトっていうギアボックスにしても、基本はトルコン式なのにシングルクラッチかと思うくらいドカン、ドカンとショックがくるし。正直、僕が好きなタイプのクルマじゃ全然ありませんね」
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