間もなく開幕するジュネーブモーターショー
2018年の見どころはここ!
2018.02.21
デイリーコラム
自動車中立国ならではのモーターショー
今年のジュネーブモーターショーは2018年3月5日に開幕する。開催地であるスイスは、自動車メーカーが存在しない中立地だ。だからこそ、各国のブランドがイーブンな立場で参加できるのが特徴であり、自国開催の国際モーターショーのないイギリス、イタリア、スウェーデンのブランドは特に力を入れる。また超高性能&超高額なスーパーカーの類いもジュネーブが得意とするところ。こぢんまりとしているが、華やかなクルマが数多く登場する、取材していても楽しいショーでもある。
今年も2月中旬の時点で数多くの新型モデルの出品が発表されている。その中から注目モデルを紹介しよう。
まず英国ブランドのマクラーレンからは、F1で3度の世界王者となった英雄の名を冠する「マクラーレン・セナ」だ。カーボンファイバーのボディーに、800psの4リッターV8ツインターボエンジンを搭載。500台限定生産であるが、すでに全車売り切れというから驚く。パワーもすごいが、全身が“ウイング”のようなエアロダイナミクスが、このクルマの最大の特徴だろう。
同じ英国のジャガーは、電気自動車(EV)のハイパフォーマンスSUV「Iペース」の量産モデルを出展する。世界初披露はショーの直前の3月1日に行うというのもジャガー流か。すぐにも日本にもやってきそうな気配が濃厚なEVといえる。
ドイツ勢で意外なまでのやる気を見せてくれるのがメルセデス・ベンツだ。「AMG GT」の4ドアモデルをはじめ、EVブランド「EQ」の量産モデル、さらに「Sクラス」や「Cクラス」のマイナーチェンジモデルなど、充実の内容が予定されている。
BMWはフルモデルチェンジした「X4」を持ち込む。開発が進められている「8シリーズ」や、傘下に置くロールス・ロイス初のSUV「カリナン」に関するアナウンスはないが、サプライズで出品してくれればと願うばかりだ。
フェラーリとランボのアナウンスはないが……
日系ブランドでは、やはりトヨタの「現代版レーシングコンセプト」に注目。トヨタのプレスリリースには「トヨタのアイコン的スポーツカーの復活を示唆する」とあるが、まあ普通に考えれば次世代「スープラ」のレーシングモディファイではなかろうか。これは非常に楽しみな一台だ。
日系のもうひとつの注目はスバルの「ヴィジヴ ツアラーコンセプト」。ツアラーとあるからには、ステーションワゴンであるはず。次期型「レヴォーグ」との関連性がどの程度あるのかが気になるところだ。
ジュネーブならではの出品といえば、デザインスタジオの作品だ。ピニンファリーナやイタルデザイン、ジウジアーロといったところからコンセプトが出品されるだろう。スタイリッシュなデザインスタジオのコンセプトカーの存在があってこそ、ジュネーブの華やかさが実現するのだ。
今回、フェラーリとランボルギーニからの出品のアナウンスは今のところない。しかし、今年はエンツォ・フェラーリの生誕120周年にあたるし、ランボルギーニもブランド初のSUV「ウルス」を発表したばかり。あっと驚く出品を期待したい。
こうして注目のクルマを並べてみれば、英国、ドイツ、日系が中心だ。しかし、これは先行して情報が発信されたものに限っての話。現地に行けば、イタリア系やフランス系のワールドプレミアにも出会えるはず。3月の取材が今から楽しみで仕方ない。
(文=鈴木ケンイチ/編集=藤沢 勝)
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鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
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