スバル最新モデル試乗会【試乗記】
スバルの今後を占う3台 2011.08.04 試乗記 スバル・レガシィツーリングワゴン2.5i EyeSight(4WD/CVT)/ステラカスタムR リミテッドS(FF/CVT)/エクシーガ2.0i-S(4WD/CVT)……353万8500円/136万円/294万5250円「アイサイト」の性能向上や軽のOEM車導入など、話題の多いスバル。ミニバンから軽乗用車まで、最新モデル3台に試乗した。
正常進化した看板モデル……スバル・レガシィツーリングワゴン2.5i EyeSight(4WD/CVT)
2011年6月に2度目のマイナーチェンジを実施した「レガシィ」は、人気の運転支援システム「EyeSight(アイサイト)」の搭載グレードが拡大されたことに加えて、アイサイトの性能向上や走りの進化が図られた点が、新型の見どころだという。
果たしてどのくらい進化したのか? 「レガシィツーリングワゴン2.5i EyeSight」でさっそくチェックすることにした。さいわい試乗会場には変更前の同グレードが用意されていたので、比較するには好都合である。いの一番に衝突回避ブレーキの「プリクラッシュブレーキ」を試してみると、確かに動きが違っているのがわかる。新型のほうが減速Gの立ち上がりが鋭い。そして、障害物の認識性能が上がっているようで、テスト会場のように白線がなく、クルマの先にガードレールがあるような場合でも、早い時点で前のクルマを捉えていたのだ。
高速道路での追従走行でも、その進化が見て取れる。先行車が停止すると、それに合わせて自車も減速するのだが、以前は先行車との距離が縮まり、「そろそろブレーキをかけませんか?」とお願いしたくなることがあったのに、新型は少し早めに減速をはじめるので、クルマに速度調整を任せっきりでも不安はなかった。この安心感のアップこそ、開発陣の狙ったところだろう。
しかし、ふだん使う上で一番のメリットは乗り心地の向上だろう。新型のほうがサスペンションの動きがしなやかで、快適さは一枚上手。エンジニアによれば、サスペンションアームの軽量化や、リア・ラテラルリンクのゴムブッシュをピロボールに変更したのが効いているのだという。看板モデルのレガシィだけに、あの手、この手で進化を図るスバルのエンジニアたち。その成果がしっかり確認できた。
超強力な助っ人……スバル・ステラカスタムR リミテッドS(FF/CVT)
2011年5月にフルモデルチェンジしたステラは、ご存じのとおり、ダイハツからOEM供給を受ける軽自動車だ。ベースとなるのはダイハツの主力モデル「ムーヴ」で、いわばスバル・レガシィをトヨタのディーラーで売るようなものだから、スバルもダイハツもずいぶん大胆である。
試乗したのは、スポーティな味付けの「ステラカスタムR リミテッドS」。ムーヴカスタムの自然吸気エンジンモデルが14インチタイヤを履くのに対し、このステラカスタムR リミテッドSは15インチタイヤを装着することで差別化が図られた。ムーヴカスタムと直接比較したわけではないが、タイヤをインチアップしたせいか、多少乗り心地が硬く、荒れた舗装を通過するときなどにタイヤのバタツキを感じた。しかし、そんな指摘は重箱の隅をつつくようなもので、結局はOEMモデルだから、スバルの個性を見出すことなど無理な話。そもそも、スバルらしいクルマを求める人はステラを選ばないだろう。
買う立場からすれば、日頃つきあいのあるスバルのお店からトールワゴンを購入したいとか、ダイハツよりもスバルのバッジが好きだ、という人がステラを選ぶに違いない。一方、売る側としても、ディーラーの客を他のブランドに逃がさないためには、ラインナップは豊富なほうがいい。また、つくる側としても、台数がまとまればそれはそれでうれしいわけで、自動車メーカーやディーラー、そして、あまりクルマにこだわらない人にとってはOEMは決して悪い話ではない。その一方で、OEMによってブランドの個性は見出しにくくなるから、安易に増やすのは考えもの。寂しい思いをするファンは少なくないはずだから。
これからどうなる?……スバル・エクシーガ2.0i-S(4WD/CVT)
ステラから乗り換えると、スバルらしい「エクシーガ」にホッとする。レガシィの流れをくむエクステリアに端正なインテリア、水平対向4気筒を核とするパワートレインなど、どこを見ても、スバルの個性が息づいている。そんなエクシーガに、2011年6月、化粧直しが行われた。一番の特徴は、フロントマスクの変更で、水平基調のフロントグリルと新しいデザインのヘッドライトにより、ワイドでスポーティな印象を強めている。ただ、個人的には、ヘッドライトにブルーの縦のラインが入ったデザインが好きだったので残念……というのはさておき、それ以外の変更はインテリアのパネルやメーターのデザインをいじった程度にとどまっていて、パワートレインや足まわりといった基本部分に、表だった変更はない。
試乗したのはメイングレードの「エクシーガ2.0i-S」で、2リッター自然吸気エンジンとCVTの組み合わせは、加速性能でやや物足りなさを覚えるものの、乗り心地は実に快適。そのうえ、比較的大柄なボディにもかかわらず、軽快に走るのも、このクルマの印象を良くしている。
ただ、7シーターのミニバンとしてこのエクシーガが微妙なポジションにあるのは事実。いまやミニバンにはスライドドアは必須であり、同じヒンジドアの「トヨタ・ウィッシュ」や「ホンダ・ストリーム」がひと頃の勢いを失っているように、このエクシーガもいまひとつ存在感が高められないでいる。気がついたら、トヨタの「ノア/ヴォクシー」がOEM供給されてエクシーガになっていた……という事態だけは避けたいところ。これだけ個性的なモデルなのだから。
(文=生方聡/写真=荒川正幸)
拡大 |
拡大 |
拡大 |

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】 2026.10.17 三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。
-
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】 2026.10.16 欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
NEW
日産キックスX e-4ORCE(前編)
2026.10.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が新型「日産キックス」に試乗。デザインが新しいのはもちろんのこと、まさに下ろしたての最新のパワートレインを搭載。日産の大きな期待を背負ったコンパクトSUVである。箱根のワインディングロードでの印象を聞いた。 -
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。




































