スバル・エクシーガ2.0i(FF/CVT)【試乗記】
大変よくできました 2010.10.06 試乗記 スバル・エクシーガ2.0i(FF/CVT)……199万5000円
マイチェンで装備が充実した一番安い「エクシーガ」は、家族みんなが納得のクルマに仕上がっていた。
CVT搭載で減税ゲット
「スバル・エクシーガ」はユニークなスバルである。ステーションワゴンのフォルムをとどめながら、実は前後3列シートの7人乗り。クルマに近づくと、縮尺感が狂ったように感じさせる背の高さは1660mmある。「ホンダ・オデッセイ」のようなルーフの低いミニバンよりはるかにノッポで、「レガシィツーリングワゴン」より12cmも高い。それなのに、エンジンは2リッター4気筒がメイン。駆動系も、レガシィにはない2WD車ラインナップが充実している。しかし、アメニティの高さを考えると、価格設定はお買い得だ。ミニバン志向とデフレの今を体現するようなクルマといえる。
そんなエクシーガの最廉価グレードが「2.0i」である。2010年8月の改良でこのベーシックモデルも変速機が4段ATからリニアトロニック(CVT)に変わった。これでエクシーガは全グレードがエコカー減税対象車になった。エコカー補助金が打ち止めになったいま、減税ゲットは大きなインセンティブだろう。今回試乗したのは2WDモデル。シリーズで唯一200万円を切るエクシーガである。
つかえる3列目
新型「フォルクスワーゲン・ポロGTI」の試乗会の帰り道、東名高速でエクシーガの後席に乗せてもらう。大きく前後スライドする2列目シートは、たっぷりした広さをもち、座り心地も申し分ない。最廉価モデルだから、当然、シート表皮はファブリックだが、内装に“安手”な感じはない。
横ふたり掛けの3列目に移る。あらためて座ってみると、このシートはエクシーガのちょっとしたサプライズだ。
床は2列目より格段に高く、いわゆるシアターシートから前方をヘイゲイできる。最前席にいるパパやママを見下ろすことになる子供なんか、このサードシートに好んで座るのではないか。イスの脚が短いので、大人だと体育座り的な姿勢をしいられるが、もっとツラいサードシートも多い。「補助イス」と言ったら、謙遜(けんそん)しすぎだ。セカンドシートのレッグルームをほどほどにしてもらえれば、ひざまわりの余裕も意外にある。4740mmのボディ全長はレガシィツーリングワゴンよりむしろわずかに短い。それを考えると「大変よくできました」の7シーターである。
ゆったりアメリカン
運転しても、エクシーガは好感のもてるクルマである。乗り心地は柔らかめで、ドイツ車的ではなく、むしろアメリカンだ。現行レガシィも、メインマーケットを日本から北米にシフトさせたことで旧型より明らかにアメリカ人好みになった。プラットフォーム(車台)を共用するエクシーガが、アメリカンテイストであっても不思議はないが、こちらはレガシィよりさらにキャビンが広いので、なおさら大陸的なゆったり感を与えてくれる。
前輪を駆動するエンジンは、レギュラーガソリン仕様の水平対向2リッター4気筒。1510kgの車重に対してパワーは150psだから、瞬発力こそないものの、それでも4段AT時代よりは活発になった。ソフトな足まわりから“飛ばせオーラ”が出ているわけではないことを考え合わせると、動力性能は必要にして十分である。
リニアトロニックはマニュアルモードで使うと前進6速のステップが出現する。セレクターでアップダウンを命じながらワインディングロードを走れば、思いのほか楽しめる。操縦感覚も、後ろに長くて重いマスを引きずっているようなモッサリ感はない。3列7人乗りというスペックから、エクシーガをミニバンにくくる向きもあるが、ドライバーズカーとしてのキャラクターはステーションワゴンの仲間である。
新しいこのベーシックモデルに乗ってみて、あらためてエクシーガは“あり”だなあと思った。ステーションワゴンに見えて、いざとなれば7人乗れる。体を締めつけ過ぎないドライブフィールは、スポーツワゴンの対極にあるこのクルマのチャーミングポイントだと思う。しかも、この大きさと内容で「フォルクスワーゲン・ポロ」より安い。日本のデフレも捨てたものじゃない。
(文=下野康史/写真=荒川正幸)

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
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