スバル・エクシーガtS(4WD/5AT)【試乗記】
質感の高いパフォーマンス 2012.07.29 試乗記 スバル・エクシーガtS(4WD/5AT)……374万8500円
「スバル・エクシーガ」のマイナーチェンジと同時に発売された、STIバージョンの「エクシーガtS」。新しく専用チューンされたコンプリートモデルの走りを試した。
「エクシーガ」だからできること
「スバル・エクシーガ」がデビューした2008年6月、その直後の試乗記で、「ゴハンを食べ過ぎた『レガシィツーリングワゴン』」と、スタイリングについてネガな意見を書いてしまったのは僕だ。その節は失礼いたしました。
でもその後4年間で、状況は変わった。当のレガシィ自身がゴハンをたくさん食べて(?)成長しただけではない。ミニバン人気が落ち着き、箱形ボディーにスライドドアのタイプが主流になって、デザイン重視の7シーター車はことごとく売り上げを落としている。だからこそ、頻繁に姿を見かけるエクシーガを評価したくなってきた。
ミニバンというよりも7人乗りワゴンという表現が似合いそうなスタイリングに重心の低い水平対向エンジンを積み、駆動方式は全車4WDという成り立ちはトレンドからはかけ離れているけれど、逆に走りを追求するにはベストに近い。
長い物に巻かれる傾向の強いこの国で、わが道を行くミニバンを造り続ける富士重工業と、その姿勢に共感したユーザーの存在を知るに至って、日本もまだまだ捨てたものじゃないと思うようになったのだ。
だからこそ、他のミニバンでは違和感を覚えるスポーツモデルがしっくりくる。ということで、2012年7月のマイナーチェンジと同時に、STI(スバル・テクニカ・インターナショナル)仕立てのスポーツモデル「tS」が限定300台で設定された。昨年の東京オートサロンに出展した「エクシーガ2.0GT tSコンセプト」の具体化だ。
スバルフリークならご存じだろうが、エクシーガにSTIバージョンが設定されるのは2度目だ。2009年に「2.0GT tuned by STI」が用意されたことがある。tSというネーミングはtuned by STIの略で、基本的には同じ系譜の上にある。しかしそこはSTI、従来のコンプリートカーがそうだったように、着実なバージョンアップを実施していた。