プジョー5008GT BlueHDi(FF/6AT)
ちょっとだけ大きいのがちょうどいい 2017.11.02 試乗記 3列7人乗りシートを備えた、プジョーの新型SUV「5008」がいよいよデビュー。京都・知恩院から東京まで約500kmのドライブを経て見えてきた、同門のコンパクト版「3008」にはない、同車ならではの魅力とは?3008の次は5008
背の高いSUVで遠出するのは疲れるという時代ではないな、とあらためて思う。2リッター4気筒ディーゼルターボは力強く、タコメーターの針はアイドリングからほんの少し持ち上がったところ、1500rpmに届かないぐらいでも100km/hで軽々と巡航できるし、風などの外乱に弱くフラフラすることもない。「5008GT BlueHDi」は小さなステアリングホイールに軽く手を添えているだけで、ビシッと直進する。クルマは何よりまず真っすぐ走ることだ。それができて初めて、楽しく曲がることを考えるべきだ。まあだいたい真っすぐピシリと走るクルマはほぼ間違いなくきれいに曲がるものである。
本格的SUVルックに変身した“4桁数字プジョー”は好調のようだ。日本でも今年の春に発売された新型SUV「3008」は注文に応えられないぐらい売れているらしい。正確に言うと、日本側からもっと欲しいと要望を出しているのに必要な台数が入らず、バックオーダーを抱えているという。そこに兄貴分というか、ちょっと大きな5008が発売されたことで、どうせならもう少し大きくてスペースが広いほうがいいんじゃないか、と方針変更する人もいるという。意外なことに価格差もそれほどではないので、そんな選択が増えることも大いに予想される。
2017年9月に発売されたプジョー5008は3列シート7人乗りのSUVである。フロントドアから前は3008と共通だから、乱暴な言い方をすればホイールベースを延長した大きな3008といえる。パワーユニットも3008とまったく共通、1.6リッターガソリンターボと2リッター直噴ディーゼルターボの2種。トランスミッションはどちらもプジョーが「EAT6」と呼ぶ6段ATを採用したFWD(前輪駆動)である。価格は1.6リッターガソリン直噴ターボ(165ps/6000rpm、240Nm/1400-3500rpm)の「アリュール」が404万円、2リッターディーゼルターボを積む「GT BlueHDi」は454万円である。3008のトップグレードの「GT BlueHDi」は426万円なので、価格差は30万円もないことになる。
全長4.7m未満で7人乗り
新しい5008の最大の特徴は3008より長いボディーを持つ3列シート・7人乗りのSUVである点だ。3列目のシートを確保するためにホイールベースは3008より165mm、全長は190mm伸ばされており、ボディー外寸は4640×1860×1650mm(全長×全幅×全高、以下同様)、ホイールベースは2840mmとなっている。だが、7人乗りの割にはボディーサイズが大きすぎないのがいいところだ。他のSUVと大きさを比べてみると、例えば「マツダCX-5」のスリーサイズは4545×1840×1690mmと長さは10cmしか変わらない。また9月に発表された3列シートの新型「CX-8」は5008よりもずっと大きく4900×1840×1730mmとなる。ボディーサイズで最も近いのはレクサスの「NX」だろうか。「NX200t」は4630×1845×1645mmだが、もちろんあちらは5人乗りである。4.7m以下の全長にもかかわらず、3列シート定員7名のクールなスタイルのSUVであることが5008のポイントである。
注目の3列目シートは、フロアからシート座面までの高さを確保することが難しかったようで、どうしても膝を抱えるような“体育座り”の姿勢になってしまう。また大人には膝まわりのスペース、頭上の余裕ともにぎりぎり十分といったところ、正直言って短距離ならばなんとか、ロングドライブになると成人にはちょっとつらい席である。スライドドアのミニバンではないので、乗り降りする際も簡単とはいえないが、普段は「5座+大きな荷室」で使用し、いざという場合だけ7人乗りで使う、というのは満足できる妥協点だろう。何しろ全長4.7m未満である。
操作系は3008と同じ
普段5座で使った場合のスペースは余裕たっぷりである。その3列目のシートは折りたたんで床下に格納できるタイプで、さらに取り外すことも可能だ。3列目を畳んだスタンダード状態でのVDA荷室容量は762リッター、2列目までたたむと容量1862リッターの広大でフラットなラゲッジスペースが出現する。さらにパッセンジャーシートを倒せば長さ3m以上の長いものも積めるし、3列目シートをあらかじめ取り外しておけば、その格納スペース(約38リッター)も荷室として使うことができるという。2列目シートは3人分それぞれに15cmの前後スライド調節が可能、また5段階にリクライニングもできるので、5人以下なら本当に広々としたスペースを実感できる。
シート以外の内装、インストゥルメントは3008とまったく同じといっていい。小さなステアリングホイールの上から眺めるデジタルメーターも、鍵盤が並んだようなセンター部のスイッチ類も同じである。今やプジョーも新世代で、空調コントロールまでタッチパネルで操作するようになったが、これはちょっと行きすぎの気がしないでもない。だいぶ慣れてきたが、温度調整のためのセンサーがどうもずれているような気がするのも(外気温によらず常に20~21度が適温と感じる)他のプジョーと同じだった。
走りっぷりもほとんど同じ
ボディーが長くなった分、当然ながら3008よりも重く車重は1690kg(テスト車は「パノラミックサンルーフ」装着のため1720kg)となる(3008のGT BlueHDiは1610kg)。そこで力を発揮するのが2リッター直噴ディーゼルターボの逞(たくま)しい大トルクである。180ps(133kW)/3750rpmと400Nm/2000rpmの出力/トルクはどんな場面でも十分以上で、アクティブクルーズコントロール(約30~180km/hで作動)でのんびり走っても、シフトパドルを使って元気に走っても不満を感じることはない。ただし、山道ではさすがに3008ほど軽快な身のこなしはない。
高速道路での乗り心地はホイールベースが長いせいか、3008よりもさらにフラットでビシッとしているように感じたが、路面の凸凹では時折ゴトゴトンと重いタイヤの突き上げを感じることもあった。GT BlueHDiには3008同様ダイヤルでモードを選べば、路面コンディションに合わせて駆動力が制御される「アドバンストグリップコントロール」が装備され、18インチのマッド&スノーのオールシーズンタイヤ「コンチネンタル・コンチクロスコンタクトLX2」が採用されているが、これがやや不利に作用しているのかもしれない。
5008のポジションは、3008とひとつながりのファミリーとしてとらえるとなかなか巧妙に考えられている。価格もずいぶん戦略的に設定されているようだから、家族持ちや大きな道具を必要とするスポーツを楽しむ人などは、使い方に合わせて5008を選んで間違いない。
(文=高平高輝/写真=小河原認/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
プジョー5008GT BlueHDi
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4640×1860×1650mm
ホイールベース:2840mm
車重:1720kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:180ps(133kW)/3750rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2000rpm
タイヤ:(前)225/55R18 98V M+S/(後)225/55R18 98V M+S(コンチネンタル・コンチクロスコンタクトLX2)
燃費:17.3km/リッター(JC08モード)
価格:454万円/テスト車=497万0800円
オプション装備:メタリックペイント(5万9400円)/パノラミックサンルーフ(15万円)/5008タッチスクリーン専用カーナビ(19万8720円)/ETC 2.0(2万2680円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:2271km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(8)/山岳路(1)
テスト距離:514.2km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター(満タン法)/15.8km/リッター(車載燃費計計測値)

高平 高輝
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